ギタリストにとってエフェクターは欠かせない存在ですよね。
自分の出したい音によってエフェクターを買い揃えていくのは楽しいものですが、予算によってはいきなりたくさん買うのは厳しい人も多いかもしれません。
もしくは、逆にエフェクターを増やしすぎて、ライブやスタジオ練習に行くとき、重すぎて苦労している方もいらっしゃるでしょう。
そんなときにおすすめなのが1台でいろいろな種類のエフェクトを使うことができる、マルチエフェクターです!
今回はギター歴15年以上の筆者が、そんなマルチエフェクターのおすすめをいくつか紹介します。
まずはマルチエフェクターの選び方から解説していきますので、おすすめ商品をすぐに知りたい方は下の目次からジャンプしてみてください!
それでは早速行っていきましょう!
マルチエフェクターとコンパクトの違いとは?
まずはマルチエフェクターとコンパクトエフェクターの違いについて整理しておきましょう!
一般的なギターエフェクターというと下の画像のようなものをイメージしますよね。
こういったものは「コンパクトエフェクター」といい、基本的には「1つのエフェクターで1つの機能」です。
コンパクトエフェクターでも、本体に搭載しているノブで音色を変更することもできますが、エフェクトそのものの性質は変えることはできません。
多くのギタリストたちは自分の音作りに必要なだけコンパクトエフェクターを買い揃えて、それぞれを繋げる人が多いです。
一方マルチエフェクターは下の画像のような感じ。
マルチエフェクターは「マルチ」の名の通り、一台にいろいろなエフェクター機能が詰め込まれています。
音作りの際には、内蔵されている複数のエフェクターを選び、それを組み合わせることで音を作り込んでいくのがマルチエフェクターの特徴です。
しかもコンパクト・エフェクターはエフェクター機能しかないものが多いですが、マルチエフェクターには「アンプシミュレーション機能」が搭載されているものも多く、ヘッドホンに繋ぐだけでアンプから鳴らしているようなサウンドが楽しめます。
アンプシミュレーション機能を使うことで、自宅でもヘッドホンやイヤホンから本物のようなサウンドで練習できるのも、マルチエフェクターの強みです。
マルチエフェクターって音が悪いの?
ギター経験者の人は「マルチエフェクターは音が悪いからコンパクトの方がいいよ」という人も多いですよね。
こういう評判を聞くと、初心者の人はマルチエフェクターを買うのを躊躇してしまいそうになります。
では、実際はどうなのかというと、確かに同価格帯のマルチエフェクターとコンパクトエフェクターでは、コンパクトエフェクターの方が優れている場合があります。
1万円のマルチの歪みと1万円のコンパクトの歪みでは、コンパクトの方が一つの分野に特化しているということもあり、コンパクトのほうがいい音に感じる場合もあるでしょう。
しかし、最近のマルチエフェクターは音にもこだわっているものが多く、コンパクトエフェクターとそれほど大きな差を感じることが少なくなってきました。
以前はマルチエフェクターというと初心者専用のエフェクターと言われていましたが、最近ではプロでもマルチエフェクターを使っている人も増えています。
しかも本来のマルチエフェクターの強みというのは、音の良さだけではありません。
マルチエフェクターというのは一台でいろいろなエフェクターを使えるので、機材を増やさず音作りのバリエーションを増やすことができたり、音作りがセーブできたりするのが本来のメリット。
そう考えると、低価格でいろいろなエフェクターを試せるマルチエフェクターは初心者に最適なエフェクターと言えるでしょう。
ある程度エフェクターというものに慣れている人なら、音作りのメインになる歪み系のコンパクトエフェクターを買い足せばOK。
プロアマ問わず、実際に多くのギタリストが「アンプやコンパクトの歪み+その他はマルチ」という組み合わせで音作りをしています。
なので、エフェクターをこれから買い揃えていくという方は、最初にマルチエフェクターから買っていくのがかなりオススメです。
おすすめのマルチエフェクター
では実際におすすめの製品をいくつか紹介しましょう!
動画で実際のサウンドをチェックできるので、あわせて確認してみてくださいね。
冒頭でも書きましたが、今回紹介するのは以下の機種です。(押すとジャンプできるようになっています)
それでは行ってみましょう!
ZOOM MS-50G
価格が高くて大きなサイズの本格派マルチエフェクターよりも、コンパクトかつお手頃価格でいろいろなサウンドが試せるマルチエフェクターが欲しいという方も多いんじゃないでしょうか。
そんな人にオススメなのが、このZOOM MS-50Gです。
MS-50Gは非常にコンパクトなボディ、そして1万円を切るという低価格が魅力の製品なので、初めてのマルチエフェクターとしても非常にオススメできます。
この小ささではありますが、100種類のエフェクト(ファームウェアをバージョンアップすることで72種類のエフェクトも追加ダウンロードする事が可能)を搭載し、その中から最大6種類を同時に使用することが可能。
もちろんアンプシミュレーター機能やチューナー機能も搭載していますので、自宅練習からライブまで活躍すること間違いなしです。
初心者の方の場合、初めてのエフェクターとしてMS-50Gを購入し、将来的には他のコンパクトエフェクターと組み合わせて使うというのもいいんじゃないでしょうか。
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ZOOM G1 FOUR / G1X FOUR
ZOOM G1 FOURシリーズは、1万円以下の低価格マルチエフェクターの中でもイチオシな製品です。
G1 FOUR(1枚目の画像)はエクスプレッションペダルがないモデル、G1X FOUR(2枚目の画像)はエクスプレッションペダルがあるモデルとなっております。
2019年に発売された比較的新しいマルチエフェクターということもあり、テクノロジーの進化のお陰か、一昔前のこの価格帯の製品ではあり得なかったクオリティのサウンドを実現しています。
コンパクトで低価格な製品ではありますが、60種類のエフェクトと13種類のアンプモデルを内蔵しているので、大抵の音作りには対応可能と言えるでしょう。
ボリュームやワウを足元でコントロールするなど、音作りの幅を広げたい場合はエクスプレッションペダルがあるG1X FOURがオススメです。
更にPC/Macで使用可能な「Guitar Lab」というアプリを使えば、オンラインで配信されるアンプモデルやエフェクト、パッチ等を随時追加することも可能になっています。
またLooper機能やドラムマシン機能も搭載しているも大きな特徴ですね。
前述の通りアンプモデル(アンプシミュレーター機能)も搭載しているので、ヘッドホンを使った自宅練習もかなり捗ること間違いなしです。
ライブから自宅練習まで、あらゆるシーンに対応できる製品と言えるでしょう。
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ZOOM G3n / G3Xn
ZOOM G3nシリーズはコスパに優れたZOOMのマルチエフェクター。
G3シリーズにはG3n(1枚目の画像)とG3Xn(2枚目の画像)の2種類がラインナップされていますが、G3Xnにはエクスプレッションペダルが搭載されています。
ペダルが搭載されることによって、ワウやボリュームペダルなどの定番エフェクターが使えるようになるので、個人的にはG3Xnの方がオススメです。
5つのアンプモデル、5つのキャビネットモデル、70のエフェクトを内蔵しており、初心者ならこれ十分でしょう。
より音作りの幅を求める人には、更に上位機種のG5nもオススメです。
さて、肝心の音質についてですが、デジタルエフェクターとは思えなくらい生々しいサウンドが鳴ります。
アンプモデルは他のマルチエフェクターと比べると数が少ないですが、それぞれのクオリティが高いので、音作りには必要十分です。
またリズムマーシン機能やルーパー機能も搭載しているので、効率的な練習ができますよ。
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BOSS GT-1
BOSS GT-1は、エフェクターメーカーとして有名なBOSSが手がけるマルチエフェクター。
非常にスリムでコンパクトなので、ギグバックなどのポケットに入れて持ち運べるのもおすすめポイント。
本体が1.3kgとかなり軽いので、持ち運びはかなり楽ですよ。
GT-1の最大の特徴といえば、やっぱりハイクオリティなエフェクト!
正直、アンプモデリングの品質は価格相応という感じですが、エフェクトの質がかなり高いので、アンプは実機でエフェクター部分だけ使うという人にはかなりオススメです。
空間系も結構優秀なので、将来的に歪み系をコンパクトで揃えようと思っている人にもオススメできます。
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BOSS MS-3 Multi Effects Switcher
コンパクトエフェクターとマルチエフェクターを組み合わせて使いたい!と考えている人にオススメなのがこちらのMS-3。
MS-3はマルチエフェクターとプログラマブルスイッチャーを合わせたという、ありそうで無かった製品として評価されています。
プログラマブルスイッチャーというのは、他のコンパクトエフェクターをつなぎ合わせ、スイッチで回路を切り替えることでエフェクターのOn/Offを切り替えることができる製品のこと。
MS-3はマルチエフェクターでもあるので本体でエフェクトを使って音作りをできますし、プログラマブルスイッチャー機能を使えば、他のコンパクトエフェクターを自由自在につなぎ合わせることができるという一石二鳥さが魅力です。
サイズが結構コンパクトなので、エフェクトボードに入っても邪魔にならないのもグッドポイントといえるでしょう。
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MOOER GE200
MOOER GE200はアルミ削り出しの本体がかっこいいマルチエフェクター。
55種類のアンプモデル、26種類のキャビネットモデル、70種類のエフェクターが内蔵されていて、特にアンプシミュレーターの品質は同価格帯の中でも一歩抜きん出ているといえるでしょう。
ギグバッグに入るコンパクトな本体ではありますが、USBでパソコンと接続すれば直接録音することができますし、ドラムマシンやルーパー機能も搭載するなど、機能は十分。
ディスプレイもこの価格帯では珍しいカラー液晶なので、視認性も抜群です。
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ZOOM G6
ZOOM G6は、ZOOMの最上位機種であるG11の音質をそのままに、よりお求めやすい価格を実現した製品です。
135エフェクトに加え、定番のアンプモデル16種類+ZOOMオリジナルのアンプモデル6種類の合計22種類を搭載しており、最大7エフェクト+1アンプモデル(エフェクトのみの使用では最大9エフェクト)を使用することができます。
また70種類のIRデータをプリセットしている他、サードパーティ製のIRデータを50種読み込めるので、アンプシミュレーターとしてもかなりこだわりを感じられる製品です。
更にマルチエフェクターでは珍しいタッチスクリーンを搭載することにより直感的な音作りが可能になっているので、サクサク音作りをしていくことが可能になっています。
もちろんオーディオインターフェイス機能が搭載されていて、DTMや「演奏してみた」でも使いやすいというのもポイントですね。
ちなみに最上位機種であるZOOM G11は下の画像の製品です。
G11とG6の違いを簡単にまとめてみますと、以下の通り。
- G6にはベース用のアンプモデルがない
- G11は最大9エフェクト+1アンプモデル、G6は最大7エフェクト+1アンプモデル(エフェクトのみの使用では最大9エフェクト)
- センドリターンがG11は2系統、G6は1系統
- フットスイッチがG11は11個、G6は6個
- ルーパーがG11はステレオ最大5分、G6は ステレオ45秒(モノラル90秒)
- G11はサイズが253 x 495 x 70(mm)重さが2.8kg、G6は サイズが228 x 418 x 65(mm)重さが 1.9kg
その他にもいくつか細かい違いがありますが、気になるのは上記ですね。
また、カタログ等には明確にスペックが載っていないのですがDSP性能も結構違うようで、G6で重い処理が必要なエフェクトやアンプモデルを使用する場合は、エフェクトを最大数まで使用できないことがあります。ご注意ください。
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LINE6 POD Go
POD Goは、Line6のマルチエフェクター。
Line6といえば「Helix」というシリーズの高級路線のマルチエフェクター/アンプシミュレーターが有名ですが、そんなHelixのサウンドを継承しながら、より低価格化した製品がこのPOD Goです。
高級製品の廉価版というと、サウンドのクオリティが落ちたり、エフェクトやアンプの種類もかなり少なくなったりすることが多いですが、実はHelixに搭載されているほとんどのアンプやエフェクトがPOD Goにも搭載されています。
その数、合計270種類以上。
もちろん、多少削られているものもありますが、王道の音作りなら困ることはそこまでないでしょう。
音色の切り替え時に音切れが発生しないスナップショット機能も搭載されていたり、かなりコンパクトで軽量なボディになっていて(サイズは88(H)×230(W)×359(D)mm、重量は2.35 kg)ライブでの使用にもかなりオススメです。
さらにオーディオインターフェイス機能も搭載されているのでDTMや「演奏してみた」などをしてみたい人にもマッチします。
ちなみにワイヤレスバージョンもあります。
POD GoはHelixシリーズの同価格帯製品「HX Stomp」と比較検討されることが多いですが、この2機種の明らかな差として考えられるのは下記の3点だと思います。
- HX Stompにはエクスプレッションペダルがない
- サイズがPOD Goの方が大きい(HX Stompは64(H) × 122(D) × 170(W)mm、POD Goは88(H)×230(W)×359(D)mm)
- POD Goはパラレルパスでの音作りができない
細かい点を挙げるとPOD GoはDSPがシングルになっていたり、MIDI端子が無かったりもしますが、通常の使用ではそこまで困ることはないでしょう。
一台で完結できるマルチエフェクターを探している人、エクスプレッションペダルが必要な人にはPOD Goはかなりオススメです。
逆に、将来的にマルチエフェクターをエフェクトボードに組み込んで使いたい場合や、パラレルパスで細かい音作りをしたい場合はHX Stompの方が適しているでしょう。
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LINE6 HX Stomp
LINE6 Helixを小型化し、エフェクトボードにも組み込みやすいサイズ、そしてよりお求めやすい価格にしたのがこのHX Stompです!
このサイズでアンプシミュレーション機能もしっかり組み込まれているので、かなりコスパに優れていると言えるんじゃないでしょうか。
最大で6種類のアンプやキャビネット、エフェクターを同時使用できるので、これ一台でかなり細かい音作りができます。
もちろんコンパクトサイズなので、エフェクトボードに組み込み、他のエフェクターと組み合わせて使うのもオススメです。
さらに、アンプシミュレーター機能はHelixと同じなので、レコーディングで使うアンプシミュレーターとして購入するというのもいいと思います。
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LINE6 HX EFFECTS
HX EFFECTSは、Helix搭載の全てのエフェクト、そしてLINE6のM5やM9といった「Mシリーズ」や、DL4を始めとしたストンプボックス・モデラーに含まれる定番エフェクトを、一台に詰め込んだ製品です。
この製品はアンプシミュレーター機能を排除し、純粋な「マルチエフェクター」としての機能に特化しており、最大9種類のエフェクトを同時に使用することができます。
また、比較的コンパクトでありながら、センドリターン端子が2系統搭載されているので、お気に入りのコンパクトエフェクターと組み合わせて、スイッチャー的に切り替えることも可能です。
実機アンプを使うことにこだわりがある人や、お気に入りのアンプを所有している人などには、かゆいところに手が届く製品ではないでしょうか。
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BOSS GT-1000 / GT-1000CORE
GT-1000はエフェクター・アンプメーカーとして有名なBOSSが発売しているハイエンドなマルチエフェクター。
エフェクトやアンプシミュレーション、すべての品質が高く、これ一台ですべてが完結してしまいます。
内部信号は現状の音楽機材で最高レベルの32bit/96kHzで処理されるので、音痩せや劣化といった心配が全くありません。
ちょっと価格が高いと思われるかもしれませんが、たくさんのコンパクトエフェクターやアンプの機能をこれ一台で済ますことができると考えると、むしろコスパに優れたマルチエフェクターといえるでしょう。
また、「GT-1000よりもコンパクトサイズなものが良い」「GT-1000のサウンドは好きだけどもう少し安い方がいい」という場合は上のGT-1000COREもオススメです。
エクスプレッションペダルがなくフットスイッチ類も少なくなるなど、機能が少し削がれていますが、その反面サウンドの質はそのままにコンパクト化し、値段も2万円ほど低価格になっています。
ペダルボードに組み込んで他のエフェクターとして使用したり、アコギの持ち運びしやすいプリアンプ兼エフェクターとしても使えたりと、こちらも色々な使い方ができますね。
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LINE6 Helix LT
最高峰フロアタイプ・マルチエフェクターとも言われている「LINE6 Helix Floor」。
そのHELIX Floorの最重要な部分だけを受け継ぎ、より低価格でお求めやすくなっているのがこのHelix LTです。
音質はもちろんHelixシリーズの生々しいサウンドそのもの。アンプシミュレーション部分もかなり優秀でレコーディングなどにも十分使えるサウンドと言えるでしょう。
こちらもマルチエフェクターの中では価格がかなり高めですが、オールインワンで完結するので、実はコンパクトエフェクターやアンプを買い揃えるよりはコスパが良かったりします。
ディスプレイの視認性も良く、スイッチ部分がカラフルなのでライブでもかなり使いやすいマルチエフェクターです。
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おわりに
一言にマルチエフェクターといっても、それぞれ違いがありましたね。
何も高いものだけが良いというわけではなくて、それぞれの用途に合わせた機能や性能を持ったものを選ぶのが重要です。
この記事が皆さんのエフェクター選びの助けになれば幸いです。
また、筆者は音楽関連の講座動画をYouTubeでたくさん公開しているので、よかったらチャンネル登録お願いします!
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