最近の音楽制作で「コンプレッサー」というと、大抵の場合プラグインのものを使いますよね。
プラグインのコンプにはさまざまな種類がありますが、一番人気なのがやはりビンテージ機材をエミュレート(再現)したもので、各メーカーがこぞって「伝説の〇〇を完全再現!」みたいなプラグインのコンプを発売しています。
とはいえ、今ではハードウェアのコンプを使ったことがないままエミュレーション系のコンプを使っている人も多く、「色々と種類があるけど何が違うのかわからん」という声もよく聞くようになりました。
ということで今回は、コンプレッサーの代表的な4つのタイプと相性のいいパートについて、できるだけ簡潔にまとめてみようと思います!
FET(トランジスタ)タイプ
【特徴】
- レスポンスが速い
- アタックタイムが速く、深めにかけられるので音作りにも適している
- スレッショルドがないのでインプットボリュームで調整
【相性がいいパート】
- ドラム等の打楽器やアコースティックギターなど、アタックが重要になるパート
- テンポが速い曲の各パート
- ロックの各パート
おなじみ1176がFET式のコンプレッサーにあたります。
FET式のコンプはとにかくレスポンスが速く、かかり方もクリアな感じ。
アタックもリリースも速く設定できるので歪んだ感じを出すことができます。
キレがあるかかり方をするので、アタックが重要になってくるパートにぴったりです。
OPT(光学式)タイプ
【特徴】
- アタックやリリースが固定
- 大抵の場合アタックの固定値が遅めなのでふわっとしたかかり方
- 自然に音量を整えることができる
- ナチュラルに質感を変えることにもよく使われる
【相性がいいパート】
- ボーカルやピアノ、ストリングスといったアコースティックな楽器
- ボーカルのかけ録り
- ゆったりとしたテンポのバラードの各パート
LA-2AやLA-3AがOPTタイプにあたります。
「光」というと、かなり速いイメージがありますが実際は逆で、非常にまったりとゆるやかな(悪く言えばアバウトな)かかり方をします。
光学式の名前の通り音量を光に変換し、その光量でコンプのかかり具合を決める方式で、ふわふわとついたり消えたりする電球を思い浮かべてもらえるとわかりやすいんじゃないでしょうか。
特徴としてはFET式の真逆といった感じで、ナチュラルで、やわらかな感じです。
VCAタイプ
【特徴】
- レスポンスが速い
- キツめからナチュラルなかかり方まで万能にこなせる
- まとまり感がよくバストラックやマスタリングでよく使われる
【相性がいいパート】
- バストラック
- マスタートラック
バスコンプに多く使われている方式で、SSL系やAPI-2500、dbx160系のコンプなどがあります。
パラメーターに対して反応が素早いのが特徴です。
ノイズが少なく、設定次第でナチュラルにもかかるので、バストラックやマスタリングなどトラックのまとまり感を出したいときによく使われます。
真空管(チューブ)タイプ
【特徴】
- 真空管独特の温かみのある、やわらかな潰れ方
- 真空管の倍音を付加するため「通すだけ」という使い方もよくされる
【相性がいいパート】
- チューブ感を付加したいパート
コンプ界の古参で1950年代にはすでに登場し、Fairchildのコンプはビートルズなども使っていました。
Fairchild660、670が有名で、中古で出回ると300万円はするとか……
割と何にでも相性がよく、使うだけで真空管の風味が付加されます。
多段がけすると、ピンポン録音で劣化したビートルズっぽいサウンドも作れたりしますよ。
まとめ
いかがでしたたでしょうか。
大まかに分けてハードウェアのコンプはこの4種類になります。
エミュレーションのプラグインもこの4つの動作を真似しているのがほとんどなので、知っておくと制作のときに役立つと思いますよ。
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