ドラムを始めたばかりの頃はスタジオやライブハウスにあるドラムセットを使っていた人でも、慣れて来ると自分の理想の音を追い求めて、マイスネアやマイドラムセットを購入する人も多いですよね。
そんな人が直面するのが、「ドラムヘッドどうすればいいの」問題。
買ったときは最初についてきたヘッドをそのまま使う場合が多いと思いますが、交換する時期になると「次のヘッドは何にすればいいんだろう」と悩んでしまいますよね。
「ドラムヘッドにこだわっている人は見かけるけど、実際のところそんなに音って変わるの?」という疑問を抱いている人もいるんじゃないでしょうか。
ですが、折角マイドラムを手に入れたからには音にはこだわりたいところです。
そこで今回の記事では、そんなドラムヘッドに関する疑問を解決していきたいと思います。
今回の記事の3つのポイントは以下の通りです。
- ヘッドによる音の違いを聴いて体感してみる
- ドラムヘッドの選び方
- 有名なドラムヘッドメーカーの一覧
それぞれ解説していきますので、ドラムヘッドの違いや選び方が知りたい方は、ぜひ最後までお読みください!
ということで早速やっていきましょう。
ヘッドによる音の違いを聴いて体感してみよう
「そもそもヘッドでそこまで音って変わるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
そんな方に、ドラムヘッドによる音の違いがよく分かる動画を紹介したいと思います。
すべて同じREMOというメーカーのヘッドですが、独特のアタック音を放つものから、暗めの響きのするもの、明るめの響きがするものまで様々です。
さきほどはスネアのヘッドでしたが、下の動画はタムヘッドの音の比較をしています。
どうでしょう、全然音が違いますよね。
同じメーカーで出ているヘッドなのに音が全くと言っていいほど変わるのがお分かりいただけたと思います。
ドラムヘッドの選び方
ドラムヘッドを実際に購入するときにどう選んだらいいか分からない人も多いと思いますので、ここでは選び方を解説して行きたいと思います。
ドラムヘッドにも色々な種類がありますが、ヘッドによって異なる部分は様々。
その中でも、音に与える影響が多いのが、
- ヘッドの厚み
- 素材
大きく分けてこの2つの要素です。
つまり、この2つの要素がどうなっているのかがわかれば、ある程度どんな音がするヘッドなのかが分かるということになります。
ということで、この2つの要素について詳しく解説していきましょう。
選び方のポイント1「ヘッドの厚み」
各メーカー、それぞれ異なる3つの厚さが用意されているものが多いです。
具体的に言うと、
Diplomat(ディプロマット)→Ambassador(アンバサダー)→Emperor(エンペラー)
の順でどんどん厚くなっていきます。
ちなみに直訳すればそれぞれ「外交官」、「大使」、「皇帝」です。
何でこんな名前になったんでしょうか。笑
それはさて置き、薄いヘッドほど音が繊細で細いサウンド、それに対して厚いヘッドほど大味で太いサウンドになる傾向があります。
それぞれの厚みの特徴をリストにしておきますので、ぜひ比べてみてください。
- 音色:明るい
- サスティン:長い
- レスポンス:速い
- 耐久性:低い
ディプロマットは繊細なコントロールがしやすいので、どちらかと言えばクラシックやジャズ向きですね。
- 音色:中間
- サスティン:普通
- レスポンス:普通
- 耐久性:普通
アンバサダーはオールラウンドに幅広く使える厚さです。迷ったらこれを選んでおきましょう。
- 音色:暗い
- サスティン:短い
- レスポンス:アタック感が強い
- 耐久性:高い
エンペラーは音が太いのでロックやパンク向いています。
厚みはフィルムの枚数でも変わる!
そして、この3種類あるヘッドの厚さの中にも、
- 1枚のフィルムで作られた1plyヘッド
- 2枚のフィルムを重ね合わせて作られた2plyヘッド
があります。
この2つを比べたのが以下の表です。
1plyヘッド | 2plyヘッド | |
倍音 | 多め | 少なめ |
サスティン(音の長さ) | 長め | 短め |
音の傾向 | 軽やか | ふくよか |
1plyは基準になるような音ですが、タイトなドラムを目指している方や、耐久性を求める方は2plyがオススメです。
また、あまり種類は多くありませんが、3plyのヘッドもあります。
3plyヘッドの音は、2plyの特徴をもっと顕著にした感じです。
選び方のポイント2「素材の違い」
ヘッド厚みによる選び方を紹介してきましたが、ここからは、ヘッドの素材の違いによる選び方を紹介していきます。
素材といってもほとんどはプラスチックですが、ヘッドによって表面の仕上げ方が異なっています。
(ちなみに昔は本皮のヘッドも多かったんですが、価格が高くなりがちで、コスパが悪いので今はほとんど出回ってません)
素材の違いは大きく分けて以下の2種類があります。
- プレーン系
- 特殊系
この2つの分類ごとにどんな素材のヘッドがあるのかということと、音の特徴について解説していきます。
プレーン系ヘッド
プレーン系は
- コーテッドヘッド
- クリアヘッド
の2種類があります。
まずは音の違いを体感できる動画を紹介します。(英語の動画ですが観ているだけで分かる内容になっています)
コーテッドヘッド、クリアヘッドの違いをリスト化しておきますと以下の通りです。
- 見た目:表面にザラザラしているコーティングを吹きかけた白いヘッド
- 音色:暖かみがある
- サスティン:短め
- 倍音:多い
- ブラシが使用できる
- 見た目:文字通り透明なヘッド
- 音色:輪郭、音程感がはっきりしている、明るめ
- サスティン:長め
- 倍音:少ない
- 抜けの良い音
スネアには基本的にはコーテッドヘッドが張られることが多く、オールジャンルに対応できます。
一方でクリアヘッドは輪郭がはっきりとしてアタックが目立つ印象の音なので、ロック系などに使われることが多いです。
特殊系ヘッド
基本的にはさきほどのプレーン系以外を特殊系ヘッドといい、ドラムヘッドメーカー各社がさまざまな製品を出していて、種類も多いです。
ここではその中でも特によく使われる以下の4種類を紹介していきます。
- センタードット系(CS系)
- ダブルフィルム系(ピンストライプ系)
- スキン系
- リングミュートを装着済みヘッド
それぞれの音が分かる動画も紹介しますので、あわせてチェックしてみてください。
【センタードット系(CS系)ヘッド】
センタードット系は見た目の通り、センターに丸いドットが入っているヘッドのことです。
REMOのCS(Controlled Sound)シリーズに使われているヘッドなので、「CS系」とも言います。
アタックを強調したヘッドで、
- スネア使用時:抜ける明るめの音が出る
- タム使用時:輪郭がはっきりしたアタック音が出る
- 耐久性が高い
といった特徴があります。
製品例:REMO CS(Controlled Sound)シリーズ、EVANS POWER CENTERシリーズ
【ダブルフィルム系(ピンストライプ系)ヘッド】
2plyのエンペラーをベースに二重構造のフィルムで作られたヘッドです。
REMOのPINSTRIPEシリーズで採用されてるヘッドなので「ピンストライプ系」とも言います。
特徴としては、
- 独特のアタック音
- 高音の倍音が少ない
- 音作りがしやすい
- 耐久性が高い
といった点が挙げられます。
製品例:REMO PINSTRIPEシリーズ、EVANS EC2シリーズ
【スキン系ヘッド】
本革ヘッドっぽい音が出るプラスチックヘッドのことです。
- 暖かみのある落ち着いた音色
- ジャズやクラシックに合う音色
- バディリッチのような昔っぽいヴィンテージなサウンド
といった特徴があります。
例:REMOファイバースキン、REMOルネッサンス
【リングミュートを装着済みヘッド】
文字通り、リングミュートをあらかじめ装着してあるタイプのヘッドです。
このヘッドの特徴としては
- ミュートがかったタイトな音
- 低音が強めの音
などが挙げられます。
バスドラムのヘッドはほとんどこのタイプが主流です。
例:REMO POWERSTROKEシリーズ、EVANS EMADシリーズ
ということで、特殊系ヘッドの紹介は以上です。
主なドラムヘッドメーカー
最後にドラムヘッドメーカーで有名なところをいくつか紹介します。
同じ厚さのヘッドでもメーカーによって微妙に音が変わってきますので、気になったものをYouTubeなどで聴き比べてみてください。
おわりに
以上が主なドラムヘッドの違いによる音の特徴でした!
もちろん、この他にも様々なドラムヘッドが存在していて、オイルが入っているものから穴が開いているものまであります。
フープとの組み合わせによっても音は変わってきますので、ぜひご自身で色々なヘッドによる音の違いを研究してみてください。