どうも作曲家のサッキー(@sakky_tokyo)です!
DTMをやっていると、たくさんのプロが「クオリティの高い曲を作るためにはインプットが重要」と言っている情報を目にしますよね。
それを意識して、普段からたくさん曲を聴いて勉強している人もたくさんいるんじゃないでしょうか。
確かにそれは非常に大切なことだと思いますが、よりインプットの質を上げるためには曲の聴き方自体も重要になってくると僕は考えています。
ということで、この記事ではよりインプットの質を上げたい方向けに、僕がおすすめしたい曲の聴き方をいくつか紹介していきましょう。
結論から書くと、今回紹介する方法は以下の4つ。
- 楽器単体で聞く
- コード進行とメロディの関係を分析
- メロディの音程とリズムを図にする
- ミックスに注目する
この記事では、これら4つの方法のメリットと具体的なやり方をこの記事では解説していきます。
耳を育てたい方はぜひ最後までチェックして実践してみてください。
それでは早速いっていきましょう!
【今回の動画】
今回の記事と同じ内容の動画をYouTubeで公開しています。
動画で内容をチェックしたい方はYouTubeから、文字で読みたい方はこのまま記事を読み進めてみてください。
楽器単体で聞く
この方法のメリットをまず説明しておきますと以下の通り。
楽器それぞれの使い方に対する理解が深まる
DTMでは「編曲」という作業が苦手な人が結構いると思うんですよね。
(編曲というのはメロディに対して伴奏を付けていく作業のことです)
メロディとコード進行はなんとか上手くできても、それに対して「どうやってドラムを付けたらいいの?」とか「ギターのフレーズはどうすれば?」といった悩みを経験した人、もしくは現在その悩みを抱えている人は多いんじゃないでしょうか。
そういった悩みに対する解決案として「楽器単体で聴き込んでいろんな楽器の使い方を学んでみる」というのがかなりおすすめなんです。
具体的なやり方
では僕がやっている具体的な方法を解説していきます。
結論から言うと僕がやっているのは同じ曲を何度も聴くということです。
例えば、
- 今回はこの曲に使われているギターだけに注目してみよう
- ベースだけに注目してみよう
- ドラムだけに注目してみよう
みたいな感じ。
1つのパートだけに集中して曲の最初から最後まで聴いていき、それを全パート分繰り返すというのが、僕が初心者の頃からよくやっている方法です。
また、僕はDTMを始めたばかりの初心者の頃はドラムの打ち込みがかなり苦手だったんですが、ドラムの各パートをさらに分解して聴くという方法もよくやっていました。
「スネアだけ」とか「バスドラだけ」みたいな感じですね。
細かいところに注目して1つの曲を何度も何度も聴くと、最終的には「1曲の中の全てのパートが、このとき何をしているか」というのが段々わかってくるようになります。
そうなってくると、かなり「音楽的な耳」が育ってくるんです。
耳が育つと、新しい曲を聴いてもなんとなく全体を聴きながら「あ、今ドラムはこんなことやってるな」みたいなことがわかるようになるので、どんどん分析も速くなってきます。
なので編曲が上手くなりたい人は、まずこの方法を試してみてください。
コード進行とメロディの関係を分析
この方法のメリットは以下の通り。
音の響きの分析がより深くできる
コード進行を分析するときって「伴奏の音」だけに注目してしまいがちですよね。
ですが、実際は「メロディの音」も楽曲全体の響きを作る大事な要素。
例えば伴奏が「Cメジャー(ド・ミ・ソ)」のコードで、その上に乗っているメロディの伸ばしの音が「D(レ)」だった場合を考えてみましょう。
伴奏だけを分析するとCメジャーコードの響きかと思いますが、メロディの伸ばしの音がD(レ)なので、楽曲全体の響きとしては「C add9th」になっているわけです。
メロディも含めて楽曲全体のコードを分析すると、より深く音の響きが分析できるようになります。
具体的なやり方
具体的なやり方はいくつかあります。
例えば、「コード進行とメロディを楽譜に起こす」や「DAWにコードとメロディだけ打ち込む」など。
そんな感じでやってみてください。
分析をするときのコツは、メロディの伸ばしの音に注目することです。
短い音は経過音的な使われ方するので、初心者の方はまず「メロディの伸ばしの音」と「伴奏のコード」の関係性に注目するとやりやすいと思います。
メロディの音程とリズムを図にする
この方法のメリットは以下の通りです。
メロディを俯瞰して分析できる
メロディというと耳で聴いて印象を掴んだり分析したりすることが多いと思うんですが、実は目で見ることでさらに深く分析できたりもします。
これは言葉だけでは非常に説明しづらいので、具体的なやり方に移って解説したいと思います。
具体的なやり方
まずはこの画像をご覧ください。
これを見て皆さんは何だと思いますか?
正解は『かえるの合唱』のメロディの音程とリズムを図にしたものです。
ご存知だと思いますが、一応動画を貼っておきます。
正解を知ってから見ていただくと何となく、図に起こすという意味が分かっていただけるんじゃないかと思います。
で、俯瞰して分析するというのはどういうことかと言いますと、次の画像をご覧ください。
これが『かえるの合唱』のメロディに対する僕の分析です。
画像だけだとちょっとわかりにくいので補足しますと、このメロディは「起承転結」の典型的なパターンになっています。
- 起…主題となるモチーフの提示
- 承…「起」のモチーフの形をそのままに、音程を全体的に上にずらした
- 転…今までの「起・承」と関係性の薄いメロディ
- 結…「起」とほとんど同じメロディ
実は「かえるの合唱」のメロディはこんな感じの構造になっています。
ここまでわかりやすく「起承転結」という形式になっている曲は珍しいんですが、その他の楽曲でもモチーフのリズムや音程を繰り返すことで曲を覚えやすくキャッチーにしていることが非常に多いです。
モチーフの繰り返しは耳で聞くだけだと分かりにくいこともあるので、それを分析するためにこの方法はかなりオススメ。
ここまで凝った図ではなく、「何となく」で書いた手書きの図でも分析はしやすくなりますので、ぜひやってみてください。
ミックスに注目する
この方法のメリットは以下の通りです。
ミックスの基本が徐々に分かってくる
DTM初心者は、ミックスに対して苦手意識を持っている人が結構多いと思います。
僕自身も初心者の頃はかなりミックスが苦手だったんですが「音楽の聴き方」自体をアップデートさせていったら、徐々にミックスが得意になってきました。
音楽の分析というと音程やリズムが注目されがちですが、ぜひミックスにも注目してみるのがおすすめです。
具体的なやり方
おすすめな方法は2種類あります。
- 各パートの音量と鳴っている場所を把握する
- 使っているエフェクトを想像して聴く
それぞれ解説していきましょう。
各パートの音量と鳴っている場所を把握する
ミックスに注目するといっても何をやっていいか全くわからない人も多いと思います。
そんな方は、まず「各パートの音量と鳴っている場所を把握する」ということを意識して聴いてみてください。
各パートの音量の相対的な関係(「スネアに対してボーカルはどのくらいの大きさか」など)と、鳴っている場所(ギターは右側で鳴っているなど)に注目すると、「ミックス感」というものが何となくわかってくると思います。
また、この方法をするときは1番最初に紹介した「楽器単体で聴く」という方法をやったあとに実践していただくと、かなり効果がアップします。
「楽器単体で聴く」というのは「ミクロな視点」で音楽を分析する方法なんですが、「各パートの音量と鳴っている場所を把握する」という方法は「マクロな視点」で音楽を分析する方法です。
この順番でやると、音楽の構造が詳しくわかってきますのでぜひやってみてください。
使っているエフェクトを想像して聴く
この方法は「仮説を立ててその検証」ができるようになる方法として非常におすすめです。
例えば、聴いている楽曲の中で特徴的な音があったら「この音って多分こんなエフェクトを使って作ってるんじゃないかな?」といった想像をしながら聴いてみてください。
それを自分の曲で実際に検証いくことで「やっぱりこの方法で同じような音が作れた」という経験や、逆に「思っていた音にならなかった」といった経験ができます。
ミックスでは、イメージ通りの音にするためにプラグイン等を使って近づけていく作業がほとんどです。
「イメージした音を作るための仮説と検証」の経験が増えてくるとミックスも上手くなっていきます。
おわりに:上質なインプットをして耳を育てていきましょう
今回は作曲力を上げる曲の聴き方というテーマで解説してきました。
今回紹介した方法をもう一度まとめておきますと、以下の4種類です。
- 楽器単体で聞く
- コード進行とメロディの関係を分析
- メロディの音程とリズムを図にする
- ミックスに注目する
どれも僕が実際にやって効果があったものばかりなので、ぜひ皆さんも実践してみてください。
ということで今回は以上!
僕はYouTubeでも音楽関連の講座動画をたくさん公開しているので、よかったらチェックしてみてください。
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