音楽にとってベースは楽曲の土台となり、楽曲の良し悪しを左右するパートといっても過言ではありません。
生のベースをレコーディングできない場合、ソフト音源を使って音源を作るDTMerがほとんどじゃないでしょうか。
とはいえ、最近ベース音源って多いですよね。
いろいろなベース音源がある中でどれを選べばいいのか分からない人もたくさんいると思います。
そこで、今回の記事では作曲家である筆者サッキー(@sakky_tokyo)が、おすすめのベース音源を紹介します!
まず最初にベース音源の選び方を解説していくので「選び方は知っているから早くおすすめな商品を知りたい」という方は、下からジャンプしてみてくださいね。
ベース音源の選び方
まずは自分にぴったりなベース音源を購入するために、ベース音源の選び方について知っておきましょう。
気になる選び方ですが、結論から言うと以下の3ポイントを考慮するのがオススメです。
- 基本的に「Trilian」か「MODO BASS 2」の2択
- とにかく簡単に打ち込みたい場合はEZ Bassもオススメ
- 作るジャンルが狭い場合はその他の音源も視野に入れる
- ベース音源をデモ作りにしか使わない場合はもっと安価なベース音源でもOK
ここでは、この4つのポイントについて詳しく説明していきます。
基本的に「Trilian」か「MODO BASS 2」の2択
ベース音源はたくさんありますが、現状ではSpectrasonics「Trilian」か、IK Multimedia「MODO BASS 2」が定番になっています。
なぜ他の音源よりこの2つが人気になったのかというと、収録されているベースの種類が多く質も高いからです。
しかも収録されている種類が多いこともあり、単体音源に比べてベース1種類当たりの価格も抑えられています。
つまりにTrilianとMODO BASS 2は、ほかのベース音源に比べてコスパが高いということですね。
TrilianとMODO BASS 2の違いは以下の通り。
- Trilian:エレキベースだけでなく、アップライトベースやシンセベースなどありとあらゆるベースを収録。サンプリングなので34GBと容量が大きい
- MODO BASS 2:エレキベース、アップライトベースを22種類収録。サンプリングではなく物理モデリングなので容量が軽く、音もかなり細かく調整できる
とりあえずエレキベースやウッドベースの音が普通に出せればOKという方はMODO BASS 2、シンセの音が欲しい方やできるだけたくさんの音色数が欲しい方はTrilianを選べば問題ないでしょう。
とはいえ、使う人によってはこの2つ以外が適している場合がありますので、次はそれについて解説してきます。
とにかく簡単に打ち込みたい場合はEZ Bassもオススメ
「ベースのフレーズを考えるのが苦手な人」や「ベースの打ち込みはとにかく短時間で終わらせたい」という人にはEZ Bass(イージー・ベース)という音源もオススメです。
EZ Bassは2020年に発売された比較的新しいベース音源で、名前の通りベースの打ち込みがイージーになるような便利機能が多数搭載されています。(詳しくは後述します)
しかし、収録されているベースモデルが2種類(+別途購入が必要な拡張パック2種類)のみなので、先程の「Trilian」や「MODO BASS」と比べてかなり少なく、人によってはそこがネックかもしれません。
ただ、サウンドの品質や打ち込みに関する機能面ではかなり優秀なので、ベースをとにかく簡単に打ち込みたい場合はEZ Bassも検討してみてください。
作るジャンルが狭い場合はその他の音源もアリ
作るジャンルが非常に狭い場合は、TrilianやMODO BASSではなくてもOKです。
ベース音源の中には、特定の音楽ジャンルに特化したものや、1種類のベースだけを丁寧にサンプリングした単体音源がたくさんあります。
例えばあなたが「メタル」だけ、あるいは「フュージョン」だけ、といったように狭いジャンルの曲しか作らないのなら、そういったジャンルに特化した音源を選んだ方がクオリティが高い音源が作れる可能性が高いでしょう。
TrilianとMODO BASSはこれ1つだけでさまざまなジャンルを手広く作れるというのが最大のメリットですが、狭いジャンルにこだわって作る場合は他の音源も視野に入れてみてください。
ベース音源をデモ作りにしか使わない場合はもっと安価なベース音源でもOK
TrilianとMODO BASSは、コスパが高い人気音源とはいえ、それなりの価格がしますよね。
もちろんベースは楽曲のクオリティをかなり左右するのでこだわりたいところですが、もしあなたが
- バンドメンバー用のデモ程度の音源しか作らない場合
- 後で生のベースに差し替える場合
といった状況に当てはまるのなら、もっと安価な音源でもOKだと思います。
このような場合は、ベース音源の音が最終的にリスナーの耳に届くわけではありません。
なので、予算が厳しい場合はバンドメンバーなどに意図が伝わる程度の安いベース音源を選んでみるのもいいかもしれませんね。
おすすめのベース音源
さて、選び方が分かったところで実際のおすすめベース音源を紹介していきましょう。
サウンドがわかる動画も紹介しているので、音を確認してお気に入りの音源を見つけてみてくださいね!
Spectrasonics Trilian
DTMベース音源といえばこのTrilianか、後述のMODO BASS 2のほぼ2択の状況です。
とても有名で人気な音源なので、数多くのプロミュージシャンが使用しており、あなたも知らず知らずのうちにその音を聴いたことがあるはず。
これ1つでエレキベースだけでなく、シンセベース、アップライトベース、アコースティックベースなどありとあらゆる音源が収録されています。
決して安価というわけではありませんが、収録されているベースの種類とクオリティを考えるなら、むしろコスパがかなり高い音源といえるでしょう。
デモを聴いて貰えればわかりますが、音はもちろんリアル。
低音の量感があるので、発売から長年経った今でも使われ続けるのではないでしょうか。
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IK Multimedia MODO BASS 2
MODO BASS 2は、さきほどのTrilianと並ぶ人気のベース音源です。
初代MODO BASSはエレキベースのみだったのですが、MODO BASS2になってからアップライトベース(ウッドベース)やフレットレスベースも収録され、弱点がほとんどなくなりました。
音はもちろんリアルでMIDIを適当にベタ置きしてもかなり「聴ける」音になります。
またこの音源の特徴として挙げられるのが、録音したものを再生するサンプル方式ではなく、コンピューター内に仮想のベースを再現するという物理モデル方式を採用していること。
そのおかげで、かなり容量が小さく、スペックの低いPCでもある程度余裕をもって使うことができます。
それだけでなくこの物理モデル方式のおかげで、ピックアップと呼ばれるベースのマイク部分を交換したり、ピックの当てる角度を変えたりといったように、従来のベース音源では難しかった設定も可能になりました。
「とりあえずこれ買っておけば問題なし」と言える音源なので、ベース音源に迷っている方はぜひ使ってみてください!
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Toontrack EZ Bass
ベースのフレーズを考えるのが苦手な人、できるだけベースの打ち込みを手軽に済ませたい人は、EZ Bassもかなりオススメです。
EZ Bassは「EZ(イージー)」という名前の通り、簡単かつ手軽に打ち込めることがコンセプトとなっています。
他のベース音源にはない便利機能が多数搭載されているのが最大の特徴で、DTMを初めたばかりのビギナーの方はもちろん、ベースの打ち込みにそこまで時間をかけたくない人にもうってつけだと言えるでしょう。
搭載されている便利機能をいくつか挙げてみますと、以下のような感じ。
- 用意されているベースパターンを選ぶだけ簡単に打ち込みができる「Grooves」機能
- インポートしたドラムやキーボードのMIDIデータに合うベースパターンを生成してくれる「Generate accompanying bass MIDI」機能
- 取り込んだオーディオファイルに合うベースフレーズを自動で作ってくれたりMIDI化してくれる「Audio Tracker」機能
これらの機能を駆使すればベースの打ち込みが苦手な人でも簡単に曲に合うフレーズを打ち込むことができるようになります。
もちろん、肝心のサウンドもかなりリアル。
以下の動画ではEZ Bassに収録されている様々な奏法(アーティキュレーション)を紹介していますが、どれもかなりハイクオリティですよね。
これらの奏法はEZ Bass内部で選択し、MIDIを編集することが可能です。
それをドラッグ・アンド・ドロップでDAWのタイムラインに並べるだけでOKなので、面倒なキースイッチの設定作業がかなり楽にもなります。
また、EZ Bassにデフォルトで収録されているのは以下の2種類のベースです。
- Modern(Alembicベースのサンプリング)
- Vintage(Fender Jazz Bassのサンプリング)
2021年3月現在、以下の2種類の拡張パックも販売されています。(拡張パックの動作にはEZ Bassが必要です。単体では動作しませんのでご注意ください)
- EBX – METAL(メタル向け)
- EBX – CLASSIC ROCK(1960年代ヴィンテージプレジションベースのサンプリング)
人によってはTrilianやMODO BASSに比べて、収録されているベースの本数が少ないのがネックになるかもしれません。
とはいってもデフォルトで収録されているModernとVintageの2種類だけでも大抵の場合はカバーできると思います。
収録されている音自体はかなり高品質かつリアルなので、手軽にリアルなベースを打ち込みたい人にはかなりおすすめです。
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Native Instruments SCARBEE BASSシリーズ
DTM初心者の場合、ベース音源以外にも、ドラムやギター、シンセサイザー、ストリングスといったようなさまざまな音源の購入を検討している人は多いんじゃないでしょうか。
そんなあなたにオススメなのが、「SCARBEE」というシリーズのベース音源。
こちらはNative Instrumentsのバンドル音源「Komplete」に付属しているのですが、なんとこのバンドルを1つ揃えるだけで、
- ベース音源
- ピアノ
- ドラム
- ギター
- シンセサイザー
- ストリングス
- ブラス/ホーンセクション
- 民族楽器
といった、音楽制作に必要な基本的なありとあらゆるDTM用の音源を入手できます。
そのどれもがクオリティが高いので、現在「Komplete」はアマチュアからプロまでが標準装備しているDTMバンドルといっても過言ではない存在になっています。
ちょっと価格が高く感じてしまいますが、個別で購入するよりも何倍もお得に購入できるので、予算に余裕がある方ならぜひ手に入れたいところ。
この「SCARBEE」というシリーズのベース音源も、その他のベース音源と引けを取らないサウンドが特徴で、筆者もよく使用しています。
Native Instruments「SCARBEEシリーズ」からはRickenBacker、MM Bass、Pre Bassなど、数種類のベース音源が出ていますが標準グレードの「Komplete Standard」では
- SCARBEE MM-Bass
- SCARBEE RICKENBACKER-Bass
の2種類が収録されています。
さらにKomplete Standardには「SESSION BASSIST – PRIME BASS」というベース音源も収録されいて、至れり尽くせり状態。
おそらくこの3つだけでも曲作りの自由度がかなり上がるので、ぜひチェックしてみてください。
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Prominy SR5 Rock Bass 2
もしあなたが、ハードロックやヘヴィメタルといったジャンルを作りたいと思っているなら、Prominy「SR5 Rock Bass 2」がオススメです。
「SR5 Rock Bass 2」はその名の通り、ロックに合うゴリゴリとした音が特徴のベース音源。
5弦のスティングレイをサンプリングしており、単体の音源ではありますがなんと容量にして約26GB、合計21,700ものサンプルを収録しています。
操作性の良さにも力を入れていて、リアルタイム演奏が他の音源よりもやりやすく感じることでしょう。
このように非常にこだわりを感じられる音源で、ソロで聴いてもとても生々しいサウンドを響かせます。
リアリティのある重厚な低音が必要なハードロックやヘヴィメタルといったジャンルには非常にオススメです。
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Ample Sound 「Ample Bass」シリーズ
Ample Soundは、豊富なラインナップのギター/ベース音源メーカーとして人気になりました。
そんなAmple Soundからは「Ample Bass」というシリーズのベース音源が販売されています。
エレキベースでは
- Fender Jaco Fretless Bass
- Fodera Yin Yang Standard
- MUSICMAN Classic Stingray5
- Fender Jaco Pastorius Relic Jazz Bass
- Fender Precision Bass
といった、ベーシストからの人気が高いこだわりの機種を丁寧にサンプリングした音源が魅力です。
そのほかにも
- Guild B-54 CE
- Upright Bass
という2種類のアコースティック系ベース音源があり、どれもかなりのクオリティです。
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Fujiya Instruments Organic Bass
Fujiya Instrumentsは日本のプラグインメーカーで、ギター音源やベース音源といった分野で人気があります。
こちら「Organic Bass」シリーズは、とても簡単にリアルなベースを鳴らすことができることで評判のベース音源です。
ベース音源というと、ミュートやブラッシングをするためにキースイッチを細かく設定したり、ビブラートもベンドを細かく書いたりといった面倒な処理が必要になるものがありますが、Organic Bassはそういった手間が少しでも減らせるように設計されています。
Organic Bassはシリーズのラインナップは以下の4種類。
- Organic Fingered Bass(指弾き)
- Organic Picked Bass(ピック弾き)
- Organic Slapped Bass(スラップ)
- Organic Bass Suite(全部入り)
自分にあったものを選んでみてください。
使用する時にNIのKontakt以降が必要です。Kontakt Playerでは動作しませんのでご注意ください。
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Ilya Efimov Modern Bass
Ilya Efimov「Modern Bass」はKontakt用のベース音源。
現代的なハイファイサウンドのベース音源でスラップ音がリアルな音源で、ファンクやフュージョンを作る人にオススメです。
指弾きはもちろんスラップが得意な音源で、ファンクやフュージョンに使いやすい音の太さが魅力的ではないでしょうか。
ちなみにIlya Efimovには、
- Rock Bass
- Modern Bass
- Classic Bass
- Fretless Bass
- Retro Bass
という種類のベース音源があり、どれもハイクオリティなので、自分のジャンルに合ったものを選んでみるのがオススメです。
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Impact Soundworks Shreddage Bass 2
Impact Soundworksはありとあらゆる音源を出しているメーカーなんですが、このメーカーの中でも特にオススメなのがこちら「Shreddage Bass 2」です。
個の音源は6弦ベースをサンプリングしていて、かなりのゴリゴリ感があるサウンドが特徴的。
ハードロックやメタル等のジャンルに非常にオススメです。
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まとめ
どれも、おすすめのベース音源ですが、製品によって得意不得意があるのは事実。
TrilianやMODO BASSはオールジャンルなベースとして有名ですが、やはり特化音源にはかなわないという側面もあります。
そんなときには特定のジャンルに特化した音源にも注目してみるのがおすすめです。
また、筆者は音楽関連の講座動画をYouTubeでたくさん公開しているので、ぜひチャンネル登録お願いします!
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