日本と海外のミックスの違いとは?同じ曲で違うミキシングをしてみた

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昔は音楽雑誌のコラム、今ならツイッターなどのSNSで「邦楽と洋楽は全くサウンドが違う」ということはよく言われています。

音楽をそこまで詳しく聴いていない人からすると「ほんとかよ?」って話ですが、確かに違いはあるんです。

ということで今回は日本のミキシングと海外(主に欧米)ミキシングの違いについて僕なりに解説してみようかなと思います。

いやね、別に僕も今更「海外に比べて日本はこんなに劣ってる云々……」とかいうありがちな議論をしたいわけではないのです。

あくまで傾向の分析。日本は醤油、アメリカはケチャップ、インドは香辛料みたいなこと。どっちが良くてどっちが悪いというのは聴いてる人が決めることなので。

ちなみに僕は作編曲家で専門のミキシング・エンジニアではないので、あくまで参考程度に見ていってください!

最後の方には同じ曲で日本風と海外風、それぞれ違うミックスしてみたサンプル曲もあるのでぜひ最後までどうぞ。

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それぞれのミキシングの特徴

さてさて、まずは結論から簡潔に書いていきましょう。

僕が感じている日本、海外それぞれのミキシングの特徴は以下の通り。

【日本的ミキシングの傾向】

  • 帯域レンジが狭く、ローがペラペラ
  • 音が前に張り付くような感じでリバーブ薄め
  • 音数が多く全ての音がくっきりはっきり聞こえる

【海外的ミキシングの傾向】

  • 帯域レンジが広く、ローが大きい
  • 大きな空間を感じるリバーブ
  • ボヤけている音、はっきりしている音の差が大きい

他にも色々ありますし、あくまで例ですが、大きいところだとこんな感じじゃないでしょうか。

なんでこのような違いが生じるのか、詳しいところは不明ですが、日本には「謎のミキシングセオリー」みたいなのが多いような気がしています。

例えば「50Hz以下はノイズだからカットしろ」と主張する謎の勢力がいたり。

このことについてアジカンのゴッチもツイッターで呟いていました。

ローカット禁止。これマジ。50Hz以下こそ、必要だよ。もうロックバンドは録音前からエンジニアに言わないと。もうそういう時代じゃないですって。

— Gotch (@gotch_akg) 2018年9月12日

昔なら50Hz以下の音を鳴らせる環境なんてほとんどなかったので、これはある意味正しかったのでしょうが、今は50Hz以下を鳴らせるヘッドホンやスピーカーが普通にある時代。

海外ではこういった技術の変化に伴って低音のミキシングも変わってきていますが、日本ではまだカットする人がまだ多いのかもしれません。

ローカットが必要な場面は確かにありますが、無闇にローカットをしすぎるとどうしてもペラペラな印象になってしまいます。

具体的にはこういった印象のベース。

ドーンって感じの芯となる低音がほとんどありませんよね。一応鳴っているかなー程度。

インディーズのロックバンドだとこの傾向がかなり強くなってきます。どうしてそうなるかは謎。

リバーブに関しても同じで、何故か「リバーブは浅めに掛けろ!」という謎セオリーがあります。特にボーカル。

日本のボーカルミックスは独特で、前に張り付いたようなサウンドになっていることがほとんど。

リバーブはほとんど掛かっていないか、ほんの少し程度です。

海外の場合はリバーブの深さは臨機応変で、浅いものももちろんありますが、かな~り深いものも多いです。

例えばこの曲。

邦楽、特にポップスでここまでリバーブを掛けているボーカルはあんまり聴いたことがありません。

さっきの日本の曲に比べてベースも太めです。

日本と海外のリバーブの違いについては教会文化の違いかもしれませんね。

教会で歌うことに慣れている文化圏の人は教会の豊かなリバーブに慣れていて、日本人は木造の響かない住宅に住んでいるのでこのような違いが生まれたのか、なんてことを考えてみました。真偽は不明ですので、あくまで僕の仮説ですが。

余談ですがロックバンドが全盛期だった以前までは「日本は海外に比べて湿度が高いので日本で録音すると音が悪い」なんて言われてましたけれど、エレクトロミュージックが流行り出してからはそれも聞かなくなりましたね。

エレクトロ系はパソコン上で音楽制作をするということもあり、全世界的に同じ機材やソフトを使って音楽を作れるようになりました。

そのような時代においても違いが有り続けるというのは興味深いですね。

同じ曲でミキシングを変えてみた

ここまで日本と海外のミキシングについて書いてきたわけですが、同じ曲で比較するのが一番分かりやすいと思います。

ということで今回は僕が作った曲で、ミキシングを変えてみることにしました。

用意したのはTrap風のビートトラック。歌は入っていませんのであしからず。

また、それぞれの違い分かりやすいように今回は違いを極端にやってます

低音がかなり重要なのでイヤホンやヘッドホンでどうぞ。

【日本風ミキシング】

まずは日本風のミックスから。

50Hz以下をローカット、リバーブは極力薄くしてトラック全てがくっきり鳴るようにしています。

【海外風ミキシング】

次に海外風のミキシング。

先程の日本ミキシングと使っている素材は全く同じですが、処理を変えるだけでかなり違ったサウンドになりますよね。

ベースをぐっと大きめに出して、上モノシンセのリバーブは結構強め。シンセパッドはかなり後ろに下げて存在感を最小限にしています。

上モノシンセを後ろに下げる代わりにスネアのリバーブをほとんど掛けないことで、トラックに距離感が生まれて立体的なミックスになります。

これを聴いた後にさっきに日本風ミキシングを聴くとかなり物足りなく感じると思いますよ。

【海外風ミキシング2】

最近のTrapはかなりスカスカなビートも流行っているので、シンセパッドを消したバージョンを消してみました。

こうすることでよりリバーブが目立って、空間を感じられますよね。

こういったミックスも海外ではよくあるように思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

日本と海外のミックス、違いがありますが皆さんがお好きなのはどちらですか?

皆さんも自分の曲でそれぞれ試してみてください。

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