最近はスマホやPCで手軽にDTM(デスクトップ・ミュージック)ができるようになったこともあり、趣味として作曲をする人が増えています。
SNSなどではオリジナルソングを作って、お互いに評価し合う文化が出来てきたり、一人でPCを使って作った音楽を販売するなど、音楽制作がより身近なものになってきました。
とはいっても、PCやスマホさえあれば誰でもプロのような曲を作れるというわけではありませんよね。
そこで今回は作曲家の筆者サッキー(@sakky_tokyo)が、「全くの作曲初心者」がDTMでオリジナルソングを作れるまでの道のりを簡単に説明したいと思います。
ちなみに筆者はこんな曲を作る人です。
今回紹介するステップを踏まえていくと、こんな感じの曲が作れるようになります。
それでは早速解説していきましょう。
まず知っておいてほしいこと
最初は音楽経験があるかないかで大きく変わる
作曲初心者とはいっても、いろいろな人がいますよね。
例えば音楽の経験が学校の授業くらいしかない人、作曲自体は初めてだけどピアノは習ったことがある人などなど。
同じ作曲初心者でも既に持っている能力が人によって違います。
最近では、誰もが手軽にPCやスマホを使って作曲ができるようになったものの、クオリティの高い音楽を作るにはやはりそれなりの勉強や経験が必要になってくるのは当たり前です。
稀に、ピアノやギターが全く弾けないにもかかわらず、素晴らしい曲を作ってしまう人がいますが、ああいう人は例外中の例外。
楽器が弾けなくても日頃から音楽を聴き込んでいた人ならまだしも、なんとなく音楽が好きというレベルの経験だと、上手く行かなくて挫折する可能性が高いといえるでしょう。
逆に、今まで作曲はまったくやってこなかったけれどピアノやギターを10年以上やっている、なんて人は感覚だけを頼りに作曲することができます。
作曲・DTM初心者といってもさまざまなケースがあるので、自分はどのパターンにあてはまるのかを考えてみてください。
もし、あなたが音楽経験がないのなら、いきなりオリジナル曲を作る前にやっておいたほうが良いことがあります。
それをやっておくだけで挫折をする可能性をかなり減らせるんです。
音楽経験がない人は真似から始めよう
結論から言えば、まったく音楽経験がない人については、他人の曲をまるまる真似することから始めると挫折が少なくなります!
(もちろんこの方法は、ある程度音楽経験がある人にもおすすめです)
ピアノなど、楽器を始める人はコピー(真似)を最初にするのが一般的ですが、不思議なことに、作曲の初心者の人は最初からオリジナルの作品を作ろうとしがちです。
ですが、最初からオリジナルの作品を作ることは正直言っておすすめできません。
考えてみればわかりますが、音楽経験のない人は音楽のスタンダードを知りませんよね。
それに音感やリズム感もそこまで育っていません。
これらの能力は、作曲では必須の能力です。
全く知らない国の言葉をいきなり喋ることがとてつもなく難しいように、音楽というこれまで全く経験したことがない言語をなんの予備知識もなく話すことは不可能ではないでしょうか。
まれに、いきなり作曲ができてしまう人がいますが、これは本当に少ない例で、たいていの人は何らかの真似から始めます。
それに真似は「オリジナル」という完成品がある、つまりゴールが明確な行為なので、心理的にもストレスが少なく済むというメリットもあるんです。
いきなり自分自身のオリジナル作品を作るということは、思わぬ落とし穴になります。
DTMと作曲は分けて考えよう
初心者にとって、もう一つの落とし穴になるのが「DTMと作曲を一緒くたにしてしまう」ということ。
本来作曲は音楽、DTMはPCやエンジニアリングなど、それぞれが微妙に違った分野の技術で、それらを同時に習得するというのはとても難しいんです。
DTM初心者のころにありがちな悩みなのが、音楽理論やジャンルなどの知識を身に着けたはいいものの、ミックスが上手くいかないということではないでしょうか?
これは、音楽技術を身に着けても、PCやエンジニアリングの知識がなければしかたのないことです。
逆に言えば、せっかく作曲の技術を磨いて来たのに、DTMがよくわからずに挫折してしまうのは非常にもったいないといえるでしょう。
現代の音楽制作において、DTMと作曲は密接にかかわりあっているのは確かですが、音楽初心者にとってDTMと作曲の技術は分けて習得すべきです。
実際、昔ながらの作曲家はPCを使わずにピアノと五線譜だけで作曲をしてきました。
自分がいま、何が足りなくて何を勉強すべきなのかをしっかりと自覚しましょう。
作曲を優先に、といいたいところですが、ダンスミュージックなど、作曲の技術・音楽理論よりもDTMの技術が重要なジャンルもあるので、自分が作りたい音楽は何が一番重要なのかを考えながら勉強していくのがおすすめです。
全くの作曲初心者がDTMで曲作りができるようになるまでの3段階
段階1:全くの初心者は楽譜を買ってきて打ち込むべし
さてさて、全く音楽・DTMのスキルが身についていない人にまずおすすめなのが、
バンドスコアや楽譜を買ってきてそれをそのままDAWに打ち込むという方法です。
先程も言ったように最初は何事も真似から始まります。
とはいえ、音感やリズム感がない人は耳コピはとてもむずかしいのは事実。
なので、市販の楽譜やインターネット上で無料で公開されている楽譜をそのままDAWに打ち込んでしまいましょう。
こうすることによって、音楽の基礎の基礎が身につきます。
ただなんとなくいつも聴いていた音楽を、楽譜から再現するというだけの行為ですが、非常に効果的です。
やり方は簡単で、楽譜に書いてある楽器をDAWの付属音源から選んで、五線譜の通りに打ち込んでいくだけ。
ギターやドラム、ベース、ピアノなどの基本的な楽器はたいていのDAWに付属しています。
もし、付属していないDAWをお使いでしたら、無料のプラグインをインストールして使ってみてください。
しかし、はじめての人にはそれでも難しいと思います。というのもやはり、そもそも楽譜が読めないと打ち込みが出来ないのです。
ここは我慢して乗り越えましょう!笑
音楽にとって楽譜は、言葉にとっての文字のようなものですからね。
読み書きが出来なくても一応はコミュニケーションが取れますが、覚えておいて損はありません。
段階2:コピーした曲を原曲に似るようにミックスしてみよう
おそらく、楽譜をそのまま打ち込んだだけでは、何故かサウンドがしっくりこないことが多いと思います。
その原因はたくさん考えられますが、一番大きいのがきちんとしたミックスの処理をしていないからです。
ミックス(=ミキシング)というのは、簡単に言えば音と音を混ぜること。
プロが作った音楽というのは必ずこのミックスという工程を経て、私たちに届けられます。
このミックスという作業がDTMの中で最も「初心者泣かせ」なものなんですよね。
正直いって、全くの初心者はこの工程をすっ飛ばしてしまっていいと思います。
ですが、ある程度の曲数をコピーしてきて、なんとなく慣れてきたらミックスにチャレンジするのがおすすめです。
まずはコピーした曲を、原曲に似るようにミックスしてみましょう。
本来、ミックスというのは正解というものがないのですが、それ故なにをやっていいか戸惑ってしまいます。
コピーした曲なら、原曲をある種の「正解」としてミックスできるのでちょっとは楽です。
ミックスに関してはYouTubeなどでもある程度なら無料で学べますし、書籍などで勉強することもできます。
とりあえずお金をかけたくない方はYouTubeでサーチしてみて、詳しく学びたくなったら書籍を買うというのがオススメです。
ちなみに筆者は『音圧アップのためのDTMミキシング入門講座』という本で最初は勉強しました。
付属のDVD-ROMには曲のパラデータが付属し、本を読みながら同じ音源でミックスを実践できる形式で、とてもタメになります。
興味がある人はぜひどうぞ。
段階3:慣れてきたら遊び感覚で作曲しよう
音楽に関係するいろいろな感覚・技術が身についてきたら、なんとなくでいいのでオリジナル曲を作ってみましょう。
ここで大切なのが「遊び感覚で作曲する」ということ。これは本当に大事です。
いきなり名曲を生み出そうとするのは誰しもが経験しますが、最初の1曲はどんな人でも拙い作品になります。
1曲に魂を込めるのもいいですが、それより大事なのは音楽を楽しんで、遊び感覚で作曲するということです。
オリジナルの作品を作り始めたころは、クオリティが低くなってしまうのは仕方がありません。
そこで、自分に才能がないと思ってうんざりしてしまうのか「楽しいから、ま、いっか」と何曲も作り続けられるのかで、その後の曲のクオリティが変わってきます。
どんなものでも数をこなせば自然と技術が身についてくるということをしっかりと覚えておきましょう。
最初はとりあえず1曲を完成させることを意識しておくと、うまくいきますよ。
作曲に関しては、僕の持論では「コードから作曲」が初心者でも比較的とっつきやすいと思います。
初心者のころはメロディを先に作ろうしてしまいがちですが、メロディにコードをつけるのはなかなか難しいです。
それよりも、定番のコード進行を真似して、それを聴きながらオリジナルのメロディを作ったほうが先に進みやすくなります。
まとめ
作曲初心者がDTMでオリジナルソングを作るまでの道のりをまとめると
- 楽譜をそのまま真似してDAWに打ち込む
- コピーした曲をミックスしてみる
- 遊び感覚で作曲してみる
の3ステップになります。
これ以外にもさまざまな方法がありますが、なんとなく行き詰まっていたり、何をやればさっぱりわからない人はこの方法がおすすめです。
ちなみに筆者は音楽関連の講座動画をYouTubeでたくさん公開しているので、よかったらチャンネル登録お願いします!
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