多くのバンドは赤字で活動をスタートさせ、いかに黒字にするかということが目標になってくるので、儲けが出たときのことを考えるのは忘れがちです。
しかし、バンドで売れる可能性は誰にでもあり、なんとなく出したミュージックビデオがあれよあれよと100万再生、なんてことも今の時代では十分考えられます。
そうではなくても、地道に活動してなんとか黒字になることもあるでしょう。
バンドで収入を得られるようになったときに面倒なのが税金。
知らずに放っておくと、脱税疑惑をかけられるなんてこともあり得ます。
なので、今回はバンドマンが知っておべき「確定申告」についてお話です。
たとえ今は赤字でも将来のために知っておいて損はありません。
ではいってみましょう!
確定申告とは「税金を確定させるための申告」のこと
簡単に言えば、確定申告というのは読んで字のごとくその年の税金を確定させるためにする申告です。
個人の所得の計算期間は1月1日から12月31日の1年間で、通常は次の年の2月16日から3月15日までに税務署に申告し、納税を行います。
年末調整との違いは?
11月から12月に行われる「年末調整」というものがありますが、確定申告と年末調整は似て非なるものです。
実は源泉徴収で、あらかじめ給料から所得税が引かれていることがアルバイトや会社員にとっては普通なのですが、天引きされている所得税はあくまでも概算なので、年末に過不足を精算しなくてはならないんですね。
年末調整とは、その所得税の過不足を計算して調整する手続きを指します。
本来なら所得税の納税は確定申告によって行うものですが、年末調整を行うことで納税の精算が済んでいるため、アルバイトやサラリーマンは確定申告が免除されています。
ただし、条件によっては自分で確定申告を行う必要があります。
確定申告が必要な条件
具体的には以下の条件に当てはまる人が確定申告をする必要があります。
- サラリーマンやフリーターなど、給与所得を得ている人で、その年の副業所得が20万円以上の人
- アルバイトを掛け持ちしていて、年末調整を受けていないバイトの所得と、副業での所得の合計が20万円以上の人
- フリーランス(個人事業主)の人でその年の事業所得が38万円以上の人
- 年収2000万円以上の人
多くのバンドマンはアルバイトや会社員として働いてる人がほとんどなので、バンドでの収入は「副業での所得」になります。
なので、バイトを掛け持ちをしていなければ、ほとんどの人がバンドでの収入が20万円以上の場合に確定申告が必要になるでしょう。
バイトを掛け持ちしている場合は、年末調整をしていないバイト先の給料とバンドでの収入の合計が20万円を超えた場合に確定申告が必要になります。
もちろん、フリーランスとしてミュージシャンをしている人は3番の基準で確定申告をしていくことになります。
所得=収入-経費
「所得」というと、「もらったお金の合計」というイメージがありますが、実はちょっと違って本当は
所得=収入-経費
という計算で所得が確定します。
なので、たとえ音源販売などで35万円の収入を得ても、制作費が5万円、そしてバンドメンバー3人に分配した場合、一人の所得は10万円になります。
その所得が条件以上なら確定申告が必要になる、ということです。
とはいえ、最近はマイナンバー制度などで税務署のチェックが厳しくなっていますので、所得が20万円以下でも領収書などの経費を証明する書類をとっておくことをおすすめします。
「収入は20万円超えてるけど経費で20万円以下になってるから自分は大丈夫か」と思っていても、収入だけを見て税務署が連絡してくることも今後は十分ありえますので。
そうなった場合でも経費を証明できる書類があれば要らぬ疑惑をかけられることを回避できるので、スタジオ代、レコーディング代などの領収書をしっかり保管しておきましょう。
バンドでの収入の区分は?
ここからは実際に確定申告をするときに注意したい点についてご説明します。
所得の種類は10種類に分かれますが、バンドマン(ミュージシャン)に関係するのは以下の3種類だと思います。
- 給与所得
- 事業所得
- 雑所得
例えばあなたが音楽講師など、どこかの会社と雇用契約を結んでいる場合の所得は「給与所得」にあてはまります。
この場合はアルバイトや社員として働いていることになるので、税金関係はアルバイトやサラリーマンと同様に処理します。
また、仕事に必要な楽器や、文房具など備品の経費も雇用主が計上することになります。
しかしながら音楽講師であっても、業務委託として契約している場合は給与所得ではなく、「事業所得」または「雑所得」として計上されるのでご注意ください。
また、作曲家やタレントとしてどこかの事務所とマネジメント契約している場合の給料も、給与所得ではなく、「事業所得」または「雑所得」です。
さて、何が「事業所得」と「雑所得」に当てはまるのかといいますと、これが結構曖昧で、実情に合わせてケースバイケースで対応していく必要があります。
「事業所得」は、読んで字のごとく、事業を営んで得られた所得です。
何が「事業」に当たるのかというと、
- 継続して安定した収入が得られる
- 高い収益が見込まれる
- 相当な時間を費やしている
- 職業として広く知られている
など、実情に照らして税務署が判断します。
もし副業として音楽活動をしていても、利益が大きくなった場合などには事業所得として計上することができます。
また、事業所得で赤字が出た場合は、給与所得との「損益通算」(事業所得の赤字を給与所得から引くこと)が可能なため、所得税などの税負担を減らすことができる、というメリットがあります。
「雑収入」はそれ以外の所得です。
税務署が、収入などと照らして「あなたの音楽活動は事業ではない」と判断した場合はこれに当てはまります。
また、仮に税務署が音楽活動を事業として認めてくれたとしても、雑誌やネット記事などでコラムを書いた場合の原稿料などは雑収入扱いになることが多いです。
何が経費にできるの?
スタジオ代や楽器代など、音楽活動にかかった費用は基本的に全て経費として計上することができます。
さらに、賃貸マンションの1室を音楽専用の作業部屋にしている場合などは家賃の一部を経費にできますし、音楽の勉強をするために買った書籍なども経費にできます。
気を付けておくべきなのが、買ったものが「減価償却資産(げんかしょうきゃくしさん)」に当たるかどうかです。
これは、「高額で長い期間使えるものを数年に分けて経費にする」という決まりで、例えば楽器なら5年、機材車などの自動車は4年にわたって分割で経費として計上します。
50万のギターなら1年10万円ずつ、といった具合になります。
ただし、経費にするためには領収書などの証拠書類が必要になるので、大切に保管しておきましょう。
青色申告と白色申告
じつは確定申告の方法には2種類あり、それぞれ「青色申告」、「白色申告」と呼ばれます。
通常の副業なら白色申告をすることが多いのですが、開業届を出し、事業所得として計上できる場合は青色申告をすることができます。(雑所得では青色申告はできません)
青色申告は提出する書類が多いなどの手間がありますが、
- 帳簿の種類によって10万円または65万円の特別控除をうけられる(経費を増やして税金を少なくできる)
- 1組30万円までの減価償却資産を合計最大300万円までその年の経費として計上できる
など、さまざまな特典がありますので、節税をしたいならぜひ利用したい制度です。
利用するためには、申告をしたい年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出しなければならないのでご注意を。
確定申告におすすめのサービス
確定申告を全て自分でやるのはなかなか面倒なものです。
税理士にお願いしてもいいのですが、費用が5万円くらいかかってしまいます。
ミュージシャンにとって5万円の支出は痛いですよね。
そこで、おすすめしているのが、ソフトを使って確定申告書を作成する方法。
個人的にはクラウド会計ソフトの「freee」がおすすめです。
クレジットカードや銀行口座と同期して、自動で帳簿を付けてくれますし、チャットで相談もできます。
それに加えて、専用トレイに領収書やレシートを貯めておいて、時間がある時に打ち込めば、自動で確定申告書が出来上がっていくので非常に便利です。
freeeについて詳しく知りたい方はこちらのページからどうぞ!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
確定申告というと面倒で難しいイメージがありますが、収入によっては必ず必要になりますので、かならず知識として持っておきましょう。
この記事では簡単な概要を説明させていただきましたが、実際に確定申告をするときにはもう少し込み入った話になってきます。
わからないことは税務署に電話で聞いてみるのがおすすめです。怖いイメージがありますが真面目に税金を納めようとする人にはかなり親切ですよ笑
それではまた!
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