独学でDTMができるようになりたい人はたくさんいると思いますが、残念ながらほとんどの人が途中で挫折してしまいます。
何故かと言うと、単純にDTMが難しすぎるからです。
実際に僕はDTMをすべて独学で勉強してきたのですが、それ故にいろいろな回り道をしてきました。
あまり重要ではないことに時間やお金をかけてしまっていても、それに気付けないのが独学のデメリットとも言えますよね。
そこで今回は、DTMを独学でできるようになりたい人に向けて、記事を書いています。
具体的にはある程度曲が作れるようになるロードマップを作ってみました。
結論から言えば以下の順番でやっていくのがオススメです。
- 自分のメインジャンルを決める
- ある程度の機材を揃える
- DAWの操作をある程度覚える
- とりあえず1曲作ってみる
- ミックス・マスタリングをざっくりやってみる
- 音楽理論を学んでみる
- 好きな曲をコピー・分析してみる
- 曲を量産する
今回はそれぞれについて詳しく解説してみたいと思います。
初心者にありがちな勘違い
ロードマップの前にまず、DTM初心者がしてしまいがちな勘違いを紹介します。
具体的に以下の3つ。
- 楽器が弾けないと曲は作れない
- 楽譜が読めないと曲は作れない
- 音楽理論に詳しくないと曲は作れない
この3つはただの先入観です。
具体的に説明します。
楽器が弾けなくても曲は作れる
実は、楽器が弾けなくても曲は作れます。
確かにDTMをやっている人の中にはギターやピアノが得意な人が多いですが、楽器を弾けなくてもプロになった人が結構いるんです。
とりあえず、楽器が弾けないとDTMは無理という先入観を捨ててください。
DTMに楽譜は必要ありません
なぜか音楽をやるには楽譜が読めないと無理だと思っている人が多いようですが、そんなことはありません。
DTMで楽譜が必要な人はむしろ稀で、大体は楽譜を読むことも書くこともせずに曲が完成します。
昔なら「作曲家→楽譜→演奏家→録音」という流れだったのが、DTMだと「作曲家→録音」になるので楽譜が不要になるんですよね。
とりあえず楽譜は読めなくてもOKです。
音楽理論はあとから勉強すればOK
音楽理論を詳しく知らなくても、曲は作れます。
DTM初心者の人の多くは「音楽理論=正しい音楽を作るための説明書」と思っているんじゃないでしょうか。
実はその先入観は大きな誤りで、音楽理論の本質というのはめちゃくちゃ簡単に言えば「音楽あるある集」。
過去の音楽でよく使われていたパターンを言語化したものが音楽理論なんです。
DTMをやってみたいと思っている人の大半は音楽が好きで、過去に何十曲~何千曲という音楽を聴いてきたはず。
なので、音楽理論は言語化できていないけれど、自然と音楽のパターンを耳で覚えていて、身についている人が多いです。
もっとマニアックな音楽理論を知りたいときでも、勉強をしてから曲を作るよりも、曲を作りながら勉強するようにしましょう。
文字だけで勉強するよりも、実際に使いながら勉強したほうが分かりやすさが段違いです。
自分のメインジャンルを決める
では話を戻して、ロードマップの1つ目から解説していきたいと思います。
まずはメインジャンルについて。
音楽といっても、色んなジャンルがあるのは皆さんご存知の通りだと思います。
なので、最初に自分のメインとするジャンルを決めましょう。
そうすると必要な機材がわかりやすくなりますし、目標が建てやすくなります。
音楽は大まかに3つのジャンルに分かれるので、以下の3つから好きなものを一つ選んでみてください。
- バンド系
- 劇伴・クラシック系
- エレクトロ系
いろいろなジャンルの曲を作りたい人でも、最初はメインジャンルの技術をしっかり身につけてから他のジャンルの技術を勉強するとスムーズですし、もちろん他のジャンルにも応用が効きます。
ちなみに僕は最初バンド系の作り方を学んだ後で、エレクトロ系(ダンスミュージック系)を勉強しました。
どれがオススメとかは別にないので、完全に好みで大丈夫です。
ある程度の機材を揃える
機材もいろいろな種類がありますが、とりあえず必要なのは以下の4種類。
- パソコンかスマホ
- ヘッドホンかイヤホン
- DAW
- プラグイン(足りない分だけ購入でOK)
そんなに高級品を買わなくてもいいので、この4つだけは揃えておくと、DTMが始められます。
パソコンやヘッドホンは分かると思いますが、DAWとプラグインは分からない人もいるかもしれないので一応簡単に説明しましょう。
DTMをする上で、メインとなる重要なソフトがDAW(Digital Audio Workstation)。
音を録音するだけでなく、録音した音を加工したり一つにまとめるのもDAW内で行います。
有名なものだと音楽ソフトのPro ToolsやCubaseがDAWにあたります。
(詳しくはこちらから)
DAWの機能を補ってくれるサードパーティ製ソフトです。
具体的には各種ソフト音源や、EQやコンプといったエフェクトなどがあります。
WavesやiZotopeなどがプラグインの有名なメーカーです。
(詳しくはこちらから)
DAWやプラグインを購入するときに重要なのが、さきほど選んでもらったメインジャンル。
ジャンルによって必要な機材や、優先すべき機材が異なってくるので注意しましょう。
具体的に言うと、DAWの中にはエレクトロ系やバンド系が作りやすいソフトがあるので、自分のメインジャンルに特化したものを選ぶと、作業効率がアップします。
プラグインもバンド系にはオーケストラ音源はそこまで必要ありませんが、クラシック系には絶対に必要になってきますよね。
DAWやプラグインは無料のものもあるので、とりあえずは無料で揃えてみるのがオススメ。
もちろん、予算に余裕があるなら最初からそれなりに良いものを選ぶと、曲のクオリティもアップしやすいです。
DAWの操作をある程度覚える
機材が揃ったらまずはDAWの操作方法をある程度覚えましょう。
DAWにはさまざまな機能があるのですが、とりあえず以下のものを覚えてください。
- プラグインを立ち上げる
- 音を出す
- 録音する
- トラックを立ち上げる
- 音量を変える
- PANを振る
- プロジェクトをセーブする
これだけ覚えておけば、とりあえず曲を作ってそれを保存するところまではできるはずです。
ちなみに全部YouTubeの動画で学べます。
オススメは、SleepfreaksというDTMスクールの公式チャンネル。
このチャンネルでは、無料でさまざまなDAWの操作方法をまとめた動画を公開してくれているので、ぜひ活用してみてください。
とりあえず1曲作ってみる
DAWの操作を覚えたらさっそくオリジナル曲を作ってみましょう。
曲を作るのは難しいイメージがありますが、クオリティを気にしなければ短くて3日、長くても1ヶ月程度で必ず作れるようになります。
むしろ、クオリティにこだわって最初の1曲に時間をかけ過ぎてしまうと挫折してしまうので、最初の1曲はとりあえず完成させることだけを目標に頑張ってみてください。
作曲の勉強法はいくつかありますが、オススメは書籍を使う方法です。
たとえば「作りながら覚える 3日で作曲入門」という書籍は、初心者でも実際に3日で曲が作れるようになる方法をまとめてくれています。
もちろんインターネットで勉強してもいいんですが、情報が多すぎて混乱してしまうこともあります。
最初のとっかかりとしては情報がまとまっている書籍を活用するのがオススメです。
ミックス・マスタリングをざっくりやってみる
作曲が終わったら、ミックスとマスタリングをなんとなくでいいので、ざっくりやってみましょう。
簡単にいうと、
- ミックス=曲を混ぜる
- マスタリング=曲の最終仕上げ
です。
この2つが楽曲のクオリティを大きく左右するので、最終的には上手くなったほうがいいのですが、かなり難しいので最初はなんとなくで大丈夫。
ミックスやマスタリングは実際に音を聴きながら勉強しないとあまり意味がないので、音源付きの書籍やYouTubeの動画などを参考にしてみましょう。
書籍のおすすめは「ミックス&マスタリング音圧アップの鍵は『EQとコンプ』」という本。
この本はミックスやマスタリングの基本的な考え方から実際に使われているテクニックまで解説してくれているかなりの良書です。
もちろん音源もダウンロードで聴けるようになっているので、ぜひチェックしてみてください。
時短プラグインでミックスやマスタリングをお手軽に
もちろん、「やりたいのは作曲だから、ミックスやマスタリングに時間をかけたくない!」という人もいるでしょう。
そんな人には時短系プラグインがオススメです。
最近では、AIを取り入れているプラグインも出てきていて、音を自動解析して良い感じにミックスやマスタリングを済ませてくれます。
こういった時短系プラグインでは、iZotopeのNeutron(ミックス用)とOzone(マスタリング用)が有名です。
この2つのプラグインは「トラックアシスタント」という機能を使うことで、自動でミックスやマスタリングを済ませてくれます。
初心者が自分でやるよりもかなりクオリティが高い音源を作れますので、自分でやるのが面倒な人はぜひチェックしてみてください。
また、自分でミックスやマスタリングができるようになりたいときでも、お手本として参考になるので、そういった使い方もオススメです。
音楽理論を学んでみる
音楽理論は1曲目を作り終わってからでも十分です。
曲を作る前に理論を学んでも、どう使えるのか実感が全くわかないので、あんまり意味がありません。
とりあえず曲を完成させたという成功体験をした後で、ようやく音楽理論を学ぶくらいが挫折が少なくて丁度良いと思います。
音楽理論を学ぶときにも、曲を作りながらやると身につきやすさが段違いです。
どんな音楽理論をやればいいのかというと、最初は以下の表を上から順番にやってみましょう。
- メジャースケール、マイナースケールの違い
- ダイアトニックコード
- トニック、サブドミナント、ドミナント(スリーコード)
- 代理コード
この4つをやれば、最低限メロディとコード進行を作れるようになります。
繰り返しになりますが、音楽理論を勉強するときには曲を作りながら、または最低限でも音が出せる環境でやりましょう。
ちなみに、この4つならわざわざ書籍を買わなくても大丈夫です。
書籍で勉強したい人は「よくわかる音楽理論の教科書」がいいと思います。
CD付きで勉強しやすいですし、初心者でもとっつきやすい内容です。
好きな曲をコピー・分析してみる
これは必須ではないですが、好きな曲を耳コピしてコード進行などを分析するのも、技術を身につけるのにはぴったりです。
ただ、耳コピは結構過酷な作業になるので、やる気がある人やプロを目指している人以外はやらなくてもいいかもしれません。
趣味でDTMをする人なら、気が向いたらなんとなくやってみるくらいの感じで十分だと思います。
耳コピが苦手な人や面倒な人は、コード進行のパターンをいくつか覚えて、それを分析してみるのがおすすめです。
実際に耳コピにチャレンジするときは、最初はコードとメロディ、簡単なリズムだけをコピーするのでも十分だと思います。
曲数をこなして耳コピに慣れてきたら細かい音のニュアンスやミックスも再現してみてください。
すべての音を再現する練習をするとスキルがどんどん伸びていくので、自分の曲のクオリティもかなりアップするはずです。
また、コピーをするときには音楽理論的な分析をしてみると、自分の作曲にも生かしやすいですよ。
曲を量産する
最終的には曲を量産することで、どんどんとクオリティが上がっていきます。
一曲に時間をかけすぎて結局完成できないと挫折に繋がりますし、やる気もだんだん無くなってきてしまいますよね。
もちろん適当に曲を作り続けてもあまり意味がないので、今できることをすべて出しつつ、たくさんの曲を作っていくというサイクルを回していくのが重要です。
曲を作るときに重要なのが締め切りを設定すること。
音楽は締め切りがないとどこまでも作り続けられるので、曲を量産するためには区切りを作ることが大切になります。
「1か月に1曲は必ず完成させる」など、具体的な締め切り(目標)を作ってみましょう。
また、曲を作りながらも並行して、音楽理論を勉強したり、好きな曲のコピーをしたりするとどんどん伸びますよ。
まとめ
最後まで読んでくれてありがとうございます。
このページで紹介したのは実際に僕がDTMを独学で学んだときにやっていた手法です。
この方法が誰にでも適しているわけではありませんが、多少でも参考になったら幸いです。
このブログ(サッキーのさっきの出来事)ではDTMや作曲などについて、たくさんの記事を書いてきているので、独学をする際は他の記事も参考にしてみてくださいね。
ちなみに、画面上にあるメニューの「DTM」というところからDTM関連の記事の一覧が見られます。
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