【DTM】リバーブを直接インサートして使う場合とその理由

DTM関連の雑誌やインターネット上の情報サイトなどには、当たり前のように「リバーブはセンドリターンで使うべし!」ということが書かれています。

もう、当たり前すぎて誰もその正当性を疑わなくなるレベルで、もはや日本のDTMerの間では常識といっても過言ではありません。DTMを始めて半年くらいの人でも普通に知っていますよね。

そういった雑誌やサイトでは、リバーブをセンドリターンで使う理由として

  • 同じリバーブを共有することで空間に統一感が出る
  • リバーブの数を減らせるのでコンピューター負荷が減らせる
  • リバーブ成分だけエフェクトをかけることができる

などが良く挙げられています。

確かにこれらの理由はもっともと言えばもっともでしょう。

 

ですが、海外のDTMをやっている人、とりわけダンスミュージック系のトラックメイカーやDJ、プロデューサーなどは、リバーブをトラックに直接インサートして使っている人が多いんです。

YouTubeなどでよくあるDTMのチュートリアル動画や、制作風景の動画はたくさん視聴しましたし、海外プロデューサーのワークショップなどでプロジェクトの中身もいくつか見ましたが、ほとんど方はリバーブをトラックに直接インサートしていました。(もちろん、センドリターンで使っている方も多少はいましたが)

 

なら日本でDTMをやっている人も、妄信的に「リバーブ=センドリターン」で使うと考えすぎないで、場合によってインサートで使うときがあっても良さそうじゃないですか?

その方が音作りの幅も広がりそうです。

ということで、リバーブをインサートで使う場面などを僕なりに考えてみました。

【今回の動画】

ちなみに今回の記事と同じ内容の動画をYouTubeで公開しています!

サウンドつきで詳しく解説しているので、音声で内容を確認したい人はYouTubeから、文字で読みたい人はこの記事を読み進めてみてください。

 

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そのトラックにしか使わない設定のリバーブ

まず思い浮かぶのがこれじゃないでしょうか。

リードシンセのためだけに作った設定のリバーブや、エフェクトクラップ用のロングリバーブなど、1トラックのためだけに使うリバーブの場合です。

1トラックのためにわざわざセンド用トラックを立ち上げるのも面倒ですし、そもそも「リバーブの統一感」とか「CPU負荷を下げる」とかいうセンドを使う理由がほぼ無くなってしまいますからね。

1トラックだけしか使わないリバーブなら直接インサートするほうが速いと思います。

 

リバーブにオートメーションを書いたり、サイドチェインをかけたりするときに便利

ロック系の方などには馴染みが無いかもしれませんが、ダンスミュージックだとリバーブにオートメーションを書いてフレーズに取り入れたり、リバーブ成分ごとサイドチェインをかけてダッキングすることが結構あります。

こういうことをするときには直接インサートしたほうがいいです。

圧倒的にサウンドコントロールが楽になりますし、トラック全体の管理も楽になると思います。

 

遠鳴り音が欲しいとき

これも結構よくある気がします。

曲を作っているとめちゃくちゃ遠くから聞こえるような音が必要になる場面が出てきたりしますよね。

センドリターンでリバーブに送る音量って大抵MAXで0db(=原音と同じ)なので、普通だと「ドライ音:リバーブ音」=「1:1」がMAX状態。

それ以上の遠鳴り感を出すにはインサートでWETを50%以上にするか、もしくはセンドリターントラックをプリフェーダーに変更するかどちらかになります。

プリフェーダーにすると、トラックのフェーダーに関係なく、センド量を決めることができるので、ドライ音よりウェット音の方が大きくすることも可能です。

ですが、Ableton LiveなどのDAWではAUXトラック自体がプリフェーダーモードになり、リバーブを共有している他のトラックにも影響が出るので、そういったDAWを使っているときには直接インサートをするのがオススメです。

 

音量をできるだけ変化させたくないとき

センドリターンでリバーブを使っているとき、リバーブへのセンド量を増やすと全体の音量が少しずつ大きくなります。

これはセンドリターン方式だと基本的にドライ音にウェット音を加えることになるからです。

一方、直接インサート方式だとリバーブのWET/DRYを混ぜ合わせるので、音量の変化が起きにくくなります。

簡単にいうと、

  • センドリターンはドライ音100に対してウェット音を0、10、20……と追加していくので、音の総量がどんどん増えていく
  • 直接インサートはドライ音とウェット音の総量が100のまま、バランスだけが変化していく

という違いがあり、音量を変化させたくないときには直接インサートしたほうが、ミックスのバランスが崩れにくくなりますよね。

特にボーカルのミキシングなど、繊細なボリュームコントロールが求められる場面では、インサートのほうが音量管理が楽になるかも。

 

おわりに

いろいろ考えてみるとインサートの利便性も結構ありますよね。

特に最近のリバーブは動作が軽いものも増えてきていますから、結構な数をトラックに挿しても大丈夫だったりします。

インサートしたほうが音をコントロールしやすいので、軽いリバーブをトラックにバンバン挿して細かくコントロールしている人が海外には多いのかもしれませんね。

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