巷でよく言われる「メロディセンスは生まれ持った才能」説。
この説によれば、メロディセンスは生まれ持った才能であるため、その才能によって良し悪しが決まるということらしいです。
確かに、メロディ作りって結構悩みますよね。
しかも、有名ミュージシャンがインタビューなどで「メロディが天から降りてきた」なんてことを言うので、自分がうんうん唸りながら作ってもそんな人には敵わないだと思ってしまう方もいるかもしれません。
が、本当にそうなのでしょうか?
僕の持論ですが、これは間違っています。
メロディセンスは生まれながらのものではなく、磨いて育てていくものです。
確かに、作曲を初めて数年で素晴らしいメロディを書ける人はいるかもしれませんが、沢山の楽曲をインプットして、センスを磨くことで「後天的に」良いメロディを書けるようになった人もたくさんいます。
しかしながら、ただ単に聴くだけではあまりに非効率。
そこで今回はセンスを磨くのに効果的な、メロディ分析の方法をご紹介したいと思います。
センスの成長を加速させる分析方法
では実際にセンスを成長させるために効果的なメロディ分析方法を紹介したいと思います。
メロディの種類を分ける
そもそもメロディにも色々な種類があります。
例えば、音程の変化が激しい歌謡曲的なのメロディや、洋楽的なリズム重視のメロディ、モチーフから発展させるメロディなど思いつくだけでもたくさんあります。
「メロディはメロディだろ!」って思ってしまうかもしれませんが、多くのプロ作曲家は種類を意識してメロディを作っているというのは大きな事実です。
例えば、AKB48の楽曲はどれも、メロディを聞いただけで「これはAKBっぽいな」という印象を抱くと思うのですが、実は作曲家は曲ごとにバラバラです。
でも、なぜバラバラの作曲家たちが同じような印象のメロディが作れるのかというと、プロはメロディの種類を操作できるためです。
このように考えるとメロディにも種類があることは分かっていただけると思います。
そのメロディがどの文脈によって生まれたものなのかということを考えて自分の中でカテゴライズしていきましょう。
コードとの関係を分析する
同じメロディでもコードが違えば一音一音の役割が変わってきます。
例えば皆さんご存知「かえるのうた」。
コードによっては明るく聞こえますし、
暗く聞こえさせることもできます。
メロディとコードは切っても切れない関係にあるので、メロディを考えるときにはコードも一緒に考える必要があると言えるでしょう。
メロディの中の音がコードの上で3rdなのか9thなのか、はたまた経過音的なものなのかということを考えながら分析します。
バッキングのリズムとの関係を分析する
例えばロックでよくあるBPM160~180くらいの疾走感のある8ビートのバッキングと、BPM100前後のファンキーな16ビートの上ではメロディに用いられるリズムの傾向が変わってきます。
前者の疾走感のある8ビートでは表拍を重視したリズムだったり、テヌート気味なメロディがよく用いられるのに対して、後者のファンキーな16ビートの上では裏拍を重視したリズムやスタッカート気味のメロディが比較的用いられやすいと思います。
このように、バッキングのグルーブ感やリズムモチーフによってメロディのリズムが変わっていきます。
メロディの音程構造に着目する
覚えやすく、親しみを感じるメロディは音程的に対比構造を持っている場合が多くあります。
皆が一瞬で覚えられるであろう「かえるのうた」でも1小節目の「ドレミファミレド」の次に「ミファソラソファミ」、「ド・ド・ド・ド」と続き、そして「ドレミファミレド」に戻っていきます。
この曲では、音程の平均値を考えると4小節の中で「中・高・低・中」という対比構造になっていますよね。(「起・承・転・結」と考えても良いかもしれません)
これは1小節単位の小さな単位での分析ですが、4小節単位や16小節単位でも分析するとより深くメロディを理解できます。
メロディのリズム構造に着目する
これは多くの人にとって意外と盲点らしく、メロディの音程を分析する人は沢山いますが、リズムを分析する人はあまり見かけません。
ですがこの方法の効果はかなり高いのでオススメです。
具体的にはメロディのリズムだけを採譜していく方法がいいと思います。
そして、そのメロディの主体となる音価は何なのか、リズムの対比構造はどうなっているのかを分析していきましょう。
そうすることでメロディのリズム構造が見えてくると思います。
楽曲構成との関係性を分析する
楽曲中のセクションによってもメロディの傾向が異なりますので、楽曲全体を見て何故その場所にそのメロディが置かれているのかを考えましょう。
例えばJ-pop的なAメロ→Bメロ→サビという構成では、盛り上がるサビ部分が一番音程が高くなるのが普通です。
楽曲構成のどのセクションどんな音程・リズムを用いられやすいのかを考えながら分析していきましょう。
おわりに
今回の記事ではメロディの分析方法について書かせて頂きました。
さきほど紹介させていただいた分析方法は、1つ1つ個別に考えてもそれなりに効果がありますが、メロディは様々な要素で成り立っているのでそれぞれを関連付けて分析するとより一層効果があります。
また、「メロディを分析しても新しいオリジナリティのあるメロディが作れなきゃ意味がない」ということを考える方もいるかと思いますが。僕は逆にオーソドックスを知ることで、そこから一歩踏み込んだメロディだったり、オーソドックスから外れたメロディを作ることができると思っております。
そして普段からメロディの分析を行っていれば「天からメロディが振ってくる」のを待つのではなく、自分の意図したメロディを自由自在に創り出すことができるようになるでしょう。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。
ではまた会いましょう、サッキーでした!
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