ミックスで悩んだときに、皆さんはどうやって判断しますか?
アナライザーを使ったり、リファレンス音源を分析してみたりと人によっていろいろなやり方があると思います。
個人的に悩んだとき最もおすすめなのが、「とりあえず目を閉じて聴いてみる」という方法です。
たったこれだけで色んなことが見えてきます。
今回は、ミックスのときに目を閉じる重要性について解説していきましょう。
DAWの画面は情報に溢れすぎている
DTMで使うDAWの画面は視覚的情報に溢れていますよね
帯域ごとの分布がわかるアナライザー、アナライザー付きEQ、リダクション値がすぐわかるコンプやリミッターなどなど。
これらのプラグインは非常に使いやすいですよね!僕もよく使っています。
もはや、視覚的にわかりやすいプラグインではないと売れない時代です。
反面、一歩間違うと「目でミックスしてしまう」という事態を引き起こします。
ミキシングというのは本来耳で聴いて、気になったところを改善していく作業です。
最終判断は目ではなく耳で下すべきでしょう。
それに、音楽のリスナーはDAW画面を見られません。
曲を聴きながら、「ああ、帯域のバランスはこうなってるんだな」とか「このコンプはこんなかかり具合なんだな」とか思っている人もほとんどいません。
なので定石から外れまくったプラグインの使い方をしたり、DAW内部がどれだけごちゃごちゃしてもリスナーには関係ないんです。
目に頼らないでミックスをしてみよう
先ほどのように、僕たちDTMerは便利な道具に囲まれているので、一歩間違えると「目でミックス」をしてしまいがち。
ですが、やはり耳で最終判断を下すべきでしょう。
どうやって、耳だけで判断をすればいいのかというと「目をつむってミックスをする」だけです。
たったこれだけ。
ですが、これは効果絶大です。
普段目で見るミックスに慣れていると分からなかったことが、目を閉じるだけで分かってきます。
さながら座頭市ですね。
座頭市は目が見えないことで、聴覚が異常に発達した武士のお話ですが、これは誰にでもいえること。
人間は目が使えないと耳に集中するようになっています。
とはいえ、目を閉じながらPCを操作することは簡単ではありません。
押し間違えてしまいますね。当たり前ですが。
なので僕のやり方を簡単に紹介しましょう。
僕のやり方
ざっとバランスをとったあとに目を閉じて聴く
とりあえずミックスの始めに、すべてのトラックの音量をざっと整えます。
本当にざっとでいいです。ここは割と数値的な定石に頼ってもいいかもしれません。「バスドラムのピークをまず-0.9dbにする」とかね。
その後、目を閉じて最初から最後まで聴き、大きすぎるトラックや、かぶっている帯域などをチェックしていきます。
こうやって、バランスをざっと整えたラフミックスを聴きながら、今後の方針を決めていましょう。
つまり、「ざっとバランスをとった状態」をたたき台にして、そこから耳で判断し、改善していくというやり方です。
リファレンスを目を閉じて聴く
ミックスのリファレンス音源も目を閉じて聴いてみましょう。
リファレンス音源というのは、ミックスの参考にする音源のことです。
「この曲のバランスいいなあ」とか「こういう雰囲気の曲にしたいな」といった曲をミックスの時に用意しておいて、それを参考しながらミックスをすると思います。
(やったことがない人はぜひやってみてください。かなり捗ります)
さて、このリファレンス音源ですが、これも耳を閉じて聴いてみましょう。
リファレンス音源をアナライザに通して、帯域のバランスをチェックする人は多いと思います。
が、目を閉じて聴くと細かいコンプのかかり具合や、空間系のかかり具合といった細かいミックスのニュアンスをつかみやすくなるんです。
ぜひやってみてください。
A/Bチェック
A/Bチェックというのは、プラグインをオン・オフしたり、同じプラグインを違った設定にしてみたり、違うプラグインとのかかり具合を比べてみたりと、あれこれ試す方法のこと。
「こっちよりこのコンプのほうがいいかも」とかよくやりますよね。
これも目を閉じてやってみましょう。
おすすめは「どっちがAで、どっちがBがわからない状態」にしてからA/Bチェックをするというやり方です。
目を閉じながらプラグインのオン/オフボタンを連打して、いまオンなのかオフなのかわからない状態にしてからボタンをクリックして耳で判断するとかそんな感じです。
これ、かなり有効です。
高いプラグインと安いプラグインが目でわかる状態でA/Bチェックをすると、「やっぱり高い方がいいなあ」といった心理的バイアスが働いてしまい、正しい判断が出来なくなります。
金額の違いはもちろん、「有名プロデューサーが使っているから」とか、「普通はこういうセッティングが定番だよね」などの偏見を持って判断してしまうこともあり得ます。
A/Bチェックは目を閉じましょう。
空間系のかかり具合
空間系のかかり具合も目を閉じると捗ります。
初心者はなにかとリバーブをかけすぎて「お風呂状態」になってしまうことがよくありますが、目を閉じてチェックすれば回避することが可能です。
広い空間を表現したいときでも、後ろに下げるトラックと前に出すトラックの質感の違いなども分かりやすくなります。
もっとも使えるのがボーカルやメインのメロディにディレイを足していく場面です。
ボーカルではうっすらディレイをかけてトラックに馴染ませるのが定石ですが、目で判断することに慣れてしまうとついついかけすぎてしまいます。
うっすらかける場面ではとくにシビアな判断が必要になりますので目を閉じて聴いてみましょう。
最終チェック
最終チェックはもちろん耳で判断しましょう。
先ほども言いましたが、リスナーはDAWの画面を見ることができませんし、エフェクトのかかり具合なんて気にしている人は少数です。
リスナーと同じ気持ちで判断することが求められる最終チェックの場面では、リスナーと同じように耳だけで判断しましょう。
ついでに、スマホのスピーカーやiPhone付属のイヤホンなど、主要なリスナーと同じ環境で聴くこともおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
最近は便利なプラグインがたくさん販売されています。iZotopeのOzoneやNeutronなど、人工知能(AI)が搭載されて、ある程度自動でミックスしてくれるなんていう素晴らしい機能がついたプラグインも出てきました。
とはいえ、まだまだ万能ではありませんし、「今っぽいミックス」というのは少しずつ変わってきています。
音楽は人間が聴くために作られています。
こうやって考えると、やはり最終判断をするのは人間です。
便利な道具を使って時間短縮を図りつつ、判断は耳でしていくべきではないでしょうか。
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