「作曲を始めてみたいけど、最初はできるだけお金をかけたくない」と思う人は結構多いんじゃないでしょうか。
パソコン(もしくはスマホなど)を使った音楽制作のことを、日本では「Desk Top Music」を略して「DTM」と言います。
そんなDTMに使われるソフトは値段がピンキリで、本格的にこだわり出すと数十万円以上かかることもしばしば。
ですが、続けられるか分からない趣味にいきなり高いお金を出すのは誰だって躊躇してしまいますよね。
そこでこの記事では、そんな皆さんに向けてオススメの無料DAW(作曲ソフト)をご紹介したいと思います!
今回の記事の構成は以下のようになっています。
- フリーDAWの選び方
- おすすめのフリーDAW(作曲ソフト)
「選び方はいいから、さっさとオススメのフリーDAWを教えて」という人は下の目次からジャンプしてください。
フリーDAWの選び方
そもそもDTMに詳しくない人だと「まずDAWって何?」とか「なんて読むの?」と思うかもしれません。
DAWは「デジタル・オーディオ・ワークステーション(Digital Audio Workstation)」の略で、「ダウ」もしくはそのまま「ディー・エー・ダブリュー」と読みます。
現代の作曲ではDAW上に録音した音を並べたり、楽器の音を再現するソフトを読み込んで楽曲を作っていくのが主流です。
簡単にいえばDAWは作曲をするための中核となるソフトですね。
昔は「DAWは有料のものじゃないと使い物にならない」と言われていましたが、最近では有料ソフトに引けを取らないフリーソフトも増えてきました。
この項ではそんなフリーDAWソフトの選び方を以下の2つの場合に分けて解説していきたいと思います。
- 慣れてきたら有料DAWに移行する予定の場合
- しばらく無料DAWを使う予定の場合(ジャンプできます)
とはいえ最終的にはソフトとの相性みたいなものもあると思うので、あくまで参考程度に捉えてください。
では、それぞれ解説していきましょう。
慣れてきたら有料DAWに移行する予定の場合
まず結論として、慣れてきたら有料DAWに移行するつもりの場合は、使いたい有料DAWの体験版や無償版を選ぶのがオススメです。
何故かというと、DAWごとに操作方法が結構違うからというのが大きな理由として挙げられます。
フリーDAWは大きく分けて2種類ある
そもそも「フリーのDAWソフト」と呼ばれるものには、実は大きく分けて以下の2種類があります。
- 有料DAWソフトの無料版(デモや体験版)
- 最初からフリーソフトとして開発されているDAW
前者は基本的には、使えるトラック数に制限があったり、サードパーティー製のプラグインが使えなかったりと、有料版に比べて大きな機能制限があるものが大半です。
(サードパーティ製プラグインというのはDAWに付属していない、別途追加するエフェクトや音源ソフトのことをいいます)
一方で後者のソフトはそういった機能制限がない場合が多く、前者に比べて自由度が高い場合が多いでしょう。
「なら、最初からフリーソフトとして開発されているDAWソフトを選べばいいのでは」と思う人もいるかもしれませんが、一概にそうとも言い切れません。
使いたい有料DAWの無料版を選ぶのがオススメな理由
先程も書きましたが、DAWはソフトごとに操作方法が結構違います。
しかも覚えることが結構多く、まともに使えるようになるだけでも一苦労。(ちなみに筆者の場合、最初は音の鳴らし方を理解するのでさえ数時間かかかりました笑)
DAWを変えると操作をまた1から覚え直す必要があり、それがとても大変なんです…!
異なるDAWでも共通する部分が多少はありますが、DAWごとに機能や操作手順がかなり違うので、DTMに慣れている人でもDAWの乗り換えは大きな手間と労力がかかります。
なので、将来的に有料DAWに移行するつもりなら、体験版や無償版でそのDAWの使い方を覚える方が長い目で見ると効率がいいです。
機能制限があっても大丈夫なの?
先程は「有料DAWの無料版は使えるトラック数に制限があったり、サードパーティー製のプラグインが使えなかったりする」と書きました。
私の意見ではありますが、おそらく初心者の方はこういった機能制限があってもかなり遊べると思います。
作曲を始めたての頃はそんなにトラックをたくさん使わないですし、「そもそもサードパーティ製プラグインって何があるの?」って感じではないでしょうか。
そういった機能制限が邪魔に感じてくる頃にはDTMに慣れてきていますので、そのタイミングで有料DAWに移行すればOKだと思います。
次に「しばらくは無料DAWを使う予定の場合」の解説をしていきますが、読み飛ばしたい場合は下のリンクからジャンプしてください。
しばらくは無料DAWを使う予定の場合
しばらく無料DAWを使っていく予定の場合は、個人的には以下の2つのどちらがいいと思います。
- Cakewalk by BandLab(Windows専用)
- GarageBnad(Mac専用)
なぜこれらをオススメするのかという理由は以下の2つです。
- 理由1:機能制限がない or ゆるい
- 理由2:日本語での情報が豊富
それぞれ解説していきます。
理由1:機能制限がない or ゆるい
そもそも「Cakewalk by BandLab」と「GarageBnad」ってどんなソフトなのかということを簡単に説明すると、以下のようになります。
- Cakewalk by BandLab:もともと「SONAR」という有料DAWソフトが無料になったもの。Windows専用。
- GarageBnad:Appleの「Logic Pro」という有料DAWソフトの無料版。Mac専用。
「Cakewalk」は有料ソフトが無料になったということもあり、機能制限が一切ありません。
トラックも無制限ですし、サードパーティ製プラグインも読み込めます。
一方の「GarageBnad」は「Logic Pro」というDAWの無料版という立ち位置なので、多少の機能制限があるのは事実です。
ですが、GarageBnadの機能制限はそこまでキツくなく、トラック数は32まで立ち上げることが可能ですし、サードパーティ製プラグインも使うことができます。
これら2つのDAWは無料でもかなり機能が充実しているので、しばらく無料DAWを使うつもりの場合でも比較的快適に作業することができるでしょう。
理由2:日本語での情報が豊富
実は「Cakewalk by BandLab」と「GarageBnad」以外にも充実した機能を持つ無料DAWはいくつかあります。
しかしながら、その中でも何故この2つが特にオススメなのかというと、日本語での情報が豊富だからです。
DAWは操作が複雑で、使えるようになるためには自分で色々な情報を調べなくてはいけません。
フリーDAWはマニュアルがないものも多く、運良くマニュアルが存在したとしても英語がほとんど。
最近は、日本ではマイナーなフリーDAWの使い方を日本語で教えてくれているYouTube動画なども少しずつ増えてきましたが、まだまだ情報量が少ないのが現実です。
一方で、「Cakewalk by BandLab」と「GarageBnad」は日本での人気が高く、日本語での情報もかなり豊富。
困ったことがあっても検索すればだいたいのことは自力で解決できるでしょう。
以上の2つの理由から、しばらく無料DAWを使っていく予定の場合は「Cakewalk by BandLab」もしくは「GarageBnad」をオススメします。
他のフリーDAWもアリな場合は?
しばらく無料DAWを使っていく予定の場合でも、以下のような人は「Cakewalk by BandLab」もしくは「GarageBnad」以外のフリーDAWでも大丈夫だと思います。
- 英語での情報収集ができる人
- 他のDAWを使ったことがある人
- 作曲ソフトにそこまで高い機能性を求めていない人
1つ目は先程書いた通りなので説明は省略します。
2つ目の「他のDAWを使ったことがある人」というのは、「DAWの基本的な仕組みが何となく分かっている人」ということです。
この場合、時間はかかるかもしれませんが、触って色々と弄っているうちに使えるようになると思います。
また、3つ目の「作曲ソフトにそこまで高い機能性を求めていない人」の場合は、他のソフトが適している場合があります。
例えば「とりあえず歌やギターの録音だけしたい」といった場合は、そもそもDAWではなく、録音機能があるフリーソフトで大丈夫です。
本格的なDAWに比べると機能は少ないものの、日本語マニュアルがある音楽用フリーソフトは結構あります。
「そもそもそんなに豊富な機能はいらない」という場合は、そういったものを探してみるのも一つの手段です。
とはいえ、最終的には使っている人とソフトの相性みたいなものもあると思うので、あくまで参考程度に捉えてください。
おすすめのフリーDAW(作曲ソフト)
ということで、オススメのフリーDAW(作曲ソフト)を紹介していきたいと思います。
最初にお伝えしておきますと、今回紹介するソフトは以下の通りです。(押すとジャンプできます)
ちなみに下の記事で無料プラグインのオススメも多数紹介しているので、よければご覧ください。
それではフリーDAWをそれぞれ紹介していきます!
Cakewalk by BandLab(Windows専用)
Windows専用ソフトではありますが、Windowsの人はこれを使っておけばほぼ間違いありません!
というのも、このソフトは2017年に開発終了となった有料DAW「SONAR」の最上位版が無料になって復活したものなんです。
これまで5~6万円したソフトが無料で使えると聞くと、なんとなく凄さが分かるんじゃないでしょうか。
もちろん機能制限も全くなく、性能はほかの有料DAWと引けをとりません。
今後しばらくは無料DAWを使っていこうと考えている人には真っ先にこのソフトをおすすめします。
GarageBand(Mac、iOS専用)
Macに標準搭載されているDAWとして有名なのが、GarageBandです。
このDAWはAppleの「Logic Pro」というDAWの下位グレードなのですが、機能制限がそこまで多くなく、本格的な音楽制作にすぐ取り組むことができます。
トラックも32個まで立ち上げることができますし、サードパーティ製プラグインも使用可能です。
それ以外にも、ドラムやギター、ベースといった楽器の音源や、ミックスやマスタリング用のエフェクトも付属していたり、無料とは思えない機能の充実っぷり。
非常に人気のDAWなので、使用者も多く、解説を見つけやすいのもメリットだと思います。
Macの人はこれを使わない手はないでしょう。
また、iPhoneやiPadでもアプリとしてGarage Bandが使えるので、手軽に楽しみたい人や何となくDTMに触れてみたい人はぜひ利用してみてください。
Studio One Prime
Mac・Windows対応
Studio Oneはプロが愛用するDAWソフトの1つであり、現在その使いやすさから初心者にも人気になっているDAWです。
このStudio Oneの無料版がStudio One Prime。
Presenceという音源が付属していて、基本的な楽器の音なら全て鳴らすことができると思います。
有料DAWのデモバージョンながら、使用期限はなく、ユーザーアカウントの作成など煩わしいことも一切必要ありません。
ただ、外部プラグインの使用ができないという機能制限がありますが、沢山の音源が付属していますので曲を作ることはできます。
REAPER
Mac・Windows対応
海外を中心に根強い人気があるReaper。公式で日本語対応をしていませんが、日本でも使っている人が多くいます。
なお無料で使えるのは0.999という最新版ではない古いバージョンです。
ちなみに最新版も実は無料で使えます。60日間は完全に機能制限がなく、60日経った後も起動後5秒間だけ「購入してください」と表示されるだけです。
価格は60ドルと非常に安いので気に入った方は買いましょう。
機能的には打ち込みが少し複雑ですが、全体的に使いやすくできています。
無料版でも外部プラグインが使えるので、無料のプラグインを追加しましょう。
また、非公式に日本語対応化するパッチがありますのでそれを使うのも一つの手段だと思います。
Waveform Free
こちらも完全無料でつかえるDAWの1つです。
「Waveform Free」は「Waveform」という有料DAWの過去バージョン。
このDAWは有料版が更新されてしばらく経つと古いバージョンが無料になっていくので、以前まで有料で売っていたものを無料で使うことができます。
トラック数は無制限で、サードパーティ製プラグインも導入可能など、他の有料DAWソフトとも引けをとらない機能性が魅力と言えるでしょう。
FL Studio Trial
Windows、Mac対応
ダンス系のトラックメイカーを中心に根強い人気を誇るDAW「FL Studio」のデモバージョンです。
デモバージョンではありますが、上位バージョンのプラグインが全て使えたり、オーディオの書き出しができるなど、FL Studioの雰囲気を掴むことができます。
唯一制限されているのは、保存したプロジェクトが有料版を買わないと開けないということ。
しかしながら、手間はかかりますがMIDIやオーディオをエクスポートすれば以前の作業を復旧できます。
将来的に本格的なDAWを使ってみたい人や、ダンスミュージックを作りたい人にはおすすめのDAWです。
LMMS
Mac・Windows対応
完全無料のDAW。
LMMSという名前はこれはLinux MultiMedia Studioの略で、その名の通りLinuxで作られた音楽制作ソフトです。
コンセプトがFL Studioに非常に似ているDAWとしても有名です。
数多くのサンプルデータや、ソフト音源が付属しているので、ダウンロードした瞬間から本格的な音楽制作ができます。
Podium Free
Windows対応
DTMマニアの間で「フリーDAWの中で最高のソフト」とも呼ばれています。
登録不要でダウンロードできるので、手軽に音楽制作を始めることができます。
制限が非常に少なく、基本的なことはすべて行えるのも初心者にとって嬉しいのではないでしょうか。
ただ、使っている人が少ないため、情報が少ないのはデメリットでしょう。
Pro Tools First
Mac・Windows対応
世界中のレコーディングスタジオで使用されているDAW「Pro Tools」の無料版です。
オーディオ録音が得意ですが、もちろん打ち込みも可能です。
プロになりたい人はどのみちPro Toolsの使い方を覚えることになると思うのでダウンロードしておきましょう。
無料版ではクラウドに3つまでしかプロジェクトが保存できないという機能制限があります。
NanoStudio 2
iOS、Windows、Mac対応
iPhoneやiPadなど、iOSで使える無料DAWアプリとして人気になった「NanoStudio」。
MacやWindowsにも対応しているのですが、スマホやタブレット用のアプリをそのままパソコンに持ってきたという形式なので、若干使いにくさはあります。
基本利用は無料ですが、トラック数に制限があり無課金だと6つまでしか使えません。
最大の16トラックを使用するには課金する必要があります。
Music Studio Producer
Windows対応
日本産の無料DAWなので、日本語にばっちり対応しています。
有料ソフトのフリー版ではありますが、機能は充実していますし使用制限がありません。
公式サイトから日本語の説明書がダウンロードできるので、初心者でも安心して使うことができます。
SoundEngine free
Windows対応
音声データの「波形」を見て編集するスタイルのDAWです。
シングルトラックの音楽編集に向いているので、動画につけるBGMの編集や、楽曲のマスタリングなどが適しているのではないでしょうか。
ノーマライズや、オートマキシマイズなどの機能が標準でついています。
RadioLine Free
Windows対応
先程の「SoundEngine free」と同じ製作者のDAWソフト。
「SoundEngine free」が単一トラックに適していたのに対し、こちらは4つまでの複数トラックに対応しています。
使用している人も多いため、情報がたくさんあって安心して使うことができるのではないしょうか。
Ohm Studio Free
Windows・Mac対応
ネットでのコラボレーションを前提とした非常に珍しいタイプのDAWです。
SNSのような機能がついていて、オンライン上でクリエイターとリアルタイムにコミュニケーションを取りながら楽曲を制作できます。
有料DAWの無料バージョンですが、機能制限はほとんどありません。
Audacity
Windows・Mac対応
マルチトラックでの編集ができる無料DAWです。
完全無料なので機能制限がなく。VSTプラグインに対応しています。
また非常に処理が速く、低スペックのPCでも扱いやすいと思います。
KRISTAL Audio Engine
DAWというよりも、フリーのMTRソフトといった方がいいかもしれませんが、こちらも無料で使えます。
世界中で使用されているので情報が豊富です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
以上が無料で使えるDAW15種類の紹介です。
皆さんのDTMライフが少しでも豊かになれば幸いです。
また、筆者は音楽関連の講座動画をYouTubeでたくさん公開しているので、よかったらチャンネル登録お願いします!
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