バンドマンにはお金がない。
お金がなくても音源は出したい。
音源を出すためにはレコーディングをしなければならない。
こう考えるバンドマン達が見つけた1つの希望。
「誰かに頼むと金がかかるなら自分で録ってしまえばいい」
セルフレコーディングをしたいバンドマンのみなさん、こんにちは。
サッキーと申します。
今回はドラムのセルフレコーディングについての記事を書いてみたいと思います。
打ち込みではダメなのか?
最初に言っておきますが、素人がまともにレコーディングをすることは非常に難しいです。
ドラムのレコーディングはマイクを使用することが一般的ですが、マイクはただ立てればいいってものではありません。
音の被りや位相のチェックは勿論、マイクを立てる場所によってサウンドは変化するもの。
ギターならマイクは2本あれば充分ですが、ドラムなら通常なら最低8本はマイクを立てます。
つまり、8本のマイクをそれぞれコントロールして丁度いいバランスの所を探さなければいけません。
それに対して、打ち込みドラムはプロのエンジニアがマイキングした音を簡単に再現してくれます。
しかも最近の打ち込み音源は大変進歩しているので、相当耳が肥えている方で無い限り、打ち込みだと気付きません。
下の動画の冒頭を御覧ください。
どうでしょうか。相当耳が良い方ではない限り打ち込みだと気づかなかったのでは?
この動画に使われているのは「BFD3」というドラム音源ですが、セール時は1万円以下でも買えます。
1回のレコーディングにかかるよりも安い値段で、ずっと使えるんです。
ドラマーにとってはどうしても打ち込み音源を使うことに抵抗があるかもしれませんが、一般リスナーはドラムの音色が打ち込みか人力か、なんて判断することはできません。
バンド活動には妥協がつきものですが、一度打ち込みを使ってみることを検討してみてはどうでしょうか。
レコーディングの難しさがわかった上で、どうしても自分でレコーディングをしたいという方は下にお進みください。
素人がドラムを良い音でレコーディングする方法
ようこそ、音楽伏魔殿へ。
あれだけ打ち込みをオススメしたのに、ここを読んでいるというあなたは相当なドラムフリークス。
音楽フェチというよりも音フェチと言っても良いかもしれません。
では早速ドラムのセルフレコーディングについて考えていきましょう。
今回はお金がないバンドマンの皆さんの為に、出来るだけ安く簡単にできる方法の中で、しかも可能な限り「良い音」で録れるようなものをご紹介できたらな、と思います。
レコーディングに適した部屋を選ぼう
ではまず、レコーディングの前の準備として、当たり前ですが場所を予約しましょう。
できたらレコーディングスタジオを借りるのが一番いいです。
が、レコーディングスタジオを借りるのはお金が結構掛かるので、ここはリハーサルスタジオにしておきましょう。(そうすれば失敗しても出費が少なくて済みますし)
リハーサルスタジオの部屋ですが、お店によっては稀に「ドラムレコーディング専用の部屋」みないなものがあるので、ある場合はそちらを借りてみましょう。
ない場合は普通のお部屋でもOKです。
部屋を選ぶ際はあまり小さすぎない部屋にしたほうが良い結果を得ることができます。
リハスタはレコーディングスタジオとは違って防音性能がそれほど高くなく、音が壁に跳ね返ってしまう場所が多いです。
練習にはある程度音の跳ね返りが合ったほうが良い場合が多いのですが、レコーディングには適していません。
そして小さすぎる部屋だと、残響が多く録音されてしまうので、後々のミックス作業がやりにくかったり、他のパートと馴染みにくい音になってしまいます。
また、大きければ大きいほど良いわけではなく、音楽ホールなどを想像してもらえれば分かると思いますが大きい部屋は床面積が多いので残響が多くなってしまいます。
目安として10帖~15帖程度の部屋が良いでしょう。
機材を用意しよう
恐らくリハーサルスタジオでレコーディング用のマイクセットが追加レンタルできると思いますので、マイクはそれを使いましょう。自分で購入すると最低でも10万くらいはかかると思います。
また、レコーディングするためにはMTRやPCのような音を録音するための機材が必要です。
PCで録音する場合は
- ノートPC
- オーディオIF
- DAWソフト
が最低でも必要となります。
オーディオIFはマイクの本数が多いのでInput数が8ch程度のものが必要です。
MTRで録音する場合でも8ch入力に対応したものが良いと思います。
オススメはオーディオIF機能が付いているMTRです。
例えば、ZOOMの「R16」は8ch同時録音可能なMTRでありながら、オーディオIF機能もついているので、MTRとしても使えますし、DAWソフト上でのレコーディングも対応しています。
チューニングをしよう
ドラムにとってチューニングはギターでいう音作りです。
曲にあった音になるように、ピッチの調節やミュートをしましょう。
また、ドラムのチューニングはそれをするプロがいるほど難しいものですが、プロに頼めるほど財政が豊かなバンドマンはセルフレコーディングはしないと思いますので、参考になるような動画をご紹介します。
下の動画はスネアのチューニングに関するものです。
英語ですが、見ているだけでもチューニングの手順や音の確認は出来るので警戒心は持たず見てみてください笑
動画の途中でヘッドに書いてある「ヘ」みたいな文字は「1」です。キーを回す回数を示しています。
バスドラムは以下の動画が参考になると思います。
チューニングのやり方は人によってそれぞれですので、YouTube等で探してみるといいでしょう。
マイクをセッティングしよう
チューニングが終わった後は、マイキングをしていきます。
「良い音」でレコーディングするためにはマイキングが一番重要です!
心して準備しましょう。
まずはマイキングの前に、マイクを立てる場所を決めていきましょう。
ここでは、リハーサルスタジオに置いてあるようなバスドラムとスネアが1つずつ、タムが合計で3つに+シンバル類といったようなドラムセットを想定します。
では、マイクは何本必要になるのでしょう。
先程のようなセットなら8本~10本のマイクでドラムをレコーディングすることが一般的です。
しかしながらセルフレコーディングでは、スタジオのマイクセットやオーディオIFのinput数の都合で、多くのマイクが使えない状況も考えられます。
そのような状況では、マイクに優先度を付けて対応します。
考えてみればわかりますが、実はマイクの中で一番優先度が高いのはシンバル等に向ける「オーバーヘッドマイク」です。
これさえあれば一応は全ての楽器の音が収録できますので。
このオーバーヘッドマイクを基本として使える本数によってマイクを追加していきます。
例えば4本しかマイクが使えない状況ならば、以下の4本を立てるのがいいでしょう。
- オーバーヘッドマイク ×2
- バスドラムマイク ×1
- スネアマイク ×1(オモテ面)
このセッティングならバスドラムの重量感やスネアの残響をしっかり録音することができます。
また、8本使える場合には私がレコーディングするときは以下の8本のマイクを使う場合が多いです。
- オーバーヘッドマイク ×2
- スネアマイク ×1(オモテ面)
- ハイハットマイク ×1
- バスドラムマイク ×1
- タムマイク ×3
しかしながら、このセッティングではスネアに1本しかマイクが使えません。
スネアのスナッピーサウンドが重要になるような曲の場合はどうするかというと、ハイハットの録音をオーバーヘッドマイクに任せて、スネアの裏面にマイクを立てます。
さて、マイクを立てる場所が決まったらマイキングをしていきます。
マイキングについては文章で説明しても分かりにくいと思いますので参考になる動画をご紹介します。
上の動画では少ないマイクでのマイキング、下の動画ではそれ以上の本数が使える場面でのマイキングについて解説しています。
サウンドチェックをしよう
マイキングが終わったらドラマーに叩いてもらいながらサウンドチェックをします。
サウンドチェックと同時にドラマーに返すモニター音も作っていきますので、ヘッドホンを2つ用意してドラマーに渡しておきましょう。
MTRやオーディオIFにあるヘッドホン端子が1つしかない場合は、ヘッドフォン端子を二股に出来る変換アダプターがあるのでそれをスタジオのスタッフさんに借りましょう。
さて、サウンドチェックの方法としては、まず最初に個別の楽器を1つだけ叩いてもらいながら音の質感等をチェックし、同時に曲中での最大音量がピークを超えないようにボリュームを調整していきます。
ピークを超えてしまうと音が割れます。折角良いテイクが録れたと思って後から聴いてみたら音が割れていてやり直し、なんてことになってしまうと時間もお金も無駄になってしまいますので気をつけましょう。
また、それと同時にPAN(定位)の調整もしていきます。
CD音源ではライブで言う所の観客視点で定位が調整されている楽曲も多いですが、レコーディングではドラマー視点で音が鳴るようにPANを設定していきます。(右のシンバルを叩いているのにヘッドホンの左から音が出てきたら気持ち悪いですよね)
個別のマイクの調整が終わった後はキット全体を叩いて貰いながら、バランスを調整していきます。
この時ドラマーが叩きやすいように返しの音の要望を聴きながら音を作り込んでいきましょう。
これが終わればようやくレコーディングです。
レコーディングをしよう
さて、いよいよレコーディングです。
レコーディングの際には精確なクリックを用意して、それを聴きながら叩いてもらいましょう。
レコーディングに関しての注意点はいくつかあります。
まず1つは、ミスをしても途中でやめないということ。
レコーディングでは後で間違った所をパンチインして直すことができます。
ノーミスを目指すよりも、良いテイクを繋ぎ合わせたほうが効率的です。
2つ目は、音量をキープするということ。
ドラムは曲の骨格です。
あまりに抑揚を付けすぎると鳴りが一定ではなくなってしまうので、後々他のパートが入ってきたときに曲が不安定になってしまいます。
また、あまりに抑揚を付けてしまうとミックスもしづらいので、狙ってやる場合以外は一定の音量をキープしたほうが良い結果を得られるでしょう。
そして3つ目は、楽しんで叩くということ。
リズムキープや音量キープなど、考えることが多いので縮こまったドラミングになってしまいがちですが、ドラムがつまらないと曲がつまらなくなってしまいます。
冷静に叩きつつも、頭の片隅には「細けえことはいいんだよ!」の精神を持っておきましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
バンドマンにとってレコーディングは重要な活動であることは確かですが、資金的に厳しいバンドも多いでしょう。
しかしながら、セルフレコーディングの技術を身につければ資金も抑えることができますし、浮いたお金を他のところに使うこともできます。
技術的に難しいことは確かですが、その分技術を身に付けられれば多くのメリットを得られるということです。
この記事が少しでもその助けになれば幸いです。
ではまた会いましょう、サッキーでした。
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