最近色々なところで評判が良いDAW、Ableton Live。
雑誌やネット上のレビューなど各所で褒められまくっていて、プロアマ問わず日本でも使用者が増えてきました。
実際筆者もここ3年くらいはLiveをメインのDAWとして使っていて、その使いやすさは十分知っています。
が、もちろん何でもかんでもLiveは優れているというわけではありません。
ということで、他のブログなどでは良いところばかりが語られるLiveですが、今回は逆に(まだ)できないことを書いてみたいと思います。
Liveのメリットを知ることはもちろん、デメリットを知ることでもDAWを選ぶときの参考になるはずです。
MIDIの一括書き出し機能がない
Ableton Liveを使ってて一番不満なのがこの部分。
大抵のDAWって全トラックのMIDIを一括で書き出す機能があると思うんですけど、Liveにはそれがない。
楽曲提供の仕事とかってファイル提出のときにMIDIも一緒に提出するじゃないですか。もしMIDIトラックが20個あったら20回も実際に手を使って書き出ししなきゃいけないんです。
正気の沙汰ではない。
仕事だけじゃなくて、趣味バンドなどで共同作曲をしているときにも超不便です…。
もし僕が知らないだけで本当はできるんだったら本気でやり方教えてほしい。
テイク管理ができない
MIDI書き出しと並んでテイク管理もAbleton Liveを使っててかなり不満を感じる部分。
Liveって録音すると上書きされて、以前のテイクが消えるんですよ。(「Ctrl + Z」や「Cmd + Z」で元に戻すこと自体は可能)
ループで同じ箇所を何度も録音し直すときには長い1本のトラックとして録音できるんですけど、新しくレコーディングし直すと基本的に古いテイクは表示されなくなります。
ボーカルのレコーディングとかしてると、何テイクか録ったあと良いところをつなぎ合わせてベストテイク作るじゃないですか。いわゆるテイク・コンピングってやつです。
Liveだとわざわざ別トラックにレコーディングしなきゃいけないですし、ベストテイクを置く用のトラックも必要になるんですよ。めんどくさい。
スコアリング機能がない
最近スコアが書ける機能があるDAW、増えてるじゃないですか。
Liveもそういうのあったらなあ、と思うんです。
別にFinaleみたいな超本格的な機能はいらないので、MIDIノートをただ楽譜に変換してちょっと手直しできる位の機能が欲しいですね。
ドラムのステップシーケンサーがない
さんざん巷で「Ableton Liveはループベースでクラブミュージックが作りやすい!」とか言われてますが、ドラムのステップシーケンサーが付属しません。
同じくクラブミュージック特化で価格がかなり安めのFL Studioなんかでもステップシーケンサーって標準装備です。
一応PUSHというAbleton Live専用の拡張ハードウェアを使えばステップシーケンサー機能が使えるようになるんですけど、8万円以上しますからねあれ…。
ステップシーケンサーだけ使いたい人にそこまでの出費をさせるのはちょっと……って感じかもです。
PUSH自体はかなりいいものですが、ただでさえAbleton Live自体が高いのでステップシーケンサーくらい標準でついておいて欲しいところです。
ショートカット編集が弱い
ほんと、ショートカット関連が弱いです。そもそもショートカット編集という概念自体が存在していません。
公式で設定されたショートカットキーは一切変更することができないんです。
他のDAWから乗り換えた人にとってはまた最初からショートカットキーを覚え直す必要があるんですよね。
今となってはほとんど覚えましたが、最初にLiveに移ったときにはかなり苦労しました。
ちなみにマッピング機能というものを使えば、一応ショートカットキーを作成することができますが、これもいろいろと機能的に不十分です。
クオンタイズがかゆいところに手が届かない(64T、連符系)
Cubaseなら設定で5連符やら7連符やらにクオンタイズできますが、Liveだと奇数連符系は3連符だけにしか対応していません。
しかもその3連符も8分音符、16分音符、32分音符のみ。64Tはなし。あと、特殊グリッドも3連符系しかありません。
一応MIDIのストレッチング機能を使えば何連符でも打ち込めますが、もっと手軽にクオンタイズしたいもんです。
VST3に対応していない
ほとんどのプラグインはvst2に対応しているからいいんですけど、たまにフリーの優良プラグインでvst3にしか対応していないのあるじゃないですか。
ああいうとき困るんです。
Live9からLive10にアップデートするときに対応するのかな、と思っていましたが願いは叶わず。
今後、対応する日は来るのでしょうか。
※2019年2月8日追記
Live10.1のアップデートからVST3に対応することが決まりました!
やったぜAbleton Live!もっとがんばって!!
ストリップサイレンス機能がない
ストリップサイレンスというのは無音部分を自動でカットしてくれる機能。
Pro ToolsやLogic、Cubaseなどには標準搭載されています。
曲がアレンジまで終わったあと、波形として書き出して新しいプロジェクトでミキシングをする人も多いですよね。
ストリップサイレンス機能を使えば無音部分がすぐカットできるので、曲の構造が見やすくなるんですよ。
一応手作業でカットすればいいんですけど、何十トラックを一つずつカットするのは相当骨が折れます。
まあ、Liveのコンセプトとしては1つのプロジェクトで曲作りとミキシング、マスタリングまで完結させようっていう感じなんで、無いのは仕方ないのかも……
まとめ
Ableton Liveはだいぶ評判がいいDAWではありますが、使う人によっては不満を感じる部分もあるっていうのがなんとなく分かってもらえたでしょうか。
実際、LiveはいいDAWですができないことも当然あります。
もちろん逆に、他のDAWではできないけどLiveならできることもたくさんあります。
結局そういったメリットが自分にとって魅力的かどうかっていうのがDAWを選ぶ上で重要です。
メリットが最大限活用できるように役割ごとに複数のDAWを使い分けるというのもオススメですよ。
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