ディレイは音を山びこのように繰り返すエフェクターです。
たったそれだけの効果ですが、ギターソロにかけるだけでなんだか上手くなったように聞こえるし、アルペジオにかければ瞬時に幻想的な雰囲気になります。
オーソドックスなエフェクターではありますが、「付点8分ディレイ」や「発振」といったように、使い方次第で飛び道具的サウンドも作れてしまうのがディレイの凄いところ。
本当に色々な用途があるので、ディレイは全ギタリストに必須と言っても過言ではありません。
とはいえ、ディレイペダルの種類はかなり多いので、どれを買えばいいのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで今回はそんな人のために、ギター歴15年の筆者がおすすめしたいディレイペダルをいくつか選んで紹介していきたいと思います。
まずはディレイに関するよくある疑問を解消し、「自分にはどんなディレイが必要なのか」ということを理解してもらった上で、自分にぴったりなペダルを選んでみてください。
よくある疑問①:アナログディレイとデジタルディレイって何が違うの?
最近のディレイペダルは大きく分けて「アナログディレイ」と「デジタルディレイ」の2種類が主流となっています。
この2つは一見すると何が違うのかわかりにくいので、選ぶ際どっちがいいのか分からず悩んでしまう人が結構多いのではないでしょうか。
ここではそんなアナログディレイ、デジタルディレイそれぞれの特徴をサクッと簡単に説明しましょう。
アナログディレイ
アナログディレイはBBD素子などを使用したアナログ回路を使っているディレイで、温かみのある音と表現されます。
ディレイで音を何度も繰り返すごとに少しずつが劣化していき、音が馴染むように消えていくのが特徴です。
また、その仕組みからディレイタイムはデジタルよりも短くなってしまいます。
デジタルディレイはアナログディレイに比べて劣化が少ないので「高音質」なのですが、「温かみのあるアナログディレイの音の方が好き」という人も少なくありません。
デジタルディレイ
デジタルディレイはデジタル回路を活かしたディレイで、残響音に劣化が生じず、くっきりとした音が特徴です。
またディレイタイムはアナログディレイよりも長く設定することができ、そのことからルーパー機能を搭載しているものも多くあります。
音がクリアな機種が多いので、現代的なロックやメタルなどに適していますが、ウォームなサウンドの曲ではくっきりしすぎて浮いてしまうこともあるので注意しましょう。
しかし最近では「アナログの質感を再現したデジタルディレイ」なども増えており、アナログサウンドとデジタルサウンドに明確な線引きをするのが難しくなっています。
デジタルディレイだったとしても「いわゆるデジタルディレイサウンド」のイメージとは違う製品も多いので、事前に試奏をしたり動画を観たりして、音を確認してから購入するのがオススメです。
よくある疑問②:ディレイとリバーブって何が違うの?
エフェクターにあまり詳しくない場合、「とりあえず空間系エフェクターが欲しいんだけど、ディレイとリバーブってどう違うの?」と疑問を感じる人もかなり多いんじゃないでしょうか。
確かにこの2つは一見すると似ている効果のエフェクターなので、どっちを買ったらいいか分からず混乱してしまいますよね。
そんなあなたのために、ここでは「ディレイとリバーブの違い」そして「どう使い分けるのが一般的なのか」という2点をサクッと解説していきます。
ディレイとリバーブの違い
ということで、結論から言うと以下の通りです。
入力された音を繰り返すエフェクター。
繰り返すスピードや回数などが調整できる。
反響や残響を人工的に生み出すエフェクター。
「狭い部屋っぽい響き」や「広いホールっぽい響き」など、色々な広さの空間を演出できる。
ディレイは「原音を繰り返す」という効果があり、リバーブは「空間の響きを人工的に再現する」という効果があるので、微妙に違うわけですね。
またディレイとリバーブの効果には以下のような特徴があると言われています。
- ディレイ:音の輪郭がはっきりとしたまま、音に広がり感を加えられる。
- リバーブ:深くかけると音の距離感が遠くなっていくような効果がある。言い換えれば深く駆けるほど音の輪郭がぼやけてくる。
ディレイとリバーブの使い分けではこの違いが構重要になってきますので、覚えていてください。
一般的なディレイとリバーブの使い分け
こちらも結論から書きましょう。
- ディレイ:音の輪郭を保ったまま装飾的に響きを付けることができるので、ギターソロなどによく使われる
- リバーブ:音のカドを取ることができるので、バンドのサウンドに馴染ませる目的でよく使われる
基本的には上記のような使い方をするのが一般的です。
また、ディレイとリバーブを同時に使うこともありますが、そういうときは「ディレイで音を装飾し、リバーブでバンドサウンドに馴染ませる」といった目的の場合が多いです。
(もちろんあくまで「よくある使い方」なので、それ以外の目的で使う人もかなり多いです)
ちなみに「初心者はリバーブとディレイどっちを先に買ったらいいの?」という質問がよくありますが、個人的には初心者が買うならまずはディレイがいいと思います。
リバーブはアンプについていることが結構多いので、まずはそれを使えばOKです。
先にディレイを買ってみて、アンプのリバーブにどうしても納得行かないとか、特殊な響きのリバーブが必要になった場合にリバーブペダルを買えばいいんじゃないでしょうか。
(とはいえエフェクター沼にハマりだすと最終的にはどっちも買うことになるので、どっちが先でもそんなに問題ないと思います…笑)
おすすめディレイペダルを紹介!
ということで、実際にオススメなディレイペダルをいくつか紹介していきたいと思います!
最初に書いてしまうと、今回紹介するのは以下の機種です。(押すとジャンプできます)
- MXR|Carbon Copyシリーズ
- Effects Bakery|French Bread Delay
- strymon|El Capistan
- Vivie|DolphinDeverb
- BOSS|DD-3T Digital Delay
- Ibanez|ADMINI
- BOSS|DM-2W
- TC Electronic|Flashback 2 Delay
- TC Electronic|The Prophet Digital Delay
- BOSS|DD-500
- LINE6|DL4 MKⅡ
- Animals Pedal|Relaxing Walrus Delay
- Behringer|VD400 Vintage Delay
動画でサウンドもチェックできるので、あわせて確認してみてくださいね。
MXR|Carbon Copyシリーズ
アナログディレイの大定番といえば、MXR「Carbon Copy」シリーズ。
アナログディレイの中でもクリアな音質で、昔のアナログディレイのように音がこもり過ぎず、かつデジタルディレイのようクリアになり過ぎない、ちょうど良さが魅力です。
ツマミが3つのシンプル操作で、ディレイ初心者でも簡単に扱うことができるのもおすすめポイント。
また、本体左上に搭載されているMODスイッチをオンにすると、テープエコーのような「揺れ」がディレイ音に加わります。
ディレイだけでなく揺らぎも加えられるので、音作りの幅はかなり広いと言えるでしょう。
Carbon Copyシリーズには、現在いくつかの機種があり、それぞれ特徴が異なっています。
Carbon Copyシリーズで最もスタンダードなモデル
Carbon Copyのサウンドを更にブライトにした限定モデル(現在は生産終了)
タップテンポなど多くの機能を盛り込んだデラックスモデル。
Carbon Copy Brightのサウンドも選択可能。
Carbon Copyをミニサイズにしたモデル。
Carbon Copy Brightのサウンドが再現できるBrightスイッチ搭載。
それぞれ、音作りの幅や筐体のサイズなどが異なっていますので、ぜひ用途に合ったものを選んでみてください。
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Effects Bakery|French Bread Delay
Effects Bakery(エフェクツ・ベーカリー)は、パンのキャラクターが描かれた独特なデザインのエフェクターを出しているメーカー。
このメーカー、一見すると少しイロモノ感があるかもしれませんが、実際はサウンドにかなりこだわりを感じられる上に値段も安いというハイコストパフォーマンスな製品で注目を集めています。
こちら「French Bread Delay」は、そんなEffects Bakeryが出しているディレイペダルです。
「French Bread」という名前の通りフランスパンのキャラクターが描かれていますが、そのキャラクターのデザインがとても可愛らしくて、見ているだけでも癒やされてしまいますよね。
また、構造自体はデジタルディレイではあるようですが、肝心の音はテープエコーやアナログディレイのような温かみがあるサウンドが特徴です。
REPEATノブを調節すれば1回の繰り返しから、アナログディレイの特徴と言える発振(無限に繰り返して独特の効果を得る飛び道具サウンド)もできます。
TIMEノブもアナログディレイのフィーリングに近く、繰り返しながらノブを回すと音程もスムーズに変化するので、発振させて音程をギュワンギュワン変化させることも可能です。
ちなみにEffects Bakeryはどの製品もかなりクオリティが高い上に低価格なので、他のエフェクターもこのメーカーで揃えて可愛いボードを組んでみてはいかがでしょうか。
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strymon|El Capistan
strymon El Capistanはテープエコーをデジタルで再現したペダルの中では最もオススメしたい機種です。
サウンドが「テープエコーのシミュレート」というよりも「テープエコーの音そのもの」といった感じで、非常に正確に再現されています。
また「再現」されているのはテープエコーならではの音質だけではありません。
テープエコーの特徴ともいえる、テープの擦れや汚れ具合さえもシミュレートし、劣化具合などをノブで変化させることも可能という再現っぷりです。
上の画像を見ると分かりますが、「TAPE HEAD」や「TAPE AGE」、「WOW&FLUTTER」といった見慣れないパラメーターがコントロールできるようになっています。
- TAPE HEAD:テープエコーマシンの切り替え(固定ヘッド、複数ヘッド、スライド式ヘッドの3種が用意されている)
- TAPE AGE:テープの経年劣化具合
- WOW&FLUTTER:テープの動作によるピッチの揺れ具合
これだけでも相当音作りの幅が広いのがお分かりいただけると思いますが、実はもっとパラメーターがあるんです。
TAPとBYPASSを同時に押し続けると「Secondary Functionsモード(隠し機能モード)」になり、各ノブのパラメーターが他のものに変化します。
このモードを使うことで、スプリングリバーブのサウンドを追加したり、テープの摩擦やシワといった更に細かい調整をしたりすることが可能です。
テープエコーはサイズが大きかったり、テープを替えたりするメンテナンスの手間もあり「面倒でお金がかかる」というのがデメリットですが、このペダルはデジタルなのでコンパクトですしメンテナンスも不要。
少し高いペダルではありますが、これ1台でディレイだけでなくリバーブも付いているということで、実はかなりコスパに優れていると言えるでしょう。(ちなみにルーパー機能もあります)
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Vivie|DolphinDeverb
Vivie(ビビー)は日本のエフェクターメーカーの中でもトップクラスの人気を誇り、プロにもVivie製ペダルの愛用者が多いことでも知られています。
そんなVivieのDolphinDeverbは、「1台でディレイとリバーブのエフェクトが掛けられる」というコンセプトのペダルです。
このペダルには「Deverb」というパラメーターのノブが用意されていて、それを回すことでディレイとリバーブの比率を変化させることができます。
しかも、このペダルのリバーブは原音ではなくディレイ音のみにかかるという仕様。
それによって今までのディレイ、リバーブの単体ペダルだけで難しかった、原音の輪郭を損なわないままで空間の響きを作り出すことが可能です。
もちろん「Deverb」ノブを回しきれば、ディレイ単体・リバーブ単体のエフェクトとしても機能します。
さらに、「Low Cut」というノブを回すことで、リバーブ成分のみの低音をカットすることもできます。
リバーブに低音が多すぎるとベースやバスドラムなどとぶつかってバンドサウンド全体の音が濁る原因になりますので、このノブが搭載されているというのは結構嬉しいですよね。
このノブがあることによって、ベースに使っても音がボワボワとしなくなるので、ギタリストだけでなくベーシストの方にもオススメできるペダルだと思います。
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BOSS|DD-3T Digital Delay
このDD-3TはそんなDD-3にタップテンポ機能が追加追加されたモデルです。(DD-3は現在販売終了)
現代の高級デジタルディレイのような多機能さはありませんが、逆に言えば複雑すぎない操作性なので、初めてデジタルディレイを使う人でも使いやすいでしょう。
肝心の音は「デジタルとアナログの中間」ともいわれるDD-3のサウンドを受け継いでおり、デジタルディレイではありますがクリア過ぎない独特の音質が特徴です。
ディレイタイムは12.5ms~800msと、他のデジタルディレイに比べて狭めですが、通常の使用なら問題は起こらないでしょう。
また、「SHORT LOOP機能」を使えば、800msまで録音できるルーパーとしても使用できます。
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Ibanez|ADMINI
エフェクターボードのスペースを圧迫しないコンパクトなディレイを探している人におすすめなのが、このADMINI。
ADMINIはアイバニーズの名機AD9のサウンドを継承しているアナログディレイです。
1万円を切るという低価格さでありながらも、コンパクトなサイズ、トゥルーバイパス機能など音質へのこだわりも感じられる、コストパフォーマンスに優れた一台。
非常にシンプルな操作なので、初めてのディレイとしてもぴったりです。
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BOSS|DM-2W
現在は生産終了になっているアナログディレイの名機とも呼ばれていたBOSS DM-2を、現代向けに蘇らせたのがこのDM-2Wです。
DM-2Wにはモード切替スイッチが搭載されており、スタンダードモードではアナログディレイならではの温かい音、カスタムモードに切り替えればよりクリアな印象のディレイサウンドを楽しむことが出来ます。
また、カスタムモードではディレイタイム幅が先代のDM-2の2倍以上になっており、より現代的なニーズにも対応しています。
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TC Electronic|Flashback 2 Delay
TC ElectronicのFlashbackはデジタルディレイの中でも定番中の定番。
Flashback 2 Delayはテープエコーとアナログディレイをシミュレートしたモードも搭載していて、これ一台でさまざまなディレイサウンドが楽しめるので、非常にコスパの良いエフェクターです。
またFlashback 2 Delayラインナップの中でも最も新しく、革新的な機能が搭載されています。
一番目玉なのが「MASH機能」と呼ばれるもの。
これは感圧センサーが付いているフットスイッチ部分を長く踏んだり、押し込んだりすることでさまざまなサウンド・エフェクトがかかるという機能で、ディレイ音を引き伸ばしたり、ピッチを変化させたりと今までにない効果が楽しめます。
それ以外にも、おなじみルーパー機能や、ギターで拍を刻めば自動でテンポが設定されるオーディオタップ機能、プロギタリストのセッティングをそのまま反映できるTonePrint機能なども搭載され、機能性は抜群です。
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TC Electronic|The Prophet Digital Delay
The Prophet Digital Delayは先ほどと同じくTC Electronicから出ているコスパに優れたデジタルディレイです。
最近のディレイは多機能化が進んでいて、非常に便利になっている反面、「普通のディレイ」を望んでいる人には過剰だったりもします。
そんな人にはこのThe Prophet Digital Delayがおすすめです。
このディレイは3つのツマミと1つの切り替えスイッチというシンプルな操作性で、ショートディレイからロングディレイまで幅広く対応。
音質に関しても、「さすがのTC Electronic」といったクリアな音で、トゥルーバイパス機能も搭載しています。
タップテンポなどの便利機能は付いていませんが、王道なディレイサウンドが1万円を切る低価格で楽しめるということもあり、ディレイ入門機としても最適です。
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BOSS|DD-500
BOSS DD-500は究極のデジタルディレイと言ってもいいでしょう。
数あるディレイの中でも随一の32ビット処理という音質を実現させ、音は「クリスタルのようにクリア」と評価されています。
さらにそれだけではなく、12種類のディレイモードを搭載し、2系統の音を瞬時に呼び出せるなど、操作性の良さもDD-500の魅力です。
少しお値段は張りますが、ありとあらゆるディレイの機能を一つに集約したようなエフェクターなので、持っておいて損はないと思います!
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LINE6|DL4 MkII
LINE6 DL4 MkIIは多機能ディレイの代名詞的存在LINE6DL4の後継機種。
DL4は一時期はほとんどのギタリストがペダルボードに組み込むほどの大人気機種でした。
このDL4 MkIIは、その「DL4」の良さを継承しつつ、合計30種類のディレイを搭載しています。
それぞれのボタンに2つずつ、合計6種類のプリセットが保存できるので、通常の使用なら困ることはほとんどありません。
そして何よりも素晴らしいのが、操作性のわかりやすさで、デジタルエフェクターが苦手な人でも十分に扱えるでしょう。
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Animals Pedal|Relaxing Walrus Delay
Animals Pedalシリーズは、ハイクオリティなサウンドと低価格差を両立させた、近年注目されているブランドです。
また、このシリーズはエフェクター本体に可愛らしい絵柄が描かれているのも特徴。
Relaxing Walrus Delayはリーズナブルな価格ではありますが、アナログサウンドを再現した温かみのある音でありながら、もこもこしすぎないクリアな音質が魅力的です。
水色の本体、そして絵柄も可愛らしいので、エフェクトボードに入っていると見た目にも映えるのではないでしょうか。
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Behringer|VD400 Vintage Delay
激安エフェクターメーカーの元祖ともいえるベリンガーのアナログディレイ・エフェクター。
ディレイの中でも格安で、なんと5000円以下で手に入ります。
VD400 Vintage Delayは1960年代風のアナログディレイを再現するペダルで、この価格からは信じられない音の良さ。
本体はプラスチックで出来ているので、多少耐久性に心配がありますが、それ以外は特に問題なく使用できるでしょう。
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おわりに
いかがでしたでしょうか。
ギタリストにとって必須とも言えるエフェクターです。
自分にぴったりのディレイを見つけると演奏の幅も広がるので、ぜひいろいろ試してみてくださいね。
また、筆者は音楽関連の講座動画をYouTubeでたくさん公開しているので、よかったらチャンネル登録お願いします!
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