曲ができたらCDにしたいと思うのは、音楽をやる者として正常な反応(?)だと思います。
僕も過去に何枚か自主制作のCDを何枚か出した経験があったり。
でも初めての場合は自主制作CDってどう作ったらいいか分からないですよね。
そんなわけで、今回の記事ではDTMで自主制作CDを作る方法をできるだけ要点を抑えて簡単に説明したいと思います!
結構長い記事ですが、将来的にCDを作ることを考えている人は読んでおいて損はありません。多分。
それではいってみましょう!
楽曲制作編
ここではDTMで楽曲を制作する過程を簡単に説明します。
「そんなこと分かってるよ!」っていう生粋のDTMerの方は下のパッケージ制作編まで飛ばしてくださいね。
曲を作ろう
当たり前ですが、曲を作らなければアルバムどころかシングルもできません。
DTMで楽曲を作っていきましょう。
曲は自由に作っていくのが基本ですが、アルバムを作っていくときには何らかのコンセプトを決めた方が曲が作りやすいと思います。
また、収録曲数より多めに作っておいて、その中から選ぶとCDのクオリティが上がりますよ。
ミックス(ミキシング)をしよう
作曲が終わったら、ミックスをしていきましょう。
ミックスというのは音を混ぜ合わせる工程のことで、このときに各演奏パートの音量や帯域などを調整して、聴きやすい音源を作っていきます。
もちろん、アルバムやシングルに複数の曲を収録する予定のときには、全ての曲を個別でミックスしていきます。
ミックスのやり方については長くなってしまうので、ここでは省略しますが、ただ一つ言えることは一朝一夕ではできないということです。
ミックスはそれを専門としている職業があるほど難しいもの。
何度も挑戦し、現時点の自分にできる最高の音源を作っていきましょう。
(プリ)マスタリングをしよう
楽曲の仕上げとしてマスタリングをしましょう。
本来マスタリングというのはCDをプレスする工程で原盤(スタンパー)を制作する過程のことを言うのですが、
最近では音圧調整やフェードなどの処理をする楽曲制作の採集工程であるプリマスタリング段階を「マスタリング」と呼ぶことが一般的です。
CDを作る際のマスタリングでは、複数の曲の世界観を統一することが求められます。
普段、一曲一曲を個別でマスタリングしているDTMerの人はここがつまづきやすいんじゃないでしょうか。
アルバムマスタリングのときのポイントは
- ラウドネスメーターと耳を使って音圧を揃える
- トゥルーピークに気をつける
- いろいろな環境で聴く
- 他人に聴いてもらう
の4つだと思います。
簡単に解説しましょう。
ラウドネスメーターと耳を使って音圧を揃える
複数曲を収録する予定があるときには、楽曲それぞれの音圧を揃える必要があります。
音圧というのは色々な解釈があるんですが、簡単に言えば聴覚上の音量のことです。
曲ごとに音量差がありすぎると聴きにくいのは皆さんも経験的に分かると思います。
これを揃えるために、まず使うのがラウドネスメーターという機材(プラグイン)です。
これは、人が聴いたときに感じる音量を数値化してくれるというハイパー便利なプラグインで、電気信号をただ右から左に処理するだけのピークメーターとは全く別物です。
無料のラウドネスメーターがたくさんありますので探してみましょう。
有料のものだとWaves WLM Plus Loudness Meterなどが有名だと思います。僕も使っています。
ラウドネスメーターを使って、数字で音圧を揃えると、大体いい感じになります。
メーターだけでなく自分の耳でも確認するとバッチリです。
音圧を揃えるときには、音圧が低い方と高い方、どちらに揃えるかという問題があります。
音量が大きいとカッコよく聴こえるので、ついつい音圧を高い方に揃えたくなりますが、あんまりオススメできません。
というのも、再生時の音量はリスナーが決めますよね。
音圧を大きくしすぎるとリスナーが音量を下げてしまうので、せっかくダイナミクスを犠牲にして得た音圧の意味がありません。
それに、最近では勝手に音量を揃える機能がYouTubeなどでは搭載されているので、音圧を上げすぎると返って損をします。
もちろん、ジャンルや曲によっては音圧バッキバキの方がカッコイイ場合もあるので簡単には言えませんが。
トゥルーピークに気をつける
トゥルーピークというのは読んで字のごとく「真のピーク」のこと。
解説はややこしいので省きますが、ピークメーターで0dbを超えていなくても、再生環境やファイル形式が変わるとピークを超えてしまうことがあります。
ミックスダウンした音源は普通なのに、mp3にしたら音が割れてしまう現象の原因はコレです。
これを抑えるためには何種類か方法があります。
一つはリミッターのシーリングレベルを下げるという方法。
リミッターによって癖が違うので一概には言えませんが、0.2~0.3dbほどシーリングを下げてあげると良い結果が得られる場合が多いです。
(WavesのL2なら赤枠のところがシーリングです)
または、トゥルーピークリミッターというプラグインを使うやり方もあります。
これは、確実にトゥルーピークを潰してくれる機能がついたリミッターです。
先程紹介したWaves WLM Plus Loudness Meterにもトゥルーピークリミッター機能がついてます。
いろいろな環境で聴く
当たり前ですが、音楽リスニングの環境というのは人によってバラバラです。
スマホのスピーカーで聴く人から高級オーディオセットで聴く人までいますが、再生環境によって大きな違いが出ないようにしたほうが良いのは何となく分かってもらえると思います。
ちなみに僕は
- モニタースピーカー・ヘッドホン
- ノートPCのスピーカー
- iPhoneのスピーカー・付属イヤホン
- Beatsのヘッドホン・イヤホン
- CDコンポ
- スタジオの大きいスピーカー
など、とにかく色んなもので聴いています。
iPhoneのスピーカーとイヤホン、Beatsのイヤホンは使っている人が多いので参考になりますね。
また、ライブハウスやクラブで再生する可能性がある曲は大きなスピーカーで確認しておくと、低音の鳴りなどで思わぬ事故になることを防げます。
大きなスピーカーを用意できない人は、リハーサルスタジオに個人練習プランで入ると低価格で大きなスピーカーを使うことができますよ。
再生機器だけでなく、歩きながら聴いたり、電車の中で聴いたりと場所を変えることも大切です。
散歩しながら聴くと、バランスの確認だけでなく録音ミスを発見できたりもします。
色んな人に聴いてもらう
自分なりに納得できる音源ができたら友達や家族などに聴いてもらいましょう。
人に聴いてもらうと「ここ大きすぎじゃない?」とかアドバイスを貰えることがあります。
それだけでなく何故か、人に聴いてもらうと自分で気付いたりもします。
聴いてもらう人がいないときには、SNSなどででDTM友達を作るといいんじゃないでしょうか。
パッケージ制作編
曲ができたらようやくCDを作成したり、配信曲をセットにしたりと、パッケージを作る段階です。
CDを作る方法は大きく分けて2つ。
- プレス工場で本格的なCDを作る
- CD-Rで簡単に作る
プレスCDはCD-Rで作るよりも、作業が増えます。
なので、プレスCDだけに必要な作業と、共通の作業を分けて説明したいと思います。
プレスCDを作るときに必要なこと
流通を考えているときにはJANコードを取得しよう
JANコードというのは一般的に言えば、商品についているバーコードのこと。
レジで「ピッ」てやるあれです。
CDショップやAmazon等での販売代理店に流通させることを考えている場合はJANコードの取得が必須になりますので気をつけましょう。
JANコードの発行は流通システムセンターが行っています。
申請には流通システムセンターのホームページにあるフォームかで行います。
費用は登録管理費(3年分)で10,800円。
取得までの目安は3週間ほどかかりますので早めに取っておきましょう。
マスターを作成しよう
CDをプレスするときには必ずこのマスター(原盤)を作成する必要があります。
マスターを作る方法は大きく分けて以下の2種類です。
- CD-Rマスター
- DDPマスター
CD-RマスターはiTunesなどの音楽再生ソフトのライティング機能を使うマスター作成方法です。
CD-Rに収録曲を書き込むだけで完了します。
DDPに比べてファイル破損の可能性が上がったり、音質面での不安がありますが、非常に簡単です。
それに対してDDPマスターは、オンライン入稿が可能なので破損や音質の劣化は起こりにくいですが、作成が非常に面倒です。
専用のソフトを使って作成することになります。
DAWの中でもStudio OneはDDPマスターを比較的簡単につくれます。
他のDAWで制作している人でも、マスタリング(マスター制作)専用のDAWとして使う人がいるほどです。(僕がそうです笑)
どちらの方法を使うとしても、音源の入稿方法についてはプレス工場によって微妙に違いますので、利用を考えている工場のホームページなどを確認してください。
CD-R、プレスCDに共通して必要なこと
ISRCを取得しよう
ISRCは、国際標準レコーディングコードのことで、簡単に言えば音楽のマイナンバー制度みたいなものです。
楽曲の使用料徴収はISRCを使って行われますので、iTunesなどで販売する予定の方や、Apple MusicやSpotifyなどでストリーミング配信をする予定の人は取っておきましょう。
(一応無くても配信できるところがありますが、取っておいた方が楽曲の権利や金銭関係的に無難だと思います)
さて、取得の方法ですが、日本レコード協会のホームページから申請できます。
料金は事業者用の定額10800円「Uプラン」と、1レコーディングごとに324円の「Jプラン」がありますが、恐らく皆さんJプランになるんじゃないでしょうか。
申請には
- Web上で作成して印刷された申請書
- 住民票写しの原本
- 印鑑証明書
が必要になります。
これが面倒くさい。でも日本レコード協会さんが必要と言っているので頑張って用意しましょう。
申請から取得まで約2週間ほどかかりますので、早めに申請しておきましょう。
CDDBに登録しよう
CDDBというのはCDのデータベースのこと。
パソコンにCDを入れた時、iTunesなどで勝手に楽曲のタイトルやバンド名などが表示されますよね?
あれは、CDDBから引っ張ってきた情報を表示させているのです。
CDDBに登録するためには、CDをパソコンに入れる必要があります。
CD-Rに曲を焼いて音楽をCDDBに登録しましょう。
登録の仕方はこちらのサイトが非常に参考になります。
[blogcard url=”https://r3magazine.info/cd-cddb/”]
ジャケットを作ろう
CDでも配信でもジャケットは作っておきましょう。
配信だけの場合はメインとなる画像だけでOKですが、CDを制作する場合は裏面や背表紙(?)の作成も必要になりますのでご注意ください。
プレスCDを作る人は、工場に入稿フォーマットを確認しましょう。
CD-Rの人はプリンターを使って自力で印刷すると安く済みます。
こちらのサイトが参考になると思います。
[blogcard url=”https://j-d-burst.com/news/how_to_make/”]
CDを作ろう
ようやくここまでたどり着きましたね!
楽曲制作からCD作成まで、はやくても3ヶ月ほどかかるんじゃないでしょうか。
この記事は重要なところだけ説明していますが、それでもここまで説明するのに4000字も使っております。
道のりの長さを物語っておりますね。
さてさて、CDを作る方法は皆さん分かっていると思いますが、プレスCDは工場で、CD-Rの人は手焼きになります。
販売編
配信サービスに登録しよう
CDでの販売をメインに考えている人でも、配信サービスに登録しておいて損はありません。
というのも、最近の音楽販売のメインはストリーミングやダウンロードなどのネット販売が主流です。
それにあなたの音楽を買いたくても、近くで売っていないファンもいるかもしれないですよね。
初期費用が無料の配信サービスもたくさんありますので、調べてみてください。
関連記事:
[blogcard url=”https://sakky.tokyo/post-1990/”]
手売り
おそらく一番手軽な販売方法が手売りでしょう。
ライブハウスの物販や、同人即売会など、好きな方法で売りましょう。
友達に売りつけると友達が減る可能性がありますので注意してください。笑
委託販売
オーソドックスなのはCDショップや同人ショップなどの実店舗に置いてもらうという方法だと思います。
ハードルが高そうですが、意外と簡単にOKしてもらえます。
バンド系の音楽ならディスクユニオンでこちらのページで自主制作音源を募集していますので、問い合わせてみてみましょう。
実店舗ではなくネット販売という方法もあります。
Amazonでは「e託販売サービス」や「マーケットプレイス」での委託販売ができますので使ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
以上が自主制作CDの作り方です。
かなり長い記事になってしまいましたが、流れは分かっていただけたんじゃないでしょうか。
CDを作るのは面倒なことも多いですが、完成したときの達成感はひとしおです。
ちなみに、筆者は音楽関連の講座動画をYouTubeでたくさん公開しているので、よかったらチャンネル登録お願いします!
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