今回は、ドラムやパーカッションを始めるなら知っておきたい「ルーディメンツ(Rudiments)」について紹介します!
もちろん、ドラマーではない方もぜひ勉強しておくとリズム感覚を養うのにプラスになりますし、DTMerの方は打ち込みの際にフレーズを考えるのにとっても役立つと思いますので、必見です!
では頑張っていきましょう!
ルーディメンツとは?
ルーディメンツとは、マーチングドラムなどを叩く上で基本となる単語集(フレーズ)のようなものです。
例えば、英語で文章を書く時には単語を組み合わせますよね。
「Good Morning」という文章を考えてみると、「Good」と「Morning」を組み合わせて作られています。
ドラムのフレーズもそんな感じで出来上がっていて、その1つひとつの構成要素を「ルーディメンツ」というわけです。
元々NARDという組織がルーディメンタルドラミングの普及のため基礎的な13個のルーディメンツを提唱し、現在ではStandard 26 American Drum Rudimentや、この26個に14個のルーディメンツを加えたPAS国際ドラムルーディメンツ40などが普及しています。
更には、これらの他にハイブリッドルーディメンツとされるものまであります。
ハイブリッドルーディメンツは基本的なルーディメンツよりも高度な内容のものが多いのですが、名前が面白いものが多くて「バルーンズ(BALOONS)」、「エッグビーター(Egg Beater)」や「チーズ(Chesse)」なんてものもあります。
もうなんでもありですね…笑
これらを合わせるとルーディメンツは100種類(!)を超える程あります。
ルーディメンツを構成する7つの奏法
- シングルストローク
- ダブルストローク
- ディドル
- パラディドル
- ドラッグ
- フラム
- ロール
シングルストロークはその名の通り1回のショット(1振り)で1つの音を出す「1つ打ち」、
ダブルストロークは1回のショット(1振り)で2つの音を出す「2つ打ち」のことを言います。
ディドルは連続して同じ手(右手なら右手)で2回ショットする奏法です。右手をR・左手をLで表すとすると、「RR」もしくは「LL」と叩くのがディドルです。
パラディドルとは、「パラ」と「ディドル」を組み合わせて作られた言葉で、パラは左右の手で交互に1ショットずつ叩く奏法のことを指します。「RLRR」もしくは「LRLL」と叩けばパラディドルの完成です。
ドラッグもディドルと同じく、同じ手で2つの音を出すことを表すのですが、ディドルと違う点は、ディドルの倍速で演奏するものをドラッグとするところです。装飾音符的に使われることが多いです。
フラムとは、メインの音の前に小さい音を叩いて、装飾する技法のことを言います。ちなみに、メインの音と装飾音を叩く手はそれぞれ別の手です。
ロールは、音を出す間隔を短くして、あたかも1つの音が長く続いているかのようにする奏法のことを言います。
ルーディメンツの歴史
スネア・ルーディメンツの起源はポールアームで武装したスイス傭兵に遡る。長いパイクを「針鼠陣」や方陣の隊形で用いるには高度な協調が必要とされ、戦場の喧騒を切り裂いて聞こえる小太鼓(テイバー)の音が、パイク兵たちのテンポを整え、また命令を伝達するのに用いられた。テイバー太鼓が出す短い持続音は、異った隊形命令を伝達するのに用いられる容易に区別可能なパターンを作り出すことを可能にした。これらの太鼓のパターンによる命令がスネアドラムのルーディメンツの基礎となった。
筆記されたルーディメントとしては1610年、スイスのバーゼルのものが最初である[1]。ルーディメンタルドラミングの発祥の地はフランスであると言われており、17-18世紀には専門の鼓手が国王の儀杖隊の一部となっていた。この技術はナポレオン1世の治世下で完成された。18世紀の行進曲ル・リゴドンと、そのさまざまな演奏は、現代のルーディメンタルドラミングの基石の1つ(とりわけ「2段階」演奏[訳語疑問点])となった[1][2]。
今日では3つの主要なルーディメンタルドラミングの文化がある[要出典]―― スイスのバーゼル太鼓、スコットランドのパイプバンド、そしてアメリカのドラミングである。
wikipedia「ルーディメンツ」より引用
このルーディメンツという奏法は元々ヨーロッパで使われていた、兵隊に命令を下すための合図だったんですね。
要するにモールス信号のようなものです。
音の長さや数に違いをつけて、どの命令かが分かるようにしていたんです。
今でこそ、人を楽しませるために使われているルーディメンツですが、昔はもっと大切な役割を担っていたんです。
もし兵隊の中で自分が叩く指令を間違ってしまうのを想像すると…冷や汗ものです。
初心者が知っておきたいルーディメンツ8つ
さて、皆さん少しはルーディメンツが何なのかということが分かってきた頃だと思うのですが、どのルーディメンツから手をつければいいか分からない…という方はこちらのルーディメンツから取り掛かるのがおすすめです。
- double stroke roll(ダブルストロークロール)
- triple stroke roll(トリプルストロークロール)
- five stroke roll(ファイブストロークロール)
- paradiddle(パラディドル)
- paradiddle-diddle(パラディドルディドル)
- flam(フラム)
- drag(ドラッグ)
- multiple bounce roll(マルチプルバウンスロール)
楽譜については、以下のサイトを参考にして見てください。
https://www.pas.org/resources/rudiments
https://www.drumeo.com/40-rudiments/
https://vicfirth.com/40-essential-rudiments/
この中でも特に、パラディドル系の手順を知っておくと、ドラムのフレーズをコピーする時にはとても便利です。ドラムでタムやシンバルへスムーズに移動する手順を考えるときに、パラディドルやダブルストロークを使うことって多いんです。
ピアノを弾くときに指替えをしますよね、そういうイメージです。
「あっ、ここはパラディドルを3回繰り返しているフレーズだ!」などと気づくことも多くて楽しいですよ。
ちなみに、ハイブリッド系のルーディメンツの楽譜は、こちらを参考にして見てください。
https://vicfirth.com/hybrid-rudiments/
おすすめの練習方法
ルーディメンツのおすすめの練習方法をご紹介します。
ルーディメンツはスティックさえあればスネアドラム、練習パッド、家の床、食器…、天井…おじいちゃんのお腹の上…。。など、どこでも練習できますので(やったらダメですよ)、ぜひ暇つぶしにでも練習してみましょう!
まず始めは、冒頭でご紹介した7つのルーディメンツの基本的な奏法について解説している動画をYoutubeなどで検索し、仕組みを理解します。
その次に、初心者におすすめのルーディメンツ8つをメトロノームを使って、BPM60~ゆっくりでいいので、丁寧に練習します。
ポイントは、決して焦って速いテンポで練習しないことです。何度も何度も反復して練習し、スムーズに出来るようになったらBPMを2~5の狭い範囲で上げて行きます。
決して10や20など一気に上げてはいけません。
自分の練習風景を動画で撮ってみたり、鏡を見ながら練習するのも効果的です。
以上のポイントを押さえて練習していけば、必ずルーディメンツは上達しますので、焦らずコツコツと頑張っていきましょう!
おわりに
ルーディメンツについて理解出来たでしょうか。
出来るようになると実はとっても楽しいんです。手が自由自在に高速で動く気持ちよさはなんともいえない快感だったりします…。そんな快感、味わってみたくはないですか?(笑)ドラムがもっと面白くなるはずです。
ではまた次の記事でお会いしましょう。