Kawaii Future Bassの作り方【デモ曲付きで解説】

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どうも、作曲家のサッキー(@sakky_tokyo)です。

今回は、以前からリクエストが多かったKawaii Future Bassの作り方を解説していきます。

この記事でKawaii Future Bassについて初めて知る人もいるかと思うので、まずは僕が解説用に作ったデモ曲を聴いてみてください。

こんな感じの曲の作り方を解説していきたいと思います。

話の内容が分かりやすくなるように、あらかじめこの記事の構成をお伝えしておきますと、

この記事の構成
  1. Kawaii Future Bassのジャンル的解説
  2. デモ曲を使ってKawaii Future Bassの作り方を解説
  3. Kawaii Future Bassでよく使われる音を紹介

の3部構成になっております。

この記事を読んでいただくと、Kawaii Future Bassの作り方がわかるようになると思いますので、ぜひ興味がある方は最後までお付き合いください。

【今回の動画】

今回の記事と同じ内容の動画をYouTubeで公開しています。

動画で内容をチェックしたい方はYouTubeから、文字で読みたい方はこのまま記事を読み進めてみてください。

ジャンプできる目次

Kawaii Future Bassのジャンル的解説

このジャンルについて理解するためには以下の2点が重要になってくると思います。

  • Kawaii Future Bassはもともと「Future Bass」のサブジャンルとして発祥した
  • 今は「かわいいサウンドが使われたダンスミュージック」の総称みたいな感じの言葉になっている

この2点を踏まえていただいたうえでKawaii Future Bassについてざっくり解説していきましょう。

さて、繰り返しになりますがKawaii Future Bassはもともと「Future Bass」というジャンルのサブジャンルとして発祥しました。

発祥したのは2014年のインターネット上。

2014年当時はまだ10代だったSnail’s Houseさん(Ujico*という名義でも活躍されています)という日本人トラックメーカーが最初にこのジャンルを作ったといわれています。

彼の『Pixel Galaxy』という曲はKawaii Future Bassを聴き込んでいる人なら必ず1度は耳にしたことがあるんじゃないでしょうか。

このジャンルのサウンドとしては、その名の通り「Future Bass+kawaiiサウンド」というコンセプトが基本でした。

ですが、2014年発祥ということで今はもっと音楽性の幅が広がってきております。

5年以上の歳月をかけて、ダブステップやドラムンベース、Trap、J-POP、その他大量の音楽ジャンルの要素を吸収し、今ではFuture Bass的なアプローチをしていない曲も増えました。

ちょっとわかりにくいと思うので、画像で解説してみます。

イメージでいうと初期のKawaii Future Bassは下の図のような感じ。

Future Bassというジャンルの中にKawaii Future Bassが存在していたというイメージですね。

ですが、今はもっとジャンルの幅が広がって下の図のようになっています。

今のKawaii Future Bassシーンでも、従来のようなFuture Bass的なアプローチをする曲(上の図でいう紫の部分の曲)はもちろんあります。

ですが従来のFuture Bass的なアプローチをしないような曲も増えており(ピンクの部分)、最近のKawaii Future Bassは「かわいいサウンドをたくさん使ったダンスミュージックの総称」みたいな広い範囲を指す言葉として変化していたりもします。

イメージでいうとロックが近いかもですね。

ロックは最初に「ロックンロール」が生まれてから、「ハードロック」「ヘヴィメタル」「パンク」「グランジ」など、いろんなジャンルが生まれました。

それらをまとめて「ロック」と呼ぶ人がいますよね。

それと同じようにKawaii Future Bassも最初こそ「Future Bass+kawaiiサウンド」でしたが、いつのまにか色んなジャンルの要素を取り込みまくり、全部をひっくるめて「Kawaii Future Bass」と呼ばれるようになりつつあります。

つまり何が言いたいかというとこのジャンルの作り方を解説するのはめちゃくちゃ難しいってことです!笑

(「ロックの作り方を教えて下さい」と言われても「どのロックのこと?」ってなる感じに近い)

ちなみに今回のデモ曲は先程の図でいう「紫色の部分」を意識して作っています。

この記事の構成を最初に書いたと思うんですが(ジャンル解説→デモ曲で作り方の解説→よく使われる音の紹介)、これは

  1. ジャンルの大枠を掴んでもらう
  2. ジャンルの核となる部分の作り方を押さえてもらう(紫の部分)
  3. よく使われる「かわいい音」をたくさん知ってもらう(ピンクの部分)

という構成にしたかったからです。

つまりこの記事は、下の図のように紫のところを押さえた上でピンクの所に出撃していただけるような構成にしてあります。

まあ余談はさておいて、ジャンルの解説のまとめになりますがkawaii Future Bassは

  • Kawaii Future Bassはもともと「Future Bass」のサブジャンルとして発祥した
  • 今は「かわいいサウンドが使われたダンスミュージック」の総称みたいな感じの言葉になっている

この2つのポイントを押さえておけばOKです。

デモ曲を使ってKawaii Future Bassの作り方を解説!

では実際にKawaii Future Bassの作り方を解説していきましょう。

Kawaii Future Bassを作るときには僕が思うに以下の4つのポイントが重要になってきます。

作るときのポイント
  • おしゃれなコードを使う
  • ベースを太くする
  • ドロップでテンポ感をハーフにする
  • かわいいサウンドを使う

ここではこの4つのポイントについて、冒頭で紹介したデモ曲での使用例も交えながら解説していきましょう。

デモ曲がどんなのか忘れてしまった方は下からもう1度チェックしてみてください。

おしゃれなコードを使う

Kawaii Future Bassでは、Future Bassと同じくジャズで使われるような複雑なコードを使っておしゃれ感を演出することが多いです。

この曲のドロップ(サビ)部分のシンセが演奏しているMIDIの画面は以下のような感じ。

こんな感じでちょっと複雑な重ね方をしたコードをKawaii Future Bassではよく使います。

基本的な作り方も簡単に説明しておきましょう。

おしゃれなコードの基本は「7thコード」と呼ばれる和音になってくると思いますが(もちろんその他のコードも使われます)、この7thコードの作り方を初心者向けに解説しておきますと、ポイントは以下の通り。

7thコードを作るポイント

スケールの音を1つ飛ばしで4つ重ねる

例えばCメジャースケール(普通のドレミファソラシド)の曲で、「ド(C)」から始まる7thコードを作りたかったら、「ド・ミ・ソ・シ」と重ねると「Cメジャーセブンス」というコードになります。

「ド・ミ・ソ・シ」の間の「レ・ファ・ラ」を飛ばしたということですね。

もちろんCメジャースケールで「レ(D)」から始まる7thコードを作りたかったら「レ・ファ・ラ・ド」と重ねると「Dマイナーセブンス」というコードになります。

これが7thコードを作る基礎中の基礎です。

もっと複雑なコードを作りたい場合は、音楽理論をググって勉強していただくとより複雑なコードを作れるようになりますので、ぜひ時間があるときに勉強してみてください。

またコード進行関連の話で、Kawaii Future Bassでは「よく使われるコード進行」というものがありますので、そちらも紹介しておきます。

それがこちらです。

今回のデモ曲でもこのコード進行は使われています。

この部分です。(音量注意

この作り方は至ってシンプルで「マイナーコードを半音ずつ下げる」というだけです。

さきほどのやり方でマイナー7thコードを作って頂いて、それを2回コピペして半音ずつ下げればOK。

シンプルな手法ではありますが簡単にKawaii Future Bassっぽくなりますのでぜひ取り入れてみてください。

ベースを太くする

Kawaii Future 「Bass」という名の通り、ベースミュージックの1種でもありますので、ベースが太い曲が多いです。

ベースを太くする方法としてもっともポピュラーなのが「サブベースを使う」という方法。

この方法はKawaii Future Bassに限らず、ダンスミュージックを始めとした他のジャンルでもかなり使われるので知らなかった方はこの機会に覚えてみてください。

知らない人向けに簡単に解説すると「サブベース」というのは、通常のベースよりも低い音域を担当するベースのことです。

ダンスミュージックなどではかなりポピュラーな手法で、大抵の場合「通常のベースの1オクターブ下」で鳴らします。

デモ曲のドロップ部分も以下のような比較的高い音域担当のベースと

以下のような低い所担当のサブベースに分けてサウンドを作っています。

サウンドとしては「シンセサイザーのSine波」を使うことが多いです。

もちろんそれ以外にもいろんな音色が使われますので、まずはSine波を鳴らしてみて、しっくりこなかったら他の音色を試してみてください。

ドロップでテンポ感をハーフにする

Kawaii Future Bassではドロップ(J-POPでいうサビ)のところでテンポ感をハーフにすることがよくあります。

テンポ感がハーフになるというのは、簡単に言えば「BPM180の曲が途中でBPM90になったような感じ」です。

デモ曲でもドロップでテンポ感をハーフにする手法は使われています。

この具体的なやり方を簡単に解説しておきます。

ポイントはスネアの位置です。

大抵の曲ではスネアが「2と4」で入ると思いますが、「3」の位置にスネアを置くとテンポ感がハーフになった感じになるわけです。

つまり

1 2 3 4 | 1 2 3 4

ではなく

1 2 3 4 | 1 2 3 4

この位置にスネアを入れるとテンポ感がハーフになったような感じになります。

ぜひお試しください。

かわいいサウンドを使う

何度も言いますがこれがこのジャンルの肝です!

この曲ではドロップの前などにアニメっぽい声ネタを使ったり、イントロではシンセベルと呼ばれるサウンドを使っています。

シンセベルはこの音です。(この音、かわいいですよね)

こういった可愛いサウンドを曲に盛り込んでいくためには、普段からサンプルやシンセのプリセットを集めておくのが大切です。

ちなみに今回の声ネタは「Vocalcium by MYLK」と「Kawaii One Shots by Varien」というspliceのサンプルを使っているので、声ネタを探している方はぜひチェックしてみてください。

はい、ということでデモ曲を使ってKawaii Future Bassの作り方を解説してきました。

一応振り返って起きますとポイントは以下の4つ。

作るときのポイント
  • おしゃれなコードを使う
  • ベースを太くする
  • ドロップでテンポ感をハーフにする
  • かわいいサウンドを使う

これらに気をつけて作っていただくと、下の図でいう紫色の部分が作れるということですね。

次にこの図でいうピンク所の共通点である「かわいい音」にフォーカスを当てて、Kawaii Future Bassでよく使われるかわいい音を紹介していきます。

Kawaii Future Bassでよく使われる音を紹介!

繰り返しになりますがこのジャンルは「かわいい音を使ったダンスミュージックの総称」みたいな側面があるので、かわいい音の引き出しを作っておくことが重要です。

ということで皆さんの引き出しが増えるように、Kawaii Future Bassでよく使われる音と、その作り方やサンプルの入手方法を紹介していきます。

今回紹介するのは以下の8種類。

今回紹介するサウンド
  1. Jersey Clubサウンド
  2. ほわんって感じのシンセ
  3. シンセベル
  4. 8bitサウンド
  5. ピッチカート
  6. 木琴
  7. 鉄琴
  8. リリースカットピアノ

早速解説していきましょう。

Jersey Clubサウンド

「Jersey Clubサウンド?なにそれ」って感じの方が多いと思うんですが、Kawaii Future Bassではこのサウンドがかなりよく使われています。

具体的に言うと

  • ウィーンって上がるライザーサウンド
  • ぽちゃんって感じの水滴の音
  • ベッドが軋むような音

この辺がJersey Clubサウンドです。

下の動画ではその音を視聴することができます。(時間指定してあります)

(著作権の関係上、サンプルの音を単体でお聞かせすることはできませんので、声などを被せています)

もともとはJersey Clubという音楽ジャンルで使われていたサウンドなんですが、Kawaii Future Bassがそれを引用しているというわけです。

これらの音はこちらのサンプルパックから手に入れることができます。

ほわんって感じのシンセ

こういった感じの音です。

かなりKawaii Future Bassで多用される音なので、皆さんも一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。

この音の作り方は下の動画で解説しています。

Serum、Sylenth1、Massive X用のプリセットも配布しているのでぜひ見てみてください。

シンセベル

こういった感じの音です。

Kawaii Future Bassの前の、Future Bassからよく使われているサウンドで、作り方としてもそこまで難しくありません。

たくさんの動画で作り方が紹介されています。

例えばこちら。

もしくはこちらなど。

お使いのシンセ名で検索してみると、多分作り方が見つかるんじゃないでしょうか。

8bitサウンド

8bitサウンドというのは、昔のゲームなどによく使われたようなピコピコサウンドのことで、Kawaii Future Bassでよく使われます。

こんな感じの音です。

こちらも作り方は簡単で、シンセのプリセットなども有料無料問わず配布されています。

YouTubeでも解説動画がたくさんありますのでチェックしてみてください。

ピッチカート

ピッチカートというのはバイオリンなど弦楽器の奏法の1種で、このような音がします。

これもかなりKawaii Future Bassではよく使われますよね。

ストリングス音源を購入するとこういった音を手に入れることができます。

Kawaii Future BassではNative InstrumentsのSession Stringsシリーズがよく使われています。

Kompleteという超有名バンドルに入ってるので、お持ちの方はまずSession Stringsシリーズを試してみてください。

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木琴

Kawaii Future Bassでは木琴の中でも「シロフォン」と呼ばれる種類の楽器がよく使われます。

こんな音です。

明るい響きの木琴で、Tomgggさんというプロデューサーの方などがよく使っているイメージがあります。

今回はUVIのOrchestral Suiteという音源プラグインで作っているので、参考にしたい方はぜひどうぞ。

鉄琴

こんな音です。

Kawaii Future Bassでは鉄琴の中でも「グロッケン」と呼ばれる種類の楽器がよく使われます。

こちらもUVIのOrchestral Suiteを使っています。

リリースカットピアノ

リリースカットピアノは名前だけ聴くとわからないと思いますが、Kawaii Future Bassが好きな人なら音を聴くと「ああこれね」ってなると思います。

このサウンドの作り方、何故か知られていないので今回ざっくり紹介してみます。

まずはあまり生々しくない、硬めの音がするピアノ音源を選びましょう。

(今回はAbleton LiveというDAWに付属しているグランドピアノの音源を使ってみました)

その音源のリリースを0にします。

これだけです。笑

音源によってはリリースが残ってしまうこともあるので、そういった場合にはリリースがバッサリ切れるピアノ音源を探して使ってみてください。

まとめ:Kawaiiサウンドが肝心です

こんな感じでKawaii Future Bassの作り方を解説してまいりました!

少し長い記事だったので内容を振り返っておきましょう。

この記事は以下の3部構成になっていました。

この記事の構成
  1. Kawaii Future Bassのジャンル的解説
  2. デモ曲を使ってKawaii Future Bassの作り方を解説
  3. Kawaii Future Bassでよく使われる音を紹介

Kawaii Future Bassのジャンル的理解を深めるためには、以下の2つのポイントが重要になってきます。

ジャンル的なポイント
  1. Kawaii Future Bassはもともと「Future Bass」のサブジャンルとして発祥した
  2. 今は「かわいいサウンドが使われたダンスミュージック」の総称みたいな感じの言葉になっている

また、記事の中盤ではデモ曲を使って実際にKawaii Future Bassを作るときのポイントを解説してきました。

そのポイントは以下の4つ。

作るときのポイント
  • おしゃれなコードを使う
  • ベースを太くする
  • ドロップでテンポ感をハーフにする
  • かわいいサウンドを使う

また、記事の後半ではKawaii Future Bassでよく使われるサウンドの紹介をしてきました。

今回紹介したのは以下の8種類です。

今回紹介したサウンド
  1. Jersey Clubサウンド
  2. ほわんって感じのシンセ
  3. シンセベル
  4. 8bitサウンド
  5. ピッチカート
  6. 木琴
  7. 鉄琴
  8. リリースカットピアノ

まとめになりますが、現在のKawaii Future Bassはかなり音楽性の幅が広がってきています。

ぜひこの記事で基本的な作り方を押さえたうえで、あなたなりの「kawaiiサウンド」を見つけてKawaii Future Bass沼の奥地へと歩みを進めてみてください。笑

それでは今回は以上です!

最後に宣伝ですが、筆者は音楽関連の講座動画をYouTubeでもたくさん公開しているので、よかったらチェックしてみてください。

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