【DTM】ヘッドホンだけでミックスするときのコツ

よく「ミキシングはスピーカーを使え」と色々なところで言われていますが、スピーカーを買う金銭的な余裕がない人も当然いると思います。

あるいはスピーカーを持ってはいても、住宅環境的にスピーカーを満足に鳴らすことができなかったり、部屋の鳴りをチューニングすることが厳しくて、ヘッドホンをモニタリングのメインとして使っているという人もいるでしょう。

スピーカーでミキシングできるのがベストですが、ヘッドホンミックスでもきちんとしたクオリティの音源を作りたいというのはヘッドホンDTMerの望み。

今回はそんな人に向けて、僕がヘッドホンでミキシングをするときにやっていることをいくつか紹介します!

ジャンプできる目次

なぜヘッドホンだけでミックスすると失敗してしまうのか

まず、なぜヘッドホンでミックスするとダメと言われるのか。つまりなぜ失敗してしまうのか、ということを知っておきましょう。

ヘッドホンだけでミックスした音源をスピーカーで流したときに「あれ、ヘッドホンで聴いたときと全然違う…」となることは結構ありますよね。

「スピーカーの性能がダメだから変に聴こえるだけ。良いスピーカーならヘッドホンと同じように聴こえるはず」とスピーカーのせいにしたくなる気持ちも分かりますが、実はそもそもスピーカーとヘッドホンでは音が聴こえてくる仕組みが違います。

スピーカーの場合は左右のスピーカーの音が混じり合って耳に届きますよね。

ですが、ヘッドホンの場合は左右で別々の音が鳴り、混じることはありません。

つまり、スピーカーではヘッドホンでは分からないような音の混じり合いがわかるということ。

左右のスピーカーの音と音が干渉し、ヘッドホンでは鳴らなかった響きがスピーカーでは鳴ります。

「スピーカーでミックスしろ」と言われる大きな理由はこれです。

ヘッドホンの左右で良い感じに鳴っていたとしても混じったらどうなるかわからんから、スピーカーを使ってミックスしろや!ってことですね。

ヘッドホンでミックスするときのコツ!

やっぱりヘッドホンだけでミックスするのは無理なのか、と思いきやそんなことはありません。

世界にはヘッドホンでミックスしてばんばんヒットを飛ばすプロデューサーもいますし、日本にもヘッドホンだけでミックスしてクラブフロアを沸かすトラックメイカーなどがたくさんいます。

ここでは僕がヘッドホンでミックスするときによくやっている、いくつかのコツを紹介しましょう!

モノラルで位相チェック&イコライジング

僕がヘッドホンでミキシングするとき、最初にモノラルでざっくりとバランスをとって位相チェックとイコライジングをするようにしています。

モノラルにすることによってへッドホンの両耳で鳴る音が同じになりますよね。つまり、スピーカーと同じように全ての音が混じり合っている状況を作り出せるんです。

やり方としては

  1. マスタートラックにモノラル化できるプラグインを入れる(音質が変化しなければ何でもいい)
  2. モノラルでざっくりとバランスを取りながら位相チェック
  3. 被っている帯域をEQで解決
  4. モノラル化プラグインをオフにしてPANを振っていく

というステップを踏むことが多いです。

まず最初にモノラル化できるプラグインをなんでも良いのでマスタートラックに入れます。

全部のトラックがモノラルならこの工程はすっ飛ばしてもいいのですが、シンセなどのステレオ音源が混じっているときには必ず入れましょう。

プラグインは本当になんでも良いです。僕はDAW付属のステレオイメージャー的なやつ(AbletonのUtility)でWidthを0%にしてます。

次に位相チェック。

ヘッドホンでは左右に振り分けた音が混じり合うことなく耳に届くので、位相がおかしくなっていてもなかなか気付けません。

なのでまずはモノラルでざっくりバランスを取りながら位相チェックをします。変なところがあれば位相を反転したりタイミングを少しずらしたりして解決しましょう。

もちろん、この後の調整作業中にEQなどを使うと位相が変化するので、最終チェックでもモノラルで聴くことを忘れずに。

そしてイコライジング。

モノラルだと帯域が被っているのがわかりやすいので、イコライジングも正確にできます。

ヘッドホンだと左右の音同士で帯域が干渉し合っていてもいい感じに聞こえてしまうんですよね。

イコライジングが終わったら、ようやくPANを振っていくという感じです。

PANを振った後はコンプ掛けたり空間系挿したり、普通のミックスと同じ。

最初にモノラル化して音を混じり合っている状況を作ることが大切です。

もちろん、先程も言いました最終チェックなどでもモノラルで聴きましょうね。

アナライザーを活用する

ヘッドホンミックスに限ったことではありませんが、アナライザーを使うのもとても重要。

周波数を監視するスペクトラム・アナライザーや、ステレオの広がりを監視できるステレオ・アナライザーを活用していきましょう。

アナライザーを使うときにはミックスのお手本となる音源と自分の音源を比べながらやると、自分のミキシングの問題に気づきやすいです。

またステレオアナライザーは位相チェックができるので、ヘッドホンでミックスをするときにはぜひ使ってみてくださいね。

ちなみに僕はOzone8というiZotopeのマスタリングバンドルに入っているTotal Balance Controlのスペアナと、Ozone Imagerについているステレオアナライザー機能を使っています。

Ozone Imagerは無料で手に入りますよ!→リンク

スピーカーシミュレーターを使う

モニタリングにスピーカーシミュレータープラグインを使うのもオススメです。

スピーカーシミュレーターはスピーカーで鳴らしたときの音を再現してくれるプラグインで、左右のスピーカー同士で混じり合った音をシミュレートできます。

有料のプラグインもありますが、高品質な無料のプラグインもあるので、ぜひ使ってみてください。

無料で有名なのはDeeSpeakerなど。

マスタートラックの最後に挿して使います。書き出すときにはバイパスするのを忘れずに。

スマホなどのスピーカーを使う

スマホのスピーカーだって立派なスピーカーの一種ですから、ヘッドホンではチェックできないところも聞けますよ。

スマホのスピーカーは低音が全然鳴らないので、逆に低音のマスキング効果がなくなって新たな問題に気付ける場合もあります。

スマホのスピーカーに限らず、iPhoneに付属しているイヤホンやカーステレオなど、できるだけ色々な環境で聴くのが大事です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

重要なのはヘッドホンを使っていてもスピーカーと同じような環境を作り出すことです。

今回はあくまで僕がやっている方法なので、他のやり方もあると思います。もしおすすめの方法などがあったら僕に教えてください!笑

それでは今回はこの辺で。

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