【DTM】打ち込みドラムのコツ!今すぐできるテクニック、やり方

皆さん、「ドラムの打ち込み」は上手く行ってますか?

「打ち込みドラムを生っぽく聞かせるためにはゴーストノートが重要だ」とか、「タイミングを少しずらして人間ぽくするのが重要だ」とかよく良く聞きますよね。

ええ、確かにとても重要です。ゴーストノートがきっちり打ち込めれば生っぽくなりますし、タイミングをずらすことで人間ぽくなります。

 

ですが、そんな細かいことの前にもっと重要なことがあるんです!

それは「強弱」「ドラムセットと人間の構造」「音色」の3つ。

これさえ気にしながら打ち込みをすれば、他の面倒なことをすっ飛ばしても十分生っぽくなるって知ってましたか?

実際にこれらを実践した音源を専門学校ドラム科卒の友人に聞かせたところ、見事に生ドラムだと勘違いさせることに成功しました!笑

 

今回の記事ではそのテクニックを紹介したいと思います。

とはいえ、文字だけだとかなり伝わりにくいと思いますので、今回は音源付きで解説していきますよ!

 

ではまず悪いお手本、初心者の皆さんがよくやりがちな打ち込みの音源をお聞きください。

 

これはソフト音源はAddictive Drums2を使用し、MIDIロールにマウスでポチポチベタ打ちした音源です。

かなり「打ち込みっぽい」音源ですよね!笑

 

そして(ネタバレになりますが)このページで紹介するテクニックを使って修正音源が以下です。

どうですか?かなり生っぽくなりましたよね。別に難しいことはしていません。

今回の記事ではこの打ち込みを実現していく方法を詳しく解説していきます!

 

ジャンプできる目次

打ち込みを生っぽくするために重要なこと

先程も述べました通り、打ち込みドラムを生っぽく聞かせるためには「強弱」「ドラムセットと人間の構造」「音色」が重要です。

最近のソフト音源はかなり優秀なので、ベタ打ちでもある程度は自然に聞こえますが、それでも限界はあります。

その限界を突破するために、ドラムに対する理解を深める必要があり、その中で最も重要なのが、さきほどの3つの要素というわけですね。

 

ではその3つの要素について詳しく見ていきましょう。

 

強弱

当たり前ですが、生ドラムには強弱があります。いわゆる「ダイナミクス」というやつです。

ここで覚えてほしいのは、ドラムのダイナミクスには2種類あるということ。

その1つは「ドラマーが自分の意志でつけるもの」、そしてもう一つが一番重要で、「演奏の都合で自然についたもの」です。

 

「ドラマーが自分の意志で付けた」ダイナミクスはわりと打ち込みで再現しやすいですし、アクセントやクレッシェンドなどはもはや作曲の範囲に入ってきます。

小さくしたい所を小さく、大きくしたい所を大きく打ち込めばいいだけです。

しかしながら「演奏の都合で自然についた」ダイナミクスというものを再現するには、ドラムに対する理解が必要となってきます。

 

当たり前ですが、人間は機械と違って、演奏すれば自然と音量が揺れます。

ですが、この音量の揺れというのは完全にランダムで生じるものではなく、奏法やドラマーの癖によって、ある程度の傾向があるんです

そして生の楽器というのは強弱によって、音量が変わるのは勿論ですが、音色も変わります

ありがたいことに最近のドラム音源は強弱(ベロシティ)によって音色を微妙に変化させてくれているので、演奏の都合で自然についたダイナミクスをベロシティできちんと再現するだけでも十分本物っぽく聞かせることができるようになっちゃうんです。

 

ドラムセットと人間の構造

よくいう「手が3本あるドラム」というのがここに関わります。

生ドラムは人間が演奏しているので、両手両足で演奏出来る範囲の音しか出ないのは勿論ですが、ドラムのフレーズは人間が自然に演奏しやすく組み立てられることが多いです

タムのフレーズは上から下に流れるのが自然と叩きやすいですし、2枚あるクラッシュシンバルは手順によって叩きやすい方を叩きます。

 

そうでない場合も勿論あります。

ドラムソロなどでは、ライブなどで見た目を派手にする目的から、わざと叩きにくい手順で叩く場合があることもありますが、一般のポップスの曲中ではではそういったことはあまり見られません。

 

なので、想定するドラマーやジャンル等によって変わっては来ますが、ポップスを作る場合はドラミングの手順を考慮して打ち込むと良いと思います。

 

音色

ここでいう音色というのはドラムの奏法による音色の変化のことです。

 

同じ楽器でも鳴らし方が違う音色がドラム音源にはたくさん入っていますよね?あれにはちゃんと意味があるんです。

ハイハットなどが分かりやすいと思いますが、「チ」と鋭い音や、「チャ」って感じのちょっとだけ長めの音、「シャー」という長い音が収録されていると思います。

こういう音の違いはランダムで叩いた音を適当に選んで収録しているわけではなく、ドラマー自身がきちんと使い分けている音を収録してあるんです。

たとえばさっきのハイハットならスティック(太鼓のバチ)の先端部分で叩くのか、柄(え)の部分で叩くのか、はたまたハイハットを開けるのか閉じるのかという違いです。

 

もちろんハイハットだけでなくスネアやシンバル、タムなどにもそういった叩き方が違う音が収録されていると思います。

生ドラムに近い打ち込みを目指すときには、同じスネアやハイハットでも、より実際の演奏に近い音色を選んでいくことでより人が叩いてる感じを出すことができます。

 

 

実際にやってみよう

ではさきほどの「強弱」「ドラムセットと人間の構造」「音色」この3つを踏まえて、冒頭の打ち込み感が出てしまっていた音源を編集していきましょう。

一応冒頭の音源をもう一度聴いてみてください。

 

先程の3つの要素を踏まえれば修正すべきポイントがわかってきますよね。

 

キック

このフレーズではキックが「ドンッ、ドドンッ」と繰り返しています。

このフレーズはオーソドックスな8ビートなのですが、キックで注目するべきは「ドドンッ」の所です。

 

この「ドドンッ」は「ダブルキック」と呼ばれます。

ダブルキックは早いキックのフレーズによく用いられる奏法で、簡単に言えば「1打目の跳ね返りを利用して2打目を踏む」という奏法。

 

この奏法では強く踏み込むのは2打目だけですので、音量が大きくなるのは2打目です。

つまり、「ドドンッ」というダイナミクスになります。

 

先程の音源ではどちらも同じ音量で鳴らしていますので、ダブルの1打目を弱く、2打目を強くしてあげましょう。

単発の一打目とダブルの2打目は踏み込んでいるので、ほぼ同じ音量にしてしまって大丈夫です。

 

では聴いてみましょう。

 

キックの部分はかなり自然に聞こえますよね。

ではこの調子でどんどんやっていきましょう!

 

ハイハット

次はハイハットです。

実はハイハットはドラマーなら知っていて当然なのですが、「アップダウン奏法」という奏法で叩くのが一般的です。

 

腕がグネグネ動くこれです。(動画はレッチリのチャド・スミスです)

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この奏法はハイハットの音量を変えることでグルーブを出すことが目的なんですが、注目すべきはスティックの当たる場所です。

 

8ビートではハイハットは「ダウン→アップ→ダウン→アップ→…」と交互にやることが一般的。

ダウンとアップでは、スティックの当たる場所が異なっていて、ダウンではシャフト、アップではチップに当たるのが普通です。

 

なので、先程の音源も、ハイハットの音色を、奇数打目(拍の頭)ではシャフトに、奇数打目(裏拍)ではチップに修正し、ダイナミクスも「強→弱→強→弱→…」としてあげると自然なドラミングになります。

 

また先程までの音源では冒頭のクラッシュシンバルが鳴っているときからハイハットが鳴っています。

右利きのドラマーですと、クラッシュシンバルもハイハットも右手で叩くのが自然ですので、最初はハイハットは鳴りません。

また、最後のフィルインのところでは完全に「手が3本」のドラミングになっています笑

 

これらを踏まえて修正した音源を聞いてみましょう。

 

 

どうでしょうか?ここまででもかなり「聴ける」ドラムになってきましたよね。

 

スネア

次はスネアです。

スネアはバックビートの中心ですので、ドラムおいてかなり重要な部分を占めます。

ロック系のドラムですと、大体のバックビート部分で「オープンリムショット」で叩かれます。

これはドラムのヘッドの部分と縁(リム)の部分を同時に叩いてスネアに迫力を出すための奏法です。最近の大体のドラム音源には入っていますので探してみてください。

 

これが初心者DTMerには意外と盲点らしくて、「折角ドラム音源買ったのになんかスネアがしょぼい」という悩みはほぼこれがわかっていないことが原因です。

 

「コン、コン」という「クローズリムショット」とは全く違うので注意しましょう。

また、速めに連打する場合は普通のショットになるのが普通ですので、それにも注意しましょう。

 

 

では変えてみた音源を聞いてください。

 

かなりスネアに迫力が出ましたよね?

 

タム類

次はタム類です。

音源では最後の小節の後半部分でフィルイン的にタムを叩いています。

別に今のままでも聴けると言われればそうなのですが、もうちょっとこだわってみましょう。

 

普通にシングルストローク(両手交互に)叩けばほとんど場合で奇数打目、すなわち利き手側の音量が大きくなります。

なので、シングルストロークの連打などでは偶数打目を少しだけ小さく打ち込むと自然に聴こえるドラミングになります。

また小節の頭や拍の頭などではさらに少しだけ大きめに打ち込むともっと自然に聞こえると思います。

 

ですがプロのドラマーは音量を揃える練習をしています。

さっきと逆のことを言ってしまい申し訳ないのですが、2打ごとにタムを下降していくフレーズなど、場合によっては偶数打目(利き手)が微妙に大きくなることがあります。

こうすることによって裏拍が強調され耳で聞くと逆に心地良く聴こえます。

 

今回の音源では1打目を若干弱く、2打目を強く、打ち込んでみました。

聞いてみてください。

 

肩の力が抜けたような心地良いドラムになったと思います。

シンバル

次はシンバルです。

皆さんお気づきでしょうか?ヘッドフォン等のステレオ環境で聴いてみると分かるのですが、今までの音源では最初は右のシンバルを、そして最後は左のシンバルを叩いていますよね。

 

シンバルはドラムセットと人間の構造、手順などを考慮して左右に振っていきます。

 

この音源ではドラマー視点でPANが振ってありますので、最初のシンバルを叩いた後すぐにハイハットを叩くことを考慮すると、手順的に叩きやすいのは最初はです。

そして最後のシンバルは、タムが左から右に下降で叩かれているので順番的に言ってのシンバルを叩くのが自然でしょう。

 

ということで直してみます。

 

これでドラマーから見ても自然な手順になりました。

 

空気感

最後にとっておきのマル秘技をご紹介します。

 

これは正直打ち込み方というよりはミックスの範囲になってきますが、するのとしないのとでは大違いです。

空気感ということでちょっと難しそうな感じがしますが、そんなに工程は多くはありませんのでご安心ください。

 

具体的にはドラム音源についているアンビエントマイク(ルームマイク)を使います。

まずはドラム音源をパラアウトしてアンビエントマイクの音源だけを弄れるようにします。

 

そしてアンビエントマイクのトラックに対して、コンプを思いっきりかけます

コンプの設定はアタックは最速、スレッショルドは深め、レシオもかなり深めにします。

 

 

ちなみに僕はアンビエンスをモノラルにしています。そうすることで部屋の空気感は減りますが、力強さみたいなものが増します。

後でセンドで空間系に送れば空気感は作り出せるので、コントロールのしやすさと、力強さを両立させるためにモノラルにしております。

 

そして、コンプのリリースなのですが、これが一番重要でして、この数値によってセットの残響をコントロール出来ます。数値を上げれば上げるほどリリースが短くなっていきますので、曲によって変えてみましょう。

 

またこのままだとキックの低音域、そしてシンバルの高音域が出過ぎてしまうので、EQでハイパスとローパスフィルターを通してあげましょう

 

そして曲の雰囲気に合わせて空間系で横と奥行きを拡げます

 

なんでこんなことをするのかと言いますと、楽器ごとの個別のマイクはアタック用、アンビエンスマイクを楽器の残響用にするためです。

また、モノラルにすることでドラムのセット感がある音を作り出すことが出来ます

そうすることでドラムセットの残響までしっかりと聴こえるようになり、結果としてドラムの空気感が表現出来ます。

 

どうしてもアンビエンスマイクのステレオ感が欲しい方は、2つのトラックに対して同じアンビエンスマイクからの音をルーティングさせて、片方は楽器の残響用、もう片方は部屋鳴り用にすると良いでしょう。

ただし、それぞれでイコライジングをしっかりやらないと音像がぼやけてしまうのでそこは気を付けてください。

 

では実際に処理したものを聞いてみましょう。(ヘッドホン推奨)

 

かなり生っぽくなりました!

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

僕は最後までしっかり処理した音源で、冒頭にも言いましたように、ドラマーを騙せたことがありますので、やって損はないと思います。

この記事が皆さんのお役に立てたなら幸いです。

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